性格
作風が変わってるかもしれません。すいません
人は何故人をいじめるという行為をするのだろうか。恐らくは暇つぶしやストレス発散、単にむかつくからなどの理由だろう。
ふざけるなと思う。暇つぶしもストレス発散も全部いじめる側の都合だ。いじめられる方は何もしていないのに精神的、肉体的に傷つけられるのだ。いじめられる方にも何かしらの理由があるのかもしれないが、僕はやっぱりいじめる方が悪いと思う。
今回の椿の問題の場合、イジメの理由は嫉妬、それに好きな人に対する暴言による怒りであると考えられる。彼女達は好きな人の告白の場面を見ていたのだろうか。もしそうならそれは、どんな気持ちで見ていたのだろう。自分が思いを寄せる相手が、理由が顔という理由であれ他の女子に告白してる場面を。そしてそのあとの椿のゴミムシ呼ばわり。中野麗美はじめ残りの2人も羨ましくもあり、辛くもあり、そして怒り。
中野にも同情はするかもしれない。でも、それから椿をいじめることはやってはいけないはずだ。椿も言い過ぎだとは思うが、自分の気持ちを伝えただけなのだ。
今回の問題、どちらも傷ついてはいけないはずだ。
「椿、彼女達と接触したい。思い当たる場所とかあるかな?」
椿は少し困った顔をした。
「ご、ごめん。ないかな‥‥‥」
そこでふと気付いた。椿のイジメ問題は詳しく知ったが、この世界の椿をよく知らない。
「今更だけどパーティ入ってくれないかな?この世界の椿をよく知らないからさ」
この世界での個人の大まかな情報を知りたいならパーティを組むのが手っ取り早い。
「うん、私も高坂さんのこと、もっと知りたいです」
そう言った後、顔が一瞬で真っ赤になった。
「ち、違いますよ、その、あれです」
何があれなのか知らないけど今回の問題の解決には椿がどうしても必要になる。少し落ち着いてもらわないとな‥‥‥。
こうしてパーティとついでにフレンドになった。椿の現在のレベルは6、称号は無し。武器は短剣のようだ。服装は灰色のシンプルなジャケットに青色の胸当て、下は上とセットなのか、ピチッとした灰色のスラックスだ。というか足細いな、すごい華奢だ。
「よし、ありがとう。彼女達の行きそうなところを回ってみよう。カフトからは出ていないとおもうし」
「高坂君、どうするつもり?私も何かするよ?」
沙羅が真顔で聞いてくる。んー。
「応援しててくれるかな」
「へぁ?うん、分かったけど‥‥‥」
今回は沙羅にはじっとしててもらう方がいい。
「椿、じゃあカフトの噴水広場に行ってみよう。人が1番多いのはやっぱり広場だと思う」
一つの街ごとに必ず広場がある。人はやっぱり広場にたくさんいるものだ。
「はい、いるといいですね‥‥‥」
「そうだね、じゃあ沙羅、先に帰っていてくれ。もう暗いから気をつけてね」
「ん?ここモンスター出ないし大丈夫だよ?」
そうじゃないんだけど‥‥‥。
「ま、とにかく気をつけて。すぐに僕も帰るから」
とは言っても同じ宿には泊まっているが、もちろん同じ部屋ではない。
「分かった!ガンバだよ、高坂君」
「うん、行ってくるよ」
もうすっかり夜だ。これはさっさと済ませたいけど、中野達がいるかなんて保証がない。
広場に付き、辺りを見回すがそれらしき人は見当たらない。
「うーん、やっぱりそんな簡単には見つからないか」
「そうですね、一旦出直した方が‥‥」
「うん、仕方ない。一回帰ろー
「いいから来いっつってんだろ!このアマ!」
「いー加減にしとけよこのブスが!」
「だからやめろって、いたっ!」
建物の影に隠れてなにか言い争ってる人たちがいる。でもこの声聞いたことある様な。
「椿、静かについてきてくれ」
「う、うん」
チラッと見ると、男2人と女1人で言い争ってる。
「お前誘ってんだろ?いいから来いって!」
「ち、ちがっ、痛いって!」
無理やり腕を引っ張って何処かへ連れていこうとしている。顔がよく見えない、もう少し近づくか。
バキッ!
‥‥‥ あっ‥‥‥地面に落ちている枝を踏んでしまい、大きな音が出てしまった。椿に静かについてきてとか言って僕がやってしまった。
「だれだ!出てこい!」
あー、アウトだこれ。ここにいると相手からは見えないけど場所ばれちゃったな。
「椿はここにいてくれ」
できるだけ小さな声で伝える。
「えっ、でも」
「いいから」
そう言って男達の前まで歩く。参ったな。僕ケンカとか強くないんだけど。小学生の頃友達にお気に入りの下敷き折られた時以来だな‥‥‥。
「あ」
「あっ」
最初に言葉を発したのは言い争っていた女子。そのあとは僕だ。なぜならその女子が中野麗美だったからだ。
ラッキーだ。いや、この状況はアンラッキーだけど。
「んだお前?こいつと知り合いなの?」
ヤンキー?1が聞いてくる。
「一応知り合いかな」
「ちっ、随分なよなよしてる奴だな。こんな派手な奴とはあわねぇだろ」
ヤンキー2が中野を親指で指差しつつ言う。うん、僕もそう思うよ。
「そうだね」
「あ、お前まさかこいつにいじめられてた感じ?ウケるんだけど」
ヤンキー2人が笑い始める。勝手に話立てて勝手に笑い始めた。
「お前みたいなやつはさぁ、一生いじめられときゃいいんだよ」
なんか言われているが、今は中野麗美をこの場から救出し、椿と接触させることが先決だ。
「悪いんだけど
「おい」
僕が話しかけた瞬間、僕の後ろから静かだが殺気が伝わる声がする。‥‥‥‥‥え?
「つ、椿?出てきちゃダメだろ」
しかし椿は迷わずヤンキーに向かって歩く。
「‥‥‥ごめんなさい」
僕とすれ違う瞬間に耳元で囁く。なにがごめんなさいなんだよ。
「おい、てめぇら、さっき高坂さんの事なんていった?」
椿が殺気がこもった目でヤンキー達を見る。もはやあの大人しい椿の面影は無い。
「あ、あぁ?いじめられときゃいいんだよ。なよなよした奴なんてよ!」
椿にビクつきながらも言い切った。すごいね、僕だったら速攻で逃げちゃうよ。
「高坂さんは良い人なんだよ!私なんかの力になってくれてんだよ、このゴミムシ共が!」
なんか椿の周りにどす黒いオーラが見える気が‥‥‥気のせい?
「お、おいやべえだろこいつ。どっかイカれてんじゃねぇの?」
ヤンキー2が少しビビった声でヤンキー1に聞く。
「‥‥‥ちっお前、次会ったら覚えとけよ!」
ヤンキー1が僕たちに向かって叫びながら走り出す。椿は中野に向かって歩き出す。
「‥‥‥」
「な、なんだよ」
やっぱり中野も椿にビビっているみたいだ。
「‥‥‥大丈夫?」
椿は今までの殺気もなくいつもの大人しい、優しい声でそう言った。
「え、は?お前」
中野は戸惑っているみたいだ。
「?大丈夫?」
「あ、おう」
中野はまだ戸惑いつつもなんとか返事をした。っと、僕も良い加減話に入らないと。
「中野」
本来、こんな状況になるとは思ってもみなかったからもっと回りくどい言葉でイジメをやめさせようと思っていた。しかし状況が状況だ。直球で言いたいことだけ言うほうがいいだろう。言うべきことは2つだ。
「椿をもういじめるな。良いことなんて何も無い。分かってくれ。んんっ、それと」
次のセリフはぶっちゃけ賭けだ。当初恐れていた関係の悪化に繋がるかもしれない。でも椿は言ってくれた。「その過程が私を支えてくれる」って、だから大丈夫だ。言える。超恥ずかしいけど。
「‥‥‥また、誰かに恋をしてくれ」
言った!言えたぞ!‥‥‥まあ、こんなこと言ってまた中野が傷つくかもしれないし、僕は中野の想い人のことも知らない。とても余計なことだ。
「‥‥‥」
中野は俯き、黙ったままこっちに向かってくる。あ、失敗か?
「分かった。もう椿はいじめないし、新しい恋、する」
‥‥‥そう言ってくれるのは嬉しいんだけどせめて目を合わせてくれないかな。
「ありがとう。もう暗いから気をつけろよ。じゃ」
「え、えぇ、いや新しい恋ってあんたをー
「な、中野さん?!」
椿と中野が顔を真っ赤にし、僕の胸元を握る。え、なにこれどんな状態?殴られちゃう系?
「あぁ!いたぁー!」
すると後ろから大声が聞こえる。
「もう、探したよー。心配したんだからね?」
「え?沙羅」
「えへへ、来ちゃったー」
来ちゃったじゃないよ‥‥‥解決できた後だったから良かったけど解決前だったらややこしくなるところだった。
「はいはい、もう帰ろう」
椿と沙羅の背中を押して歩き出す。正直スキンシップは拒絶するほど苦手なんだけど我慢しよう。収拾がこのままだとつかなくなる。あ、言い忘れてた。
「中野、化粧薄くしたらもっと可愛くなるってのは本当だぞ。まあがんばれ」
折角元が良いんだから化粧は薄い方が似合うと思う。皮肉は無いよ?ほんとだよ。
「‥‥‥はぁ」
中野はため息をつく。あれ、余計なこと言った?
「歩き回ったからお腹減ったよ」
「さっきでっかいパフェ食べただろ?太るぞー」
「ふ、太らないもん!」
なんとかなったかな。それと、良い加減カフトからもでよう。霧崎にも負けてられないし。




