2人で
引き続きよろしくお願いします
「うわ、見ろよあれ」
「コスプレとかだろ」
「防具でコスプレ‥‥‥?」
「にしてはダセェだろ」
「全身真っ黒だな、二人とも」
「でもあの防具見たことないな」
‥‥‥
「なあ霧崎よ、こうなるとは思わなかったのか」
「気にしないで」
気にするなって‥‥‥無理だろ。一人でも目立ってたのに上から下まで黒づくめの2人が街にいたらなおさらだ。
「もう行こう。目立ちたくないし時間も惜しい。沙羅達が帰ってくるまでには帰りたいしな」
「そうね、というか私は一緒じゃなくてもいいのよ。一人の方が気楽だし」
この人どんだけ一人になりたいの?あと、お前が一緒行くゆうたやん。
「どっちみちボスは一緒に戦うんだ。そこまでは一緒でもいいだろ。お、外に出るな。気を引き締めよう」
「言われなくても分かってるわ」
「はいはい」
可愛くないな‥‥‥。
「よっ、と!」
蜘蛛型モンスター〈カラースパイダー〉の糸を吐く攻撃を横に転び回避する。このモンスターはいわゆるザコだ。HPも少ないし攻撃も単調。でもとにかく面倒臭いモンスターだ。近くを通るだけで攻撃を仕掛けてくるし数が多い。
「退屈ね‥‥‥」
ドンッ、ドンと拳銃で適確にカラースパイダーに弾をヒットさせつつ霧崎が言う。
「お前、タゲ全部僕が持ってるんだぞ!早く倒せよ!」
必死にカラースパイダーの攻撃を避けながら叫ぶ。おおよそ10体くらいか、攻撃自体は弱くてもこう数が多いと‥‥‥。
「ならあなたも攻撃すればいいじゃない」
「ふざけんな、この状況でできるか、うわっ!」
危なっ!飛んできた糸が頭に直撃するところだった。囲まれてるのに攻撃できるかよ。
「仕方ないわね‥‥‥」
なにが仕方ないんだよ、早くどうにかしてくれ‥‥‥。
そう思った瞬間、霧崎の拳銃が真紅に染まり、銃口の少し先に黒い光の丸い塊が発生した。
「前見たやつか‥‥‥」
霧崎の称号スキル、だとは思うけど‥‥‥確証がない。
その光がゆっくりとカラースパイダーの中心、つまり僕の真上まで移動して止まった。
「‥‥‥‥っえ?」
前と、違う。
「さようなら」
霧崎が声を出した瞬間、塊から無数の細い光がカラースパイダーの個々に当たった。
カラースパイダーたちのHPは一瞬で0になった。
「な、なんだそりゃ」
‥‥‥全滅だ。いくら雑魚とはいえ、10体ほどのカラースパイダーを一瞬で‥‥‥。
「は、はは。相変わらずチートみたいだな」
「そこは褒めなさいよ‥‥‥」
いや、もう褒めるとかそんな感じじゃないです。なんていうか、こう、うん。称号貰えないかな‥‥‥。
というより、霧崎のレベルはもう18になってた。驚異的だ。ここら辺のモンスターではもうレベルを上げるのもキツくなっているはず。
「お前はいつ頃次の街へ行くつもりだ?」
「そう、ね‥‥‥。明後日にレイクヘッドで大規模なボス討伐に挑戦する人たちの集まりがあるらしいの。それまではレイクヘッドにいるわ」
‥‥‥明後日か。当然集まるのは現時点でレベルが高いトッププレイヤー達しかこないよな。称号持ってないの僕だけだろうな‥‥‥。
「次、行くわよ」
「はいよ」
とりあえず今はレベリングに集中だ。みんなの足引っ張らないようにしなくちゃ。
帰ったあと、全身黒づくめの格好を見て何故かリーティにだけすごい笑われた。理由は「なんでか小さい子供に見える」と。
ちょっといらっとしました。




