少年は孤独である
引き続きよろしくお願いします
1. 少年は孤独である
辺りが騒がしい、何故高校の学年が一つ上がるだけなのにこんなに騒がしいのか。クラス替えという一つの行事ともいえることだ。はしゃぐのも分かるが、僕は正直どこのクラスでも同じだと思う。親しい友人も特にいないし。
そう、僕には友達がいない。なぜかと聞かれればそれは単純にコミュニケーション能力がないからだろう。話すことには若干緊張したりするが問題ない。しかしスキンシップに過剰な反応をしてしまう。それはたとえ相手が男であろうと女であろうとだ。
と意味のないやりとりと説明を心の中でしていると新しいクラスの2ーAの入り口まで来ていた。あぁ、また学校生活が始まるのかと、今更思い出し気分が重くなる。
クラスの中に入るとやはり騒がしく、一緒になれて良かったなー、や宿題やってねーなど、様々な声が聞こえる。
そんな声を聞きながら黒板に書いてある席順を見に行く。するとすぐに”高坂 咲人”の名前を見つける。読みはコウサカサクト。親が言うに、綺麗に咲いた花のように、人々が寄ってくるような人になってほしいとのこと。今の僕ほど似合わない人間はいない名前だ。自分でいうのもなんだが特徴の無い顔だと思う。すこし童顔で、髪は普通に黒髪だ。
席は様々な主人公御用達の窓側の最後尾の席、ではなく最前列の廊下寄りの席だ。真逆じゃないか‥‥‥
心の中でぼやきながら席に座ると隣に友達と話すため席を立つわけでも無ければ近くの人と話すわけでもなく、無表情で本を読んでいる美少女が目に入る。名前は確か霧崎 咲子だっけか。可愛いというより美人と言った方が似合いそうだ。腰くらいまでの黒髪が印象的だ。僕の予想だとこいつも友達いないな。あと知ってた?咲って字、音読みでショウって読む。僕は高1になるまで知らなかった。
心の中でどうでもいい独り言をつぶやいていると担任が入ってきた。すごい美人なのはいいがヘビースモーカーで酒豪という噂を聞く。
とりあえず、誰とも関わらないで過ごしたい。そう願う高2の春だった