部屋で
短いですがお楽しみください
このHPOの中での一番最初のエリアボスの攻略。これが僕達の目先の目標だろう。
沙羅と椿の部屋に6人全員入り、少し窮屈ながらも話ができる状態になった。
「で、ボスモンスターについてだけど前も言ったけど次の街で倒さなきゃその先に行けない。ボスの名前はゲームの頃はサーペントクワイヤだったかな。でっかい蛇みたいなやつだったな」
「クワイヤ‥‥‥?どういう意味なの?」
沙羅が首を傾げて聞いてくる。モンスターの名前とか気にしたことなかった。クワイアってどんな意味なの?
「choirね。いくつか意味があるはずよ‥‥‥。あのモンスターの場合だと教会の聖歌隊、というところかしら?」
いや、かしら?って言われても知らないよ‥‥‥。
「霧崎さん。あのモンスターってどういう事?」
「次のボスモンスターは大きい蛇みたいなモンスターで、歌うのよ」
「でも確かあれ意味ないんだよな。なんの効果もないしダメージもない。なんて言っているのかもわからないし」
ボスについて話しているとふと気になったことを霧崎に聞いてみた。
「そういえば霧崎HPOやってたんだよな。結構意外だ」
霧崎みたいな人種って「ゲーム?そんなことしてる暇あったら勉強したら?」とか言いそう。
「別に。私がゲームをしたらおかしいのかしら?」
「そ、そんなこと言ってないだろ。そんな睨むなって‥‥‥。言葉通り意外だったんだよ」
相変わらず棘があるな‥‥‥。
「ま、まあまあ二人とも落ち着いてよー。趣味なんて人それぞれだしね」
沙羅がサッと僕達の間に入る。椿とリーティ、夏美もうんうんと頷いた。
「ちなみにどの位やってたんだ?僕は半年でやめちゃったけど」
すると霧崎は声のトーンを少し下げて言った。
「‥‥‥言いたくないわ」
「なんだそりゃ‥‥‥。まあもう少し先まではやってたんだろ?ボスの対策とか教えてくれないか?僕の時はパーティ組んだ強い人達が瞬殺しちゃったからさ‥‥‥」
あの人達本当強かった。僕が「よろしくお願いします。蛇のどこから攻撃しましょうか?」って一生懸命慣れないタイピングしてる間に終わってたもんな‥‥‥。レベルも桁違いだったし3人とも迷いもなく動いてたからな。もちろんその時もあの蛇は歌ってた。まあ何の効果もなかったけど。
「ボスの対策、というかあのボスは取り巻きが出てくるわ。ボスに集中しすぎてそっちにやられないように注意。ボスが範囲攻撃で毒の霧を噴射してくるけど解毒薬を持っておけば大丈夫よ。あとは1番危険な正面を盾かガードできる武器を持っている人、または防御上昇系の称号スキルを持っている人を立てて、ってなによ」
すごい勢いで話し始めたな‥‥‥。HPO好きなのかな?好きじゃないとこんなに話せないよなあ。
「ちょっと待ってくれ。メモするから。えーと何だっけ。取り巻きと毒噴射に注意、正面には盾、ガードできる武器を持っている人か防御系の称号スキルを持っている人を立てる、と。で、他にはあるか?弱点とか」
「そうね‥‥‥。弱点は毒の霧を噴射後何秒か硬直するわ。そこで攻撃系称号スキルを持っている人は全員攻撃、というところかしら」
「ぐ、そこは基本スキルでもいいだろ?」
すいませーん。持ってない人はどうすればいいんですかぁ。
「そうね。でもあなたくらいよ。ボス攻略に称号スキル無しで挑もうとしてるのは」
「仕方ないだろ。そればっかりは」
うーん、やっぱりこの世界でも貰えないんだろうか‥‥‥。
「だ、大丈夫だよ。咲人、なんとかなるって」
落ち込んでいる僕に夏美が気まずくなったのか声をかけてくる。
「欲しいなぁ、称号」
欲しいと思ってもらえるものでも無いけどさ‥‥‥。




