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真・恋姫†無双 ~昭烈異聞録~   作者: 不識庵・裏
第三部「天下鳴動編」
57/62

第四十一話 「雒陽戦慄 ――魔王降臨―― 」 ――参――

 どうも、お晩で御座います。不識庵です。前回の更新から二週間ばかり経過し、ようやっと次の更新分を書き上げましたので投稿致します。今回もサブタイトルとは余り関係ない内容では御座いますが、話の一幕と思って読んでいただけたら幸いです。


 また、今回の話を書くにいたって、私の好きな作家赤城康彦様の作品の一つ、『傾国のヴォーボワーヌ』の一部をお借りし、他にもつい最近TINAMIで拝見しているひっとー様の恋姫と戦国BASARAのクロス作品「真・恋姫†無双 ~忘却の翅~ 」を読んで発奮してしまい、その勢いで書いたシーンを追加で書き加えました。あんまり大した内容じゃないんですけどね? ナンセ、エロ中年ですから、自分。


 前置きが長くなってしまいました、それでは「真・恋姫†無双 ~昭烈異聞録~ 第四十一話 」最後まで読んでいただけましたら嬉しく思います。

 ――弐――



 ――そして、時間を戻し陳留城のとある一室。そこに華琳の代理を任された人物がいた。



“『ああ、陛下。陛下の唇をわたくしにも!』そう言われて、ルキドサ三世はヴォーボワーヌから顔をはなして、『ういやつよ』と、マリアンヌと熱い接吻をかわした。その間ヴォーボワーヌは少しよこにずれて、マリアンヌの◎に触れてから、指で△や☆などをなぞった ”



「……た、佑様、これが天の国の書物なのですか? どう見てもこれは……奉孝殿(郭嘉の字)が好んで読む様な物ではありませんか? 」


 天蓋付きの豪奢な作りの寝台にて、お互いに生まれたままの姿の(たすく)(しぇん)(りゃお)(司馬懿の真名)が恋人同士の甘い一時を過ごしており、仙蓼は佑から差し出された文庫本を読まされていた。その文庫本だが、題名は『傾国のヴォーボワーヌ』と言い著者は赤城康彦なる作家で、彼の特徴は正統派や娯楽、そして官能とジャンルを問わず様々な作品を書く所である。


 元は仙蓼が佑の所持している書物に興味を持った事から始まり、その際悪戯心を起こした彼が『日本語』を教える名目で彼女に官能小説を手渡すと、最初に自分が音読しそれに続いて彼女に読ませていたのだ。


 

「何を言うとるんや仙蓼。元は仙蓼がワイの持ってた本を読みたい言うてたから、今こうやって読めるよう特訓しとるんやないか? それとも何か、ワイの事信じられへん? 」


「……そう言ってる割には、随分と立派な『五台山』をそびえ立たせておりますわね? 」


「うぐうっ! 」



 普段とは異なったこの状況に、卑猥な単語の羅列を読まされてる仙蓼だけでなく佑の方も強烈な性的興奮を覚え、彼の『六甲山』は普段より雄々しくなっており、その勢いたるや正に『芦屋ロックガーデン』である。



「だってなぁ~~、恥ずかしさで顔を真っ赤にした仙蓼が、それも※2団美津みたいなエロイ声で一所懸命に読んでるのかと思うと……並みの男ならみーんなこうなってまうで? もしかすると、南陽でハーレム伝説作っとるかずピーとかもその声聞いたら、声だけでイッてまうかもしれへん 」


「ふふっ、『はーれむ伝説』なら佑様もそうですよ? 何せ私の他に、凪殿、真桜殿、沙和殿の三人まで見事に『モノ』にしたではありませんか? それに最近は(ちゅう)(こう)(きょ)(ちょ)(季衣)の字)殿や典韋殿からも好意を寄せられてる様で……? 」


「たはは…… 」



 気恥ずかしげに指でこりこりと頬を掻きながら佑が言うが、妖艶に微笑んだ仙蓼から返され、彼は誤魔化し笑いを浮かべるしかできなかった。



「では……佑様の『五台山』をお鎮めさせて頂きますわね? 今宵はどの様に致しましょうか? 」


「決まっとるやんけ! 全部や全部、今夜もフルコースで頼むわ!! 」


「ふふっ、では承知いたしました…… 」



 仙蓼から本格的な夜伽のお伺いに、佑がキリッと顔を引き締め力強く即答すると、彼女は待ってましたと言わんばかりに表情を綻ばせ、彼の『六甲山』或いは『五台山』をそっと両手で包み込む。それは正しく会戦の狼煙で、二人はしばしの間強く激しい『夜戦』に励むのであった。



「ふうっ……仙蓼、今日も良かったで……やっぱ仙蓼はワイにとってサイコーの女や! 」


「ふふっ、ご満足頂けた様で、仙蓼も嬉しく思います 」



 事を終え、二人とも恍惚とした表情で寝台の上でまどろみ、快楽の余韻に酔いしれる。そんな中、佑は己の腕枕で良い表情を向ける仙蓼に尋ねた。



「なぁ、仙蓼……。ヤる前に言うてた雒陽や(てい)(てき)の事なんやけど……そいつ一体何者(ナニモン)なんや? 」


「……丁擢の事ですか? 彼は(へい)(しゅう)牧だった丁建陽殿の養子で、齢は二十五。元の姓は董と言い、涼州牧董仲穎とは異母兄妹の関係です 」


「ふむ……話聞いて思たんやけど、何でその丁擢が養子なんや? 歳考えたら、仲穎はんよりその丁擢言う奴が董家の当主なんちゃうん? 」


「確かに、そう思われますよね? その丁擢の事なのですが、実は彼の実父である董君雅殿が他所の女に産ませた子で、即ち庶子に当たります。それに対して、董涼州の母親はれっきとした正妻。ですから、彼女こそが正当な董家の嫡子なのです。また、董君雅殿と丁建陽殿は長年の友人関係で、且つ建陽殿は男子に恵まれていなかったと、昔母から聞かされた事があります。恐らくですが、丁擢が養子になった背景には、それらの事情が絡んでいたかと? 」


「なるほどなぁ~、そう言うわけか。もしかすると仙蓼。そいつと幷州はんとの仲よぉなかったんちゃうか? 」



 怪訝そうに両目を細め佑が言うと、仙蓼は何とも言えぬ表情で答える。



「そこまでは何とも……ですが、丁幷州殿が原因不明の急死を遂げ、養子たる丁擢が養父の喪にも服さぬ内に、名代として雒陽に来た事を考えますと、両者の仲は余り良くなかったのかもしれません 」


「そっか…… 」


「佑様 」


「んっ? なんや? 」



 一刀ほどではないにせよ、意外と筋肉が付いてる佑の厚い胸板に顔を摺り寄せ、仙蓼は更に声を落として言った。



「現在、丁擢の手により中央は混迷を極めております。宮廷を支配していた十常侍や何一族は粛清され、後を継いだ直後に廃された皇太女も消息不明で、次の帝もまだ決まっていない有様です。恐らく、間違いありませんが丁擢は自分の息がかかった皇族を担ぎ上げ、傀儡として次の帝に据えるか、或いは己自身がその地位に就くかもしれません 」


「せやなぁ……するっちゅうっと、アレか? この先どんな形になるにしても、また大きなドンパチ起こるんちゃうか? 」


「はい、十中八九間違いないでしょう。この大陸各地の、特に司隷に面した各州の有力諸侯が丁擢の専横を黙って見ているとは到底思えませんし、また、これを機に自身が丁擢に成り代わり中央を牛耳ろうと思う者も出てくるやも知れません……何れにせよ、また更なる戦乱が訪れる事でしょう 」


「さよか…… 」


 そこまで言うと、佑は寝台からおもむろに離れると窓辺に立つ。そして、彼女の方を振り向き、目つきを鋭くさせ言い放った。



「仙蓼。これまで通り、当面ワイらは筆頭軍師ぬかす性悪度チビブスの要求通り物資を潁川に送りつつ、陳留の統治に身を入れるで。せやけど、孟徳はんの言うとおりのまんまやるわけや無い。これまで儲けさせてもろた分投げ打って、陳留の民衆をハートキャッチや 」


「……その真意は? 」



 一刀曰く『(ええ)カップの美巨乳』を魅惑的に揺らし、女神の様な慈愛溢れる笑みで仙蓼が問い返す。



「決まっとるやんけ、地盤固めや。ただし、急すぎてはアカン。徐々にゆっくりとなぁ? 表向きは曹孟徳の威光に見せかけて、その実はワイへの支持率アップなんやし 」


「御意……それにしても、あの別駕(べつが)従事(じゅうじ)(以前の桂花の役職)殿。幾ら潁川殿の命とは言え、ここには必要最低限の人員と物資しか残さない様にしていますからね? お蔭でここ半年の間、文武官達からは備品の補充が滞ってるとの苦情が軒並み増えました……本ッ当ォ~~~に、困った物です。ハァ~~~ 」



 と、ため息で締めて仙蓼がぼやくと、佑の脳裏にとっても大ぁ~~い好きな『ひっとーぐんしどの』見目麗しいお姿が浮かび上がる。あの時、彼女は実に『いやな表情』で彼とその隣に控えていた仙蓼を侮蔑しまくったのである。


 

“華琳様の命令は最優先よ! 判った? このケダモノメガネッ! あと、こっちに近寄らないでよ、妊娠しちゃうじゃないっ!! ”


“かしこまりました、いだいなるひっとーぐんしどのー ”

(うっさいわ、このイチビリドブス。誰ぁれが、お前みたいなクサレチビ孕ませるかいっ!! )


“ちょっと、何よその態度? 気に食わないわね? ”


“荀郡丞殿(桂花の新しい役職名)、佑様は主公の期待に応えるべく、毎夜遅くまで執務に励んでおり、最近寝不足気味なのです。ここはどうか寛大なお心で…… ”


“ふんっ……たかが主簿の分際で、郡丞たるこの私に口を出すとは随分と偉くなった物ね、司馬仲達?! なら、アンタはしっかりコイツを補佐しなさいっ!! ”


“……それは曹太守のご意思と受け取ってもよろしいので? ”


“当然よ、この件に関して私は華琳様から一任されてる。従って、私の言葉は華琳様のお言葉と受け取っても構わないわ。精々、そのでかい胸と態度に見合った才を見せて欲しい物よね? ”


“畏まりました、荀郡丞殿。この司馬仲達、佑様をきちんとお支え致します ”


“フンッ! 本ッ当に可愛げが無いわね? アンタ! アンタの姉と妹は、アンタに似て胸がでかかったけど、私が『言い聞かせたら』ちゃあんと言う事を聞いてくれたわよ? 同じ血を引く姉妹と言っても、似てるのはそのでかい胸だけのようね?  ”


“…… ”

(また、悪い癖が鎌首をもたげてきたようで……私にやられた分、紫金(シキン)(司馬朗の真名)姉様と朱砂(シュサ)司馬孚(しばふ)の真名)に八つ当たりしてる話も聞かされておりましたが……いいでしょう、精々今だけは調子付いてなさい。ですが、貴女には、後でその分痛い目を見てもらいますので…… )


“ひっとーぐんしどのー、ちとお言葉が過ぎませんかー? ”


“なによ、今度はアンタなの!? 偉そうにその汚い口を開くんじゃないわよ、この万年発情期のドグサレメガネ男ッ!! ”


“ガッコのセンセ曰くー『相手の親兄弟までけなすのはOBAKAのやることなーりー』って、いいますー。仮にもひっとーぐんしどのたるお方がそんなんじゃー……華琳はんの名ぁに傷をつけてしまいまっせ? ”


“ふんっ……いいわ、今日の所はこれ位で勘弁してあげる。けど、たまたままぐれを引いたからって、調子に乗らない事ね? これからは、『私』がアンタ達を直接指示する立場になるから、華琳様の覚えを良くして置きたければ、当然私への心証を良くする様勤める事、いいわね? ”



“さーいえっさー ”

(確か、かずピーんとこに張翔(義雷)言う、ものゴッツイロリコンオヤジがいたよなぁ? 後でそいつに密書送って、このイチビリ拉致してもらおうかー? もう、グッチョングッチョンのレッツぬぷぬぷぬぷぅ~~な目に遭って、ポンポコリンな腹になればええんやねん!! )


“了解致しました、荀郡丞殿 ”

(どんなに優れた才を持っていても、結局はそれを使う人次第。荀文若殿、貴女が『荀家の阿彧』でいる限り、いずれ潁川殿からはいとも簡単に切り捨てられるでしょうね? ですが、私は貴女をいい反面教師にさせてもらいます。何せ、貴女は軍師、いえ組織人としての悪い手本をわざわざ私達に見せてくれているのですから、そこだけは感謝しておきますよ? )



 無論、言われた内容は一言一句覚えており、それを思い出すたびに彼はこめかみにでっかい青筋が浮かべ、大の桂花嫌いである仙蓼も物凄く不機嫌な表情になっている。



「全くやな? あンのイチビリ、ワイ等に無茶振りして散々むしり取りくさりよってからにっ!! あ~~、何か腹立つっ! 仙蓼、陵辱モンでもSMモンでも何でもエエ! 何かテケトーに『アレ』が酷い目に遭わされるエロ版画を数枚作ってばらまいといてぇな。無論、こっちの足が出ないようになぁ? 兵士達には『おいしいおかず』になるし、ワイも少しは腹の虫が収まるしと、正に一石二鳥やねん! 」



「クスクスクス……ぎょ、御意♪ ああっ! そ、そんなに強く抱きしめられたら、仙蓼は壊れてしまいます♪ 」


「堪忍してぇな。これは漢の性やねん。大体、そんなエロい体しとる仙蓼が悪いんや 」



 『(ええ)カップ』の魔力に負けたのだろうか。『六甲山』を再び勢い良くそびえ立たせ、佑は仙蓼の方へと歩み寄り、彼女を強く抱きしめると、その彼の逞しい胸板では『Eカップ』が勢い良く押しつぶされる。仙蓼は瞳を潤ませ眼鏡をかけていない佑の端正な素顔を見上げた。


「それとな……昨年、孟徳はんからおっつけられたあの三姉妹外で試すのに丁度ええ機会や。陳留の各地を巡業させて、行く先々でライブコンサートを開催させるで。民衆の慰問になればオッケーやし、ついでに志願兵や寄付とかが集まれば儲けモンや 」



 そう佑が仙蓼の耳元で優しい声で甘くささやくと、彼女も負けじと彼を強く抱き返す。



「はい、畏まりました……。佑様、勉強された成果を出されましたね? 仙蓼は嬉しゅう御座います 」


「あんまりおだてんといてぇな。のどの辺りがショワショワして、くすぐったくなるわ~~ 」


「ふふっ、失礼いたしました……って、キャアッ♪ 」



 と、嬉しそうな悲鳴を上げる仙蓼。いきなり佑に抱き上げられ、そのまま(しとね)に押し倒されたからである。彼女に覆いかぶさりつつ、佑は彼女の顔を真正面から見据えて言葉を続ける。


「次に、凪、真桜、沙和の三人には百人の兵を指揮させて、それの護衛に当たらせえ。道中に出てくる『()()清掃』や、会場内の警備とかさせて、それを通じ部隊の展開や臨機応変に対処する術を身につけるええ機会にもなると思うしなあ? 」


「御意。あの三人の将才を更に磨く好い機会になると宜しいですね? 」


「それとな、出来る事ならワイに武術教えてくれた(かく)センセをまた呼ぶ事できへん? 凪達三人アッチに回すから、それの穴埋めできる人材が早急に欲しいんよ 」


「郝伯道殿ですか? それは構いませんが……(きぃ)(とん)(りゅう)ようの真名)老師に頼むのも一つの手ですよ? 」


「うん、それも考えた。確かに、奇頓センセも兵隊の教育出来るけど、正直そこまでやらせたないんよ。センセの才能をアッチにまで使うのも勿体無さ過ぎやし、宝の持ち腐れやぞ? 」



 そう言って、佑は苦笑を浮かべる。劉子揚――真名は奇頓なる人物は偶然の悪戯で昨年佑の幕下に入り、その才は仙蓼が「真っ向勝負したくない」と言わしめるほどの物で、華琳も喉から手が出るほど欲しがった位である。一見冴えない中年学者と言った感じの風貌だが、昔特殊部隊に居た経歴の持ち主でもあり、特殊な体術を使った格闘術を得意とし、過去に斬り掛かった春蘭の武器を奪い取って戦闘不能にした事もある。


 当然、武官である三羽烏より経験を積んでいる訳だから、新兵の教育を任せる事も出来るだろう。だが然し、佑は彼には自分のそばであれこれ献策するのに専念して欲しいと思っており、正直新兵教育までやらせたくなかったのである。



「畏まりました、それでは明日にでも文をしたため大至急伯道殿をお呼び致しましょう……表向きは司馬家の家人扱いで宜しいですね? 」


「無論や。あとな、この前と同じくお義母はんにまたヨロシク頼んどいてぇな? そうでもしとかんと、孟徳はんやイチビリから要らん横槍入るかも知れんし、用心に越したことは無い 」


「無論です、佑様。お母様だけでなく、紫金姉様も朱砂も佑様の味方です……佑様は私の一族も同然ですから…… 」



 恍惚と快楽が入り混じった表情で仙蓼が言うと、佑は不敵な笑みで応えた。昨年の奇頓の件もあってか、華琳や桂花は佑の下に優れた人材が入るのを警戒するようになったからである。現に、佑たちが先に能力の高い人材を何人か発掘し登用しようしたが、そこら辺に関して目敏い桂花からすぐさま横槍が入り、その結果華琳に仕える様になった出来事がつい最近あったからである。


 然し、流石は仙蓼であろうか。知略で桂花より一枚上手な彼女は、何と、母建公(司馬防の字)の力を借りる事でそれらへの対処としたのである。何故ならば、昔華琳は建公に雒陽北部尉に起用された経緯があり、そこでの活躍をきっかけに彼女は現在の地位に至っている訳であるから、言わば華琳に取り建公とは恩人の一人であったからだ。


 それ故、表向きは母建公経由で郝伯道を家人として召抱えると言うことにしておけば、過去に建公の世話になった華琳としては、迂闊に口が挟めない。仙蓼の狙いはまさにそれであった。



「どれ……難しい話はこれくらいにしとこか? ワイ、今すぐにでも仙蓼を冒険したくって辛抱タマランのや 」 


「畏まりました……佑様、どうか仙蓼を冒険し尽して下さいまし…… 」



 だらしなく顔を緩ませ、佑は仙蓼の『Eカップ』に顔を埋まらせると、両手をそこに這わせ時には口付けたりと、その感触を思う存分楽しみはじめる。そして、彼は彼女が上げる甘い嬌声を耳福にしつつ、今は南陽にいる嘗ての悪友であった宿敵に思いを馳せた。



『もしかすると……またお前に会えるかも知れへんなぁ、かずピー? その時が来るのを楽しみにしとるで! ……ンンッ? もしかすると、かずピーの奴あの玄徳はんの『神乳(ゴッデス・パイオツ)』を、今のワイみたいに楽しんどるんとちゃうか!? だとしたら……クソッ、うらやまけしからんぞ! かずピー!! 』



 行き成りシリアスな物から一転。佑は日本に居た時と同じくOBAKAな妄想――好色そうな悪人面の一刀が、娼婦みたいに淫らな表情をした桃香の乳房を力任せに弄ぶと言った物――を脳内に浮かべると、ここには居らぬ一刀への実に下らぬ嫉妬心を激しく燃え上がらせる。



「仙蓼……ワイの滾り(たぎり)をトコトン静めさせてもらうで? 覚悟しぃや 」


「ふふふ……ならば、ご期待に沿えますよう、奮励努力させて頂きます…… 」



 わざとらしげにかっこ良く顔をきりりと引き締め、言ってる言葉の内容も実に馬鹿馬鹿しい物であったが、これもまたかっこ良く決めて佑が言って見せると、仙蓼の方も艶っぽさと無邪気さを交えた笑みで応じたのである。二人の甘い一夜はまだこれからであったのだ。そして、彼の予言通り……一刀と佑――二人はまた巡り合うのだが、その時彼らは意外な人物達と望まぬ再会をする事になる。



 ――それと時同じく、宛の桃香の屋敷にて――



「あ~、良い湯だよなぁ~~。桃香 」


「うん、良い湯だよねぇ~~。一刀さん 」



 等と、大き目の湯船で相好を崩す一刀と桃香。のんきに湯船につかる二人の姿は、どう見ても恋人同士と言うより仲睦まじい若夫婦にしか見えなかった。何故、風呂に入ってるのかと言うと一刀の官舎には風呂が無いからである。


 無論、一刀位のある程度の収入が得られる身分であれば、本来公衆浴場か『泡姫付きの湯屋』にでも行けば済む話だ。だが、この手の事に関しては桃香が積極的に彼を自分の所で入欲、もとい入浴させたかったからで、ある意味彼女なりの独占欲のあらわれでもあった。



『一刀さん、どうしたの? 朝から随分と夢見心地見たいな顔してるよね? 』


『……いっや~~、夕べ蓮華の所で風呂借りたんだけど、どこで覚えたんだろう……蓮華がもう凄過ぎて…… 』


『……はい? それ、どういう事なのかな? みーんな白状してもらえるよね? 』


『イ、イエスマム!! 』



 その理由だが、以前一刀が蓮華の所で風呂を借りた際彼女から『情熱的な手段』で洗って貰った事があり、これに桃香が強い対抗心を抱いたからである。



『駄目だよ、一刀さん? 蓮華ちゃんとこのお風呂は、一刀さんの本に書いてあった言葉を借りれば『そーぷらんど』なんだからね? お風呂に入りたいのなら、今後は私の所を使う事! 』


『イエス、マム! 』



 と、慈愛溢れる桃香の笑みの裏ッ側に潜んだ『ナニカドス黒イモノ』に中てられてしまうと、一刀には『従属』以外の選択肢は残されていなかった。そして、今こうして二人でゆっくり入浴を楽しんでいる訳なのだが、桃香からすれば普段の重圧から解放されるホンの一時だったのである。



「ねぇ、一刀さん…… 」


「ん? どうしたんだい? 」



 と、おもむろに一刀に言って桃香が彼の胸元に顔をうずめると、一刀はくすぐったげな表情になって彼女の体をそっと優しく抱き寄せる。蓮華と共に初めて抱かれたあの時と比べ、一刀の胸板は別人の様に分厚くなっており、自身の体を抱く腕も一回り太くなっていた。



「帝が崩御されて、その後行き成り丁擢という人がやってきて、なんか雒陽の人達に物凄く酷い事をしているって……それに琥珀さんや他の西涼の人達はどうなってるんだろ? この前なんか、翠ちゃん達無理に都に行こうとして、一心兄さん達に止められたし…… 」



 不安げに眉をひそめて桃香が言うと、一刀は真剣な眼差しで彼女をまっすぐ見据えた。



「今は情報が不足している、だから道信老師や子衡(しこう)(呂範の字)殿の報告を待つしかない。こう言う時だからこそ、迂闊に動いちゃだめだからな? それと、翠や蒲公英の方は常に気にかけておこう。翠もだけど、蒲公英も結構無茶するとこあるしな? 」


「うん、わかった…… 」


「ただ、これだけは言える……もしかすると、近い内何か大きな動きがあるかもしれないぞ? 」


「ねぇ、一刀さん。もしかしてそれって……前の黄巾の時みたいな大きい戦になると言うことなのかな? 」


「…… 」



 少しばかりの沈黙の後、一刀はゆっくりと頷く。



「まだ大雑把な話しか聞こえてないが、丁擢のやっている事はどう見ても完全な専横だし、ある意味漢への叛逆といっても過言じゃない。こんな状況、他の勢力が黙って見ているとは到底思えない……袁紹や曹操、そして蓮華達の母親でもある孫文台さんとかね? 」


「争いの無い国を作るため戦うんだって決めてたんだけど、いざそうなってみると……やっぱり嫌かな? 」


「っ、桃香…… 」


「あっ、だっ、大丈夫だよっ?! 確かに殺し合いや争い事は嫌いだけど、そんなんじゃこれから先やってけないしね? 本当に大丈夫、だって私も村を守る為や黄巾賊との戦いで何人も殺してきたんだよ? 嫌だと思っていても、やるべき事やらなくっちゃ……何のためにここにいるのか、その意味が無くなってしまうじゃない…… 」



 心配そうに、声を少し落として一刀が言うと、桃香は慌てふためくが最後は真剣な表情で返して見せた。



「よし、それを聞いてボクチャン一安心! っと、言うわけで……がおー 」


「ひゃうわっ?! 」



 彼女の覚悟を聞いて一安心したのか、一刀はニカッと笑みを浮かべて見せると……不意打ちと言わんばかりに彼女を強く抱き寄せる。思わぬ彼の不意打ちに、桃香は思わず目を白黒させてしまった。



「……あ、か、一刀さん? お腹に『ナニ』か当たってるよ? 」


「ふっふっふー、むぜかおはんがこうして丸裸でオイん腕ば中けいるんぢゃっ。こいじないごて黙ってみていられようか? 」

訳:「ふっふっふー、かわいい君が丸裸で俺の腕の中にいるんだ。これをどうして黙ってみていられようか? 」



 一刀に雄々しく隆起した『御岳』を自身の腹にグイグイ押し付けられ、桃香は思いっきり顔を赤らめるが、それに対し彼はきりりと顔を引き締めつつ鼻息荒く答える。



「うん……実はね、私、一刀さんにして欲しかったんだ……だから……お願いしちゃってもいいかな? 」


「当然ぢゃっ! オイは桃香ちゃんと……セクロスしまくるお!! 」



 後はもう、彼等に言葉はいらなかった。互いの体をむさぼるかのように、二人は激しく愛を交わしたのだが、その結果湯中りを起こしてしまい、不安に思った女中の甘が様子を見に行ってみれば、二人とも床の上で大の字になって伸びていたのである。


孫権曰く

「全く、これじゃ桃香の方こそ『そーぷらんど』じゃない! 良くそれで私の事をえらそうに言えたものよねっ?! 」


 

 後日、この話を聞かされた蓮華はプンプンと怒ってしまうと、他にもこれを面白く思ってない翠、愛紗、星の三人からも不公平だとごねられてしまい、結局その日毎に代わる代わるそれぞれの家や屋敷に風呂を、それも強制的に借りる羽目になってしまったのである。



「よー、(ぺー)の字ぃ~! 今日は誰の家で貰い風呂になるんだァ? 桃香、いやいやそれとも蓮華ちゃんか? 確か、昨日は愛紗ンとこだったよなぁ? 」


「毎日違う女性の家でお風呂を借りるなんて、他の殿方が見たら歯軋りなさりますわよ? フフフッ 」


「……ッ。あ、兄上に璃々香……きょ、今日は星のとこです…… 」


「星ンとこかぁ……確か、星の奴ァお前ェさんが章陵で遊んだってェ娘さんを、女中としてつい先日身請けしたってェ話を聞いてるぞ? 」


「あ、わたくし実際にお会いいたしましたわ。確かに、女中の服を着て子龍様の身の回りのお世話をなさっておりましたもの 」


「え……な、何で星が花蓮(ファレン)ちゃんを……? 」


「さぁ? それは本人に聞いてみるこったなぁ? どれ、そんじゃおいらは帰ェるぜ? んじゃな? 」


「わたくしも帰りますわ。それではごきげんよう……一刀様、くれぐれもご自愛なさって下さいましね? 」


「あ…… 」



 等と、勤めを終えた一刀が誰かの家に向かうたび、こうして誰かから冷やかされる光景が新たな日常の一幕に追加され――



『おやおや、今日も我らが貰い風呂殿は散々いじられたようだな? 』


『一見うらやましく思えるが、俺は正直真似したくないな? 体がいくつあっても足りないし、下手すりゃ腹上死待ったナシだぜ? 』


『だな、精々、娼館か湯屋でオネーチャンと遊ぶのが無難だよ 』



 そして、それを傍目でみていた他の者から『貰い風呂殿』呼ばわりされ、悲惨な事にそれは『鶏巴将軍』(ち◎こ将軍)と並ぶ一刀の新たな、それもいい意味でないあだ名の一つになってしまったのである。

 



※2:佑や一刀がいた世界のエロス溢れるタレント。元ネタは言わずもがな。



 ここまで読んでいただき誠に感謝いたします。


 冒頭部分で出てきたあのシーンですが、私のお気に入り作家の一人赤城康彦さんの作品「傾国のヴォーボワーヌ」(ノクターンなので、U-18はお断りなのだ)の宣伝をかねております。ただ、元ネタが18禁なので、あちらこちらを伏せておりますが……(汗 事前に赤城氏に使用許可を求めたところ、快諾していただきましたので、今回こう言う形で出すことが出来ました。赤城康彦様、本当にありがとうございます。


 赤城様の作品を知ったきっかけは、同氏の処女作である「架空戦国小説・夫婦雛物語」で、完全な一次作品とは言え、読むものを作品の世界にグイグイとひきつける強力な魅力に溢れており、以来私は同氏の作品を良く読んでおります。


 このお方、正統派もさることながら、ノクターンの方にも意欲的に書かれており、エロの中にも同氏らしさ溢れる作風がこめられております。もし、18歳以上の紳士淑女で興味をもたれた方がおりましたならば、是非とも読んでみてくださいませ。


 さて、今回の本題に戻りますが、もう判りきってたと思いますが、現在の陳留の留守居役は第二部のラスト以来の及川佑。こいつの方もまた出さないと名と思っていた矢先だったので、丁度いいタイミングだったかなと思っております。


 華琳から陳留の代官みたいなことを命ぜられた物の、実際は桂花にアゴで使われ、集めた物資の殆どをセッセコ新たな本拠地潁川に送ると言った、まぁ、何ともかわいそうな扱い。しかし、一刀よりチートな彼です。そう簡単に大人しく言う事聞いてるだけじゃありません。


 この頃から、佑は徐々にですが自分の地盤固めに着手し始めております。そして、華琳や桂花の妨害をかわしつつ、新たな人材を陣営に引き込んで……彼の行く道は、一刀とは全くの対極的な物にしております。


 けど、そこまでたどり着く頃には……俺何歳になってるんだろ? 正直自信が無いです……(汗


 最後のオマケ……今回の話をどう閉めるか? 実は二回ほど書き直しておりまして、完全に煮詰まっておりました。(自分の悪い癖です そんな折、TINAMIでひっとー様が投稿されております恋姫とBASARAのクロス作品「真・恋姫†無双 ~忘却の翅~ 」の更新された物を読んでいたところ、『とあるシーン』で発奮してしまい、その勢いで一刀と桃香の入浴シーン~「貰い風呂殿」のエピソードを書き上げてしまいました。


 ここら辺に関しては、本当にひっとー様に感謝しております。他の方の作品に触れ、やる気が刺激されるのって、実に久し振りだったのです。ひっとー様、改めてありがとう御座いました。作品完結に向けて頑張ってくださいませ。


 二回連続でサブタイトルと関係の無い回り道でしたが、次回からまた本題の方に戻ります。今回の更新は約一万文字、それも二週間チョイかかったわけですが、何もやる気が無かった頃に比べたら可也改善されてるかなと思っております。


 次回更新はいつになるかわかりませんが、その間他の事でもして時間をつぶしてくださいませ!(苦笑 私ももしかすれば、まだ作ってねぇ積みガンプラに逃避するかもしてないし……。ちょっと、グダグダになってしまいました。また次回も会えましたら嬉しく思います。


 それでは、また~! 四十一歳の不識庵・裏でした~!!


追伸:楽天イーグルス、弱くなったなぁ~~。連勝できてないし……田中が抜けた穴はでかすぎました……。(涙

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