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ハイスクール•オンライン  作者: みまたく
24/71

シーサイド

感想などもお待ちしておりますー

現在の時刻は12時半。あれから色々準備してカフトを出ようとしていた。カフトの次の街は〈シーサイド〉という名前で、名前の通り海が近くにあり、名物は海の幸である。

「あの、高坂さん」

「ん?」

シーサイドに入った途端、椿が僕に話しかけてくる。

「高坂さんも、まだ称号はないんですか?」

まだ、というか僕の場合一生もらえないかもしれないけどね。

「うん、称号はもってないよ」

「そうですか、私もなんですよ。いつになったらもらえるんでしょうか」

「んー、そればっかしは個人差があるからねぇ」

「そうですよね‥‥‥いつまでも初期スキルのままっていうのも不安ですよね」

そういって椿は不安そうな顔をする。

「ま、まあ大丈夫だよ。椿はレベルは6だけど武器が強すぎるからね」

PHOでは、レベルが上がっても自分でポイントを振ったりなどの動作は存在しない。レベルが上がるとプレイヤーの基本攻撃値、防御値、素早さなどが少しずつ上がっていくのである。つまり、単にレベルだけでいうとプレイヤー全員同じステータスになるのである。それを変えるのが、防具、武器のステータスに称号のスキルである。プレイヤーの基本ステータスに加え、武器と防具、称号のステータスがプラスされる。

ゲームを初めたばかりの頃は武器にもそんなに差が出ないからまずはとにかくレベル上げ。これが基本である。

「ねぇねぇ高坂くん」

沙羅が僕の袖をクイクイ引っ張る。あ、この仕草可愛い。

「ん?」

「他の人から見るとさ、高坂くん両手に花だねー」

「え」

「‥‥‥」

沙羅、なんでそういうこと言うかな。すごい気まずくなるじゃないか。ほら、椿下向いて黙っちゃったじゃん!ど、どうしよう学校とかでも異性の友達どころか同性の友達もいなかったからこんな時のうまい返し方が分からない‥‥‥。だが、あくまでクールにだ。高坂咲人、腕の見せ所だ。

「そ、そんなことよりも!お昼食べよう。ここは海の幸が食べられるみたいだしね!」

あ、ちょっと緊張した。すると突然沙羅が笑い出した。

「あはははっ、高坂くん顔真っ赤ー」

「‥‥ぷっ‥‥」

椿にまで笑われる始末である。こういう時イケメンだったらどう返すのだろう。「2人とも可愛いから僕幸せ者だねっキラッ」みたいな感じだろうか。だめだ自分で考えといて鳥肌が立つ。

「あれ?空音?おーい」

「お、マジじゃん」

鳥肌真っ最中の僕の目線の先の2人の男子がこっちに向かって小走りで向かってくるのが見えた。

「知り合い?」

「うん、クラスメイト。2人とも中学から一緒なの」

しかし、そう言った沙羅は何かを思い出すような顔をした。おそらく明美という女子との一件を思い出してるのだろう。もしかすると明美も中学からの付き合いだったのかもしれない。

「久しぶりだな、空音。にしてもお前がこんな先の街まで来るなんて以外だな」

「マジでマジでー。あれ、明美は?」

一人はいかにも爽やか好青年!という感じのイケメンと、ちょっと染めるのに失敗したのかムラのある茶髪をしたノリの良さそうな男子だ。沙羅と同じクラスということは高校1年生か。

「明美とは、別行動‥‥‥うん、自分でもここまで来たの不思議なくらいだよ。この人のおかげ、かな?」

そう言って沙羅は横目に僕を見る。

「そんなことないよ、というか僕が助けられてる位だからね」

僕がそう言うと、茶髪くんは少し面白くなさそうに聞いてくる。

「あんた誰だよ?」

あれ、もしかして僕年上に見られてない?いくら童顔だからって‥‥‥ちょっとショックだ。

「え、えーと、高坂咲人。高校2年。今はこの2人と一緒に行動しているよ」

そう言って沙羅と椿を見る。自己紹介なんて普段しないから勝手が分からない。

「チッ、なよなようっぜぇ」

茶髪君がボソッとつぶやく。この子口悪いなぁ。

「高坂さんですね。俺は吉谷祥司です。よろしくお願いします、で、そちらは?」

そう言って吉谷くんは椿を見る。

「つ、椿桜です。高校2年です」

椿は少しおどおどしながらもちゃんと自己紹介した。

「チッ、ハーレムかよ」

またまた茶髪君が舌打ちする。

「茶髪く、あ、えーと君は?」

頭の中でのあだ名が出そうになった。危ない危ない。

「清水 龍」

無愛想にそう言う。なんかすごい名前だった。あ、人のこと言えないか。そんなことを考えていると、吉谷くんがあっ、とひらめいた様に言う。

「そうだ空音、これからは俺たちと一緒に行動しないか?」

「おぉ、名案じゃん!」

茶髪く、清水もその案に乗る。

「え、えーと」

沙羅は少し戸惑っている様だ。

「沙羅、君が彼らと行きたいなら僕は止めないよ。彼らの方が気心も知れてるだろうし」

僕も内心戸惑いながらも言う。沙羅が彼らと行きたいなら行かせるべきだ。

「そ、そうじゃなくて!」

慌てた様に沙羅が僕を見る。

「イライラすんだよ!てめぇ空音のなんなんだよ!沙羅とか呼んでるしよ!マジうぜぇ!」

いきなり清水くんがブチ切れた。この子の沸点がよく分からない。

「龍!」

吉谷君が言い止めるも清水君は聞かない。すると僕の目の前に文字が浮かぶ。〈決闘の申し込みがありました。承認しますか?〉その下にNOとYESの文字が現れる。何故清水が申し込んだのか分からなくもない、乗ってあげよう。

僕はYESの文字に手を当てた。








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