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真・恋姫†無双 ~昭烈異聞録~   作者: 不識庵・裏
第三部「天下鳴動編」
49/62

幕間其の四『楊威公の正体』 ――四――

 ドーモ、ミナ=サン。不惑庵・裏デス!


 っと、行き成りおふざけ噛ましてすみません。先程昭烈異聞録の更新分を書き上げましたので、掲載いたします。今回で「幕間其の四『楊威公の正体』」も終わりです。


 また、今回は前の物より倍の字数になっちまい、気付いたら12000行ってました。一万以上書いたの久し振りです。


 前振りはこのくらいにして、昭烈異聞録「幕間其の四 楊威公の正体」最後まで楽しんでいただけたら嬉しく思います。

 


 ――四――




 ――同時刻、雪蓮の私室にて――



「お久し振りね、公奕(こうえき)。母様や冥琳は元気にしていた? 」


「いっやぁ~~! 元気も元気、我輩が長沙から離れていても全然気にしてない位に元気にしていますぜ~? それにしても、主公から頂いた美味い酒と同じ物が、まさかここで飲めるとは夢にも思わなかったですぜ、伯符お嬢?! 」


「そりゃ当然よ。だって、この清酒(チンチュウ)は元々こっちの人間が作った物だしね? 尤も、彼が作った物の大半は祭に横取りされちゃったし、今飲んでるこれだって必死の思いで確保した取って置きなんだから? 」


哈哈哈(HAHAHA)! 相も変わらずですな、あの御仁は。酒が関わるとまことにえげつないときたモンだ! 酒豪揃いの孫家家中において、あの御仁と為を張れるのは中々いないでしょうなあ?! 」 



 座に腰掛け、喜楽特製の清酒を傾ける雪蓮の差し向かいで、一人の男が豪快に笑いながら酒盃を傾ける。雪蓮に公奕と呼ばれた男は長身で、南方人の特徴である浅黒い肌をしており、逞しい体つきをしていた。髪の色は祭と同じ銀髪で、糊か何かで固めた前髪を前に突き出させると言った独特な髪形をしており、妙な色気が感じられる。


 服装の方も、南方人好みの露出が多い物であったが、彼の場合露出も度を通り越したと言った感じで。胸元を肌蹴て、頭髪と同色の胸毛をこれでもかと言う位に曝け出し、配色も紫や桜色がふんだんに使われたけばけばしい物で、極めつけは大きな薔薇の花の刺繍が施されていた。



「それにしても、孫家親衛の副長である蒋公奕(しょうこうえき)殿が、わざわざ宛に来るなんてどう言う風の吹き回しかしら? まさか、只単に親不孝者の家出娘の顔を見に来ただけじゃあないわよね? 」


「まぁ、何と言えばいいですかねぇ~? 長沙の良い漢は粗方喰い尽したんで、今度は南陽で活きの良い漢でも漁って見ようかと思いましてね? 」


「……アンタが言うと、冗談に聞こえないからやめてよ、気色悪い…… 」



 そう言って、雪蓮は露骨に顔をしかめると、公奕を睨み付けるが。当の彼は飄々としており、軽く笑みを交え肩を竦める。このとても怪しい男だが、姓は蒋、名は欽、字は公奕と言い、孫家では親衛隊副長を務めている。周りの評価では、武勇は甘寧が上だが、間諜としての実力は蒋欽が勝っていると言うのが大半であった。


 だが、その一方で雪蓮とのやり取りにあった様に、彼は断袖、即ち男色の気があり、それは長沙中の美男美少年を悉く(ことごとく)手に掛けたほどである。当然、これに関しては青蓮を始めとした周囲からは余り良く思われておらず、それ故に親衛の副長止まりであった。無論、雪蓮も彼の性癖を余り良く思っていない。



「まぁ、それはさておき。実はお嬢の耳に入れときたい事がありやしてね? 」


「……それを先に言いなさいよ。で、一体何を話してくれるの? 」



 そう、公奕が表情をきりりと改めると、雪蓮も目を細め、真剣な態度で彼の話に耳を傾け始めた。



「実はですね。昨年の春頃から、幼台様(青蓮の妹孫静の字)が、何やら怪しげな連中を囲ってるんですよ。幼台様は、自分お抱えの董襲(とうしゅう)程秉(ていへい)に命じて、そいつ等に学問や武芸と言った、ありとあらゆるモンを昼夜ぶっ通しで仕込ませ、時折外に出しては盗賊とかを相手に実戦経験を積ませております 」


「ふーん、あの腹黒叔母上がねぇ……で、その怪しげな連中って一体何なの? 」


「その連中ですが、我輩が幼台様の屋敷に忍び込み、探りを入れて見た所。若い男一人に娘二人の三人組で、何れも見た事が無い様な服を着ていて、ここら辺には無い可也変わった物を幾つか持っていたんですよ。で、その時くすねてきた物がこれです 」



 そう言って、公奕が雪蓮の前に『とある物』を置くと、彼女はそれを手に取りまじまじと眺めた。



「何これ……『学生証』? 随分と小さいけど、まるで本人その者を取り込んだかの様な似顔絵が描いてあるわね? これは判るわね、氏名……ええと、『不動(ブードン)』?  『如耶(ジュイェ)』? 『不如耶』とでも呼べば良いのかしら? それにしても随分と美人ね、この(ひと)。同じ女として思わず嫉妬しちゃったわ  」 


「あ、その別嬪べっぴんさんですが、さっき話した三人組の内の一人ですぜ? 何言ってるか良く聞こえませんでしたが、若い男が『あきひとどの』、その絵のべっぴんさんが『きさやせんぱい』、そして……一番幼い娘の事を『うみ』と呼ばれてましたね。おまけに逃げ出せない様に、その『うみ』って娘さんをご丁寧に地下の“貴賓室”で歓待している有様だ 」



 そこまで公奕が言うと、雪蓮は腕組みし天井を仰ぎ見る。彼女は実に苦々しく顔を顰めていた。



「はあ~~っ、正直聞いてて余り気持ちのいい話じゃないわね? ところでだけど、この事母様は知っているの? 」


「はい、既に知っておりますぜ。それに、これは元々でっかい※2眯眯(ミミ)の、もとい伯言(陸遜の字)の嬢ちゃんから頼まれた事でしてね? 伯言嬢ちゃんから、徳謀(程普の字)様経由で主公に伝わってます 」


(のん)が? 」


「ええ、何せあの嬢ちゃんも結構鋭いですからね? 昨年の春、幼台様の手勢が領内の巡察から戻ってきてからと言う物、妙にその周辺が騒がしくなりましてね? 当時、留守居役だった伯言の嬢ちゃんは、恐らく何かあると睨んだんでしょうよ? 」


「流石は穏ね? 縁(程普の真名)から、冥琳に匹敵する才覚を秘めてると言われただけあるわ。あ、ゴメンね? 話を逸らしちゃって。母様の耳に入ったと言うのなら、叔母上と何かあったんじゃないの? 」


「無論ありましたぜ。文台様は幼台様をお召しになり、姉妹二人きりであれこれと話し込んだ様なんですが……結局は幼台様に全て一任したらしく、それどころかガリ勉眼鏡の公瑾や、はねっ返りの興覇にまで仕込みの手伝いをする様命じました。おまけに、あの時は姉妹二人っきりの、それも密室で話し合ったんで、流石の我輩でも調べるのは無理でしてね? 結局、徳謀様に事の真相を伝える事が出来ませんでした 」


「っ!? 」



 その言葉に、雪蓮の眉がぴくりと動くと、彼女は勢い良く身を起こし、公奕を真正面から見据える。彼女は完全に不愉快な表情になっていた。



「一体、母様や叔母上は何を考えてるのかしら? 素性の判らない怪しい連中を囲って、それも冥琳や思春にまで命じてあれこれ仕込んでるなんて。仮に、人材育成だったとしても、やり方が物凄く変よね? おまけに、仲間の内一人を地下に監禁したのも、人質目的なんじゃないの? 」



 無論、雪蓮も人質の有効性はそれなりに理解している。だが、雪蓮も昔とある家にて人質生活を送った事があり、その時の影響で、彼女は人質を使うのを極端に嫌っていた。母青蓮の激しい気性を受け継いだ雪蓮であったが、青蓮の場合、目的達成の為なら手段を選ばない所がある。ここら辺が、母と娘の違いと言えよう。



「ハッ……! 改めて思うけど、自分の肉親とは言え母様が化物に思えてきたわ……ヤダ、鳥肌立ってるじゃない…… 」



 『虎の娘』、『戦狂い』、『死狂ひ』、『母文台より獰猛(どうもう)である』と周りから評された事もあるが、この点だけは真似できない。改めて、雪蓮は母の根底にある恐ろしさを思い知ると、戦慄を覚えてしまった。



「まぁ、こればっかは仕方がありやせん。あのお方は搦め手(からめて)と真っ向勝負、これを巧みに使い分けますからね? それ故に『江東の虎』とまであだ名された訳ですし、そのお蔭で今日の孫家がある事も忘れちゃあなりませんぜ? 」



 薔薇の花を咥え、気障っぽい仕種で公奕が言うと、雪蓮は苦笑いで応じる。



「判ってるわよ、そんな事位。それにしても、何でこんな情報私に話してくれたのよ? わざわざ私に報せる必要も無かったんじゃないの? 」


「そうですな……強いて言うなら、孫のお家を生き永らえさせる為ですかね? 」


「孫家を生き永らえさせる為ですって? それはどう言う意味なの? 」



 眉根を寄せ、雪蓮がずいっと身を乗り出すと、公奕は小さな声でひそひそと話し始めた。恐らく、内密にしたい話だったのであろう。



『実はですね。さっき話した『得体の知れない連中』絡みの一件から、徳謀様は主公に危惧してるんですよ 』


『……縁が? どうしてよ。縁は母様の側近中の側近でもあり、若い頃から苦楽を共にした親友でもあるじゃない。私や冥琳みたいにね? 』


『確かに、お嬢の言う通り徳謀様は孫家股肱の臣であり、文台様の一番の親友でもあります。そんな徳謀様だからこそ……今の文台様と孫家の今後に強い懸念を抱いてるんですよ 』


『…… 』




 そこで一旦言葉を区切ると、公奕は酒盃に新しい酒を注いで一気に傾ける。恐らく、自分なりに心を落ち着かせたかったのであろうか。



『元々、文台様は独断的なとこがありましたが、今じゃ以前よりも周りの意見に余り耳を傾けなくなり、一人で暴走している感が否めないんですよ 』


『確かに、母様って結構独りで物事決める事が多いけど、それでも助言や忠告を聞く耳は持っていたわよ? 』


『ええ、確かに以前まではそうでした。ですが……今の文台様は『自分の命令に従え』と言わんがばかりですし、前より無茶振りが半端ありやせん 』


『そこまで酷かったなんてね……そんなんじゃ、私や蓮華の話も聞く耳持たないわね、きっと 』


『あと、さっき言った連中の事なんですが……お嬢は曹操をご存知ですよね? 』


『曹操?! 無論、知ってるわよ? で、その曹操とさっきの連中に何か関係でもある訳? 』


『はい、ちょっと関連性がありやしてね? それじゃ、その曹操の所に『天の御遣い』と言う奴が居ると言うのは? 』



 そう公奕に尋ねられて、雪蓮は左の人差し指をこめかみに宛がい、記憶の糸を必死に手繰り寄せると、何とか思い出せたのか左の握り拳で右の掌をポンと叩いて見せた。



『あ~~っ……そう言えば居たわね、そんな奴が。変な帽子被ってて、白い服を着ていた、と~~~~っても助平そうな眼鏡男でしょ? それで、その御遣いがどうかしたの? 』


『曹操はその『天の御遣い』を上手く使い、黄巾どもとの戦いを終始有利に進め、その結果黄巾の大幹部の一人波才を討ち取りました 』


『ええ、その話は、こっちの方にも知らされてたわよ? 波才を討ち取ってからと言うもの、『御遣い効果』で曹操の軍は物凄く士気が高かったわね 』



『はい、お嬢の仰る通りです。一度『天の御遣い』と(うた)われれば、その存在自体が兵を鼓舞しますからね? ある意味、これほど都合の良い道具は恐らく他に無いでしょうよ?! 」



 解答の手掛かりを多分に含んだ彼の言い回しに、雪蓮は何か気付いたかの様にハッとなり、両目を大きく見開かせる。



「まさか、母様達は『天の御遣い』を作る積りなんじゃ!? だとすれば、それって……? 」


『シッ……お声が大きくなってますぜ、お嬢 』


『あっ、ごめん。興奮しちゃって、つい…… 』



 思わず声を荒げる雪蓮であったが、すぐさま自身の口に人差し指を当てた公奕から静かにする様諌められた。



『実はですね、これは徳謀様の推測ですが、文台様と幼台様は自分等で『天の御遣い』を作り出し、それを上手く使って何れ天下に名乗りを上げるんじゃないかと見てるんですよ 』


『……帝が死んだ今、中央は混乱してるし、天下は大いに乱れるかもしれないわね? もし、そうなればさっき言った『天の御遣い』ほど都合の良い存在は無いわ。多分、私が母様の立場でも同じ事をするかもしれない。でも、やるにしてもちょっと急すぎるんじゃないの?! 』



 眉根を吊り上げ、雪蓮はギンと鋭い眼光を公奕にぶつけると、彼はお手上げと言わんばかりに両肩を竦めて見せる。



『さぁ、そこまでは何とも……我輩には文台様や幼台様達が何を考えてるのか判りません。ですが、さっきも言った様に徳謀様は今の文台様に危惧を抱いております。最悪、家を割るか或いは……孫家が滅ぶ可能性も無きにしも非ずです 』


『……成る程、さっきアンタが言った『孫家を生き永らえさせる』と言うのは、万が一母様達に何かあった時、私に孫家を再興して欲しい、そう受け取れと言う事よね? 』


『その通りです。流石に、今回ばかり徳謀様は『股肱の臣』としてお家の存続を最優先で考えておられます。となれば、南陽王殿下の臣となり、文台様から独立された伯符お嬢に期待の目を向けるのは当然だと思いますがね? 』



 そこまで言って、公奕は真っ直ぐ雪蓮を見据えると、彼女は諦念交じりの溜息を一つ吐いて見せた。恐らく彼女なりの返答であろう。



『はぁ~あ、判ったわよ。確かに、惚れた漢を取って家を捨てた私にも結構責任あるしね? 良いわ、いざと言う時孫家の名跡は私が継ぐし、私を頼ってきた者が居れば拒まずに全て受け入れる。もし、何だったら今ここで証文でも書こうかしら? 』


『おおっ、そいつは名案だ! 伯符お嬢のお墨付きがあれば、徳謀様も安心できると言う物ですぜ? 』


『……無論、アンタには証人として名を書いてもらうわよ? 』


『勿論でさ。孫家の為なら、喜んで書きますぜ? 』



 その言葉に頷き、雪蓮は証文を書き記すと、最後に自らの親指を傷つけ血判を押して公奕に手渡す。そして、次に公奕も証人として名を書き記すと、自身も血判を押し嘘偽り無しの姿勢を示して見せた。



「はぁ~あ……まさか、こんな事までしちゃうなんて……ったく、私の将来設計からどんどんかけ離れていくじゃない? 」


哈哈哈(HAHAHA)ッ! そいつは残念でしたな~? で、その将来設計ってのは一体どんなモンなんです? 良ければ教えてもらえますかね? 」



 先程とは打って変わり、ややふてくされた風で雪蓮が酒盃を煽ると、お生憎様と言わんばかりに笑い飛ばす公奕。二人は声の大きさを普段の物に戻していた。



「そりゃ決まってんじゃない。家督なんか継がないで、好きな漢の傍で好きな酒飲んで楽に暮らす事よ 」


「やれやれ、家を出ても、その怠けたがりは相変わらずですなぁ? あのガリ勉眼鏡や徳謀様が聞いたら、こめかみに青筋浮かべて怒鳴り声を上げますぜ? 」


「でしょうねぇ~。冥琳や縁ならやりそうよね? 」



 そこまで言うと、二人から笑い声が自然に上がる。暫くの間、室内に二人の笑い声が響き渡っていたが、突然公奕が“くどい”顔を雪蓮に寄せてきた。



「お嬢…… 」


「ど、どうしたの? 行き成り顔を近づけるなんて? 」


「伯符お嬢……できれば、我輩にもお嬢が惚れ込んだ漢を紹介して貰えませんかねぇ~? お嬢ほどのお転婆がぞっこんに惚れ込んだんだ。是非とも一目会って見たいモンでしてね? あ、もしそれが無理なら、誰か別の漢紹介して貰えませんか? 南陽王の忠臣劉玄徳殿の陪臣は、実に良い漢揃いだとも聞かされてますぜ? 」


「ん゛な゛っ…… 」



 どうやら、公奕は本気の様だ、マジと書いて真剣と読む。正にそう言った状態で、彼は気色悪く身をクネクネと捩じらせていた。このおぞましい彼の姿に、雪蓮は言葉を失い、固まって(フリーズ)してしまう。然し、それもホンの僅かの事で、すぐさま彼女は本気の殺気を身に纏うと、迷う事無く剣を抜き放ちその切っ先を公奕に突き付けた。



「……それ、冗談で言ってんの? お生憎だけど、ここにはアンタに貞操を許す漢は一人も居ないわ。諦めるのね? さもないと、私の剣がアンタの男を『使用不能』にしてしまうわよ? 」


「おおっと、こいつぁ失礼! ちとおイタが過ぎましたかな? 」



 雪蓮から本気の殺気をぶつけられているのにも拘らず、公奕は平然としており全くと言って良いほど動揺を露にしていない。


 ――恐らく、本気でコイツに斬りかかったとしても無駄に終わるだろう――そう雪蓮は判断すると、一息吐いて殺気を霧散し、剣を鞘に収めた。



「全く、おイタにしては性質が悪いわね? それと、若し仮にアンタを皆に紹介なんかしたら、それこそ一心や他の劉家の漢連中から完全に嫌われちゃうわよ? こっちはまだ仮祝言すら挙げていないんだし、将来の夫との縁を迂闊に壊す真似はしたくないの。ごめんあそばせ 」


哈哈哈(HAHAHA)ッ! 確かにそいつぁ拙い! ならば忠臣たる我輩と致しましては、主筋たるお嬢が不利になる真似は、暫くの間控える事に致しましょう! 」


「そうしてちょうだい……それも暫くじゃなくって、一生で良いから。で、さっきの話だけど私以外の連中には他言無用よ? 例え蓮華や祭でもね? 只でさえ今大変なこの時に、余計な心配事を与えたくないのよ 」


「無論、そこら辺は判ってますぜ、お嬢。これより、我輩はこの証文を徳謀様への手土産に辞去致します。また何かありましたら、連絡致しますぜ? 」


「……若しかするとだけど、アンタには色々と動いてもらうかもしれない。これからも頼んだわよ? 」


「お、そいつぁ若しかしてお嬢お得意の『勘』ですかい? 」


「そ、勘よ、勘。フフッ。だけど、正直当たって欲しくないんだけどなぁ……私の勘って、良い時より悪い時の方が当たり易いからね? 」


「それに関しちゃ、皇天后土しか知り様がありませんなっ! まっ、当たって欲しくないのは我輩も同意見ですがねっ?! では、これにてゴキゲンヨウ! 」



 そう言い残すと、公奕は薔薇の花弁を舞い散らして雪蓮の前から音も無く立ち去り、彼が居た辺りからは芳しい薔薇の残り香が漂っていた。



「はぁ~~。間諜としては優れ者なんだけど、『アレ』さえなければ、今頃年下の思春に呼び捨てにされる立場に居なかった筈なのに。本当、人間って都合良く出来ていないわよね? 」 



 誰に言うまでもなく一人ごちる雪蓮であったが、ふと彼女の視界に先ほど血判を押した際に傷つけた指が映る。それには小さな布が巻かれており、真紅の染みが一つ浮かんでいた。



「母様……腹黒ババアと一緒に一体ナニを仕出かすのか知りたくも無いけど、余り厄介事を家出娘の所に持ち込まないでよ? お蔭でこっちは血判押す羽目になったんだから 」



 と雪蓮は棚から塗り薬を取り出すと、指に巻いていた布を解いて、傷口にそれを塗り付ける。薬の刺激で襲ってきた痛みに、彼女は顔を顰め思わず涙ぐんでしまった。



「ッ痛ゥ~~ッ! ったく、これも全て母様達のせいよ?! 何で私がこんな事までしなくっちゃいけないのよ……でも、あの証文が使われる日が来なければ良いんだけどね……それと、『天の御遣い』か……後で一心達に相談……出来ないわね? だって、蓮華や祭達に話したくない事を、他の皆に話せる訳無いじゃない? 」



 若し、この時点で雪蓮が一心達に相談したら、一刀達は孫静に囚われた早坂兄妹や不動如耶を早急に救い出す手を打てたかもしれない。然し、中々思い通りにいかないのも現実である。


 一旦、面倒事を頭の中から追い出したかったのか。この後、雪蓮は半ば自棄酒気味に酒盃を煽り続け、翌朝喜楽(男龐統)から強烈な酔い覚ましの薬を調合して貰う羽目になった。そして……公奕が持ち帰った血判付きの証文は、彼女の期待を嘲笑うが如く、後日使われる事となってしまったのである。




 ――それと、同時刻。某所において―― 




「悪く思わないでね? これは文台様と公瑾様のご命令なの 」


「……っ 」



 と、珍しげな帽子と衣服に身を包んだ小喬が、自分の足元で蹲る(うずくまる)少女に冷たく言い放つ。少女は全裸にされており、全ての衣服は言うに及ばず、髪飾りだけでなく下着や靴下に靴までをも剥ぎ取られていた。



「その代わりと言っては何だけど、アンタにはあたしの服を上げる。だから、暫くの間それで我慢してね? それにしても、この服結構動き易いわね? 気に入っちゃったし、いっその事貰っちゃおうかな? 」


「…… 」



 そう言うと、小喬は先程まで着ていた自分の服を彼女の足元に置く。一体何が起こってるのか、少女は全く理解できず。彼女は、無意識の内に細い両腕で胸を隠していた。



「なんで…… 」


「ん? 何か言いたいの? 」



 自分が弱いのは十分に理解しているが、行き成り理不尽な事をされて黙っていられず、少女は声を上げた。



「なんで、羽深(うみ)の服を全部取るんですかッ!? なんでっ? それと、早く……お兄ちゃん達に会わせてッ、会わせて……ください…… 」


「ッ…… 」



 段々と声がか細くなり、少女――早坂羽深は細い肩を震わせすすり泣く。彼女の嗚咽を耳にした瞬間、小喬の中に、嘗て双子の姉大喬と共に、この少女と同じ姿で奴隷市場に売りに出されていた事が鮮明に蘇って来た。



 ――嗚呼、今のアタシがこの娘にしてる事は、昔自分やお姉ちゃんがされたのと同じ事なんだ――



 そう思うと、小喬は自分がとても醜い物に見えてきた。然し、大恩のある青蓮様や冥琳様に逆らう事は出来ない。ならば、自分で出来る限りこの子の支えになってやろう。そう結論付けると、小喬は少女に歩み寄り服をそっとかけて上げた。



「ゴメン、ホントにゴメン。アンタだってお兄ちゃんに会いたいんだものね? アタシだってホントはお姉ちゃんに会いたかったのに……でもね、アタシは文台様や公瑾様に恩返しする機会を貰ったの。だから、それを裏切る事なんて出来ないの。本当にゴメンね? 」


「え…… 」


「お兄ちゃんには会わせられないけど、代わりにアタシがお兄ちゃんにアンタの事を話しとくし、そのお兄ちゃんの事も聞いといたげる。それと、アンタの待遇を悪くしない様冥琳様にお願いしてあげるから、だから……今は我慢してね? 」



 ――ひょっとすると、この子何か訳ありなのかも知れない。もし、この子と仲良くなれたら……多分お兄ちゃんに会えるかも知れないよね? ――



 正直、期待できそうにも無い推測だが、可能性は零ではない。ならば、今は大人しくしていよう。そう判断すると、少女は黙って頷いた。



「よかった……言う事聞いてくれて。なら、取り敢えずアタシの服を着てよ。そのままだと風邪を引いちゃうわよ? 多分、アタシと体型同じだと思うから、楽に着れるはず 」


「う、うん…… 」



 羽深は小喬の服に身を包むと、メイドキャップに似た意匠の髪飾りに『小』と書かれた頭巾(ときん)を頭に着け、最後は短い鎖のついた首輪を着けると、羽深のフランチェスカの制服を着た小喬の前に立って見せた。



「へぇ~、こうして見ると意外とアタシに似てるわね? 」


「そう言うあなただって、羽深にそっくりだよ? 」


「そう? ありがと。実はね、文台様と公瑾様から、アンタの服を調べたいってお達しがあったの 」


「羽深の? 」


「そ、だからアンタと姿形が似てるアタシが選ばれた訳。手荒な真似しちゃったけど、理解できた? 」


「う、うん…… 」



 そう羽深が頷くと、小喬は満足げに笑って見せた。



「暫くの間、着心地とか調べるから返すのは大分後になるけど我慢してね? それとお兄ちゃん達に、アンタの事はちゃんと伝えとくから? アタシは小喬って言うの。アンタは? 」



 行き成り名を尋ねられ、一瞬驚いてしまったが、羽深は直ぐに名乗り返す。


「羽深……ううん、私はね早坂羽深って言うの。羽深と呼んでね? 」


「判った、羽深。今度からそう呼ぶわね? それじゃ、羽深また後でね? 早く戻らないと冥琳様からお叱りを受けるから 」


「うん、それじゃバイバイ小喬ちゃん 」


「『百々(バイバイ)』? 何それ? 」



 聞きなれぬ言葉に、小喬は目を白黒させるが、軽い笑みと共に羽深が答えた。



「『さよなら』とか、『また後で』って意味だよ小喬ちゃん 」


「そうなんだ……それじゃ、百々(バイバイ)羽深 」


「うん、バイバイ 」



 会話を終えた小喬が『貴賓室』を退出すると、すぐさま分厚い扉が閉められ大きな音と共に施錠される。小喬とのやり取りは軽い口約束かもしれないが、今の羽深はそれを信じる事しか出来なかったのだ。また、この出来事が元で、これ以降二人の間では別れる際に『百々(バイバイ)』が使われる様になり、それは瞬く間に周囲に広まったのである。



『ゴメン羽深、本当にゴメン……青蓮様と冥琳様から命ぜられたのは、変わった服を調べる事じゃないの。本当は…… 』



 申し訳無さそうな表情で、羽深の制服を着た小喬がとある部屋の前で佇む。そして、ゆっくりと部屋の扉を叩くと、中から若い男の声が返ってきた。



『誰だ……? 』



 すると、小喬は自身が下げていた首飾りに触れ声を出すが、発せられたそれは普段の彼女の物ではなかった。



『お兄ちゃん、羽深だよ? お兄ちゃんに会いたいって言ったら、会わせてくれたの 』


『……!! 羽深っ、羽深なのかッ!? 』


『うん、羽深だよ。今からソッチに行くね? 』



 そう言うと、羽深に化けた小喬は傍らの兵に扉の鍵を開けさせ、中へと入っていったのである。彼女が一体何を命ぜられたのか? その真相を知るのはまだまだ先であった。




 ※2:『おっぱい』の可也下品な中国語訳。日本語風に言うなら、『パイパイ』、『パイオツ』だろうか。 




 ――O・MA・KE――




「なぁ、璃々香。何で楊儀って名乗ってるんだ? 史実の楊儀って、歴史家からボロカスにブッ叩かれた奴だし、『三國志において殺したい奴ワースト10』の上位に入る位のDQNなんだぜ? 」


「え゛? D、DQNですって……? そ、そうなんですの……? 」


「ああ。多分何らかの偶然だと思うんだが、ちょっと引っ掛かってたんでね? 」

(何せ、楊儀の名を聞いた瞬間。照世老師や固生老師がおもきし渋い顔してたしなぁ~~ )



 璃々香と二人きりで話していた時、一刀は疑問に思った事を尋ねてみると、彼女は自虐的な笑みを浮かべた。



「ふ、うふふふふふっ……笑わずに聞いて下さいましね? わたくしが、何故『楊儀』と名乗ってるのか、その訳をお話し致しますわ…… 」




 ――昨年の春、襄陽の水鏡塾にて――




 とある部屋では璃々香が寝台に寝かされており、額には水でぬらした布を宛がわれていた。うなされているのか、彼女の口からは意味不明のうめき声が漏れている。



「この子、中々目を覚まさないよね? 朱里ちゃん 」


「うん、道端に倒れていたし、着てる服もボロボロで下着が殆ど見えてたんだもの。多分、悪い男の人たちに追われていたんだと思うよ? 」



 その傍らでは、雛里と朱里が付きっ切りで看病しており、彼女等は時折体を拭いてやったり、傷口に薬を塗り直したりしていた。



「朱里、雛里 」


「「あっ、水鏡老師 」」



 声と共に、悠然とした足取りで彼女等の師母『水鏡』こと司馬徳操が部屋に入ってくると、二人は揃って声を上げた。未だ臥せたままの璃々香を見やると、水鏡は手にした白羽扇を顔前に翳す(かざす)



「まだ、目を覚ましてない様ね? もう三日も経ったと言うのに…… 」


「はい、老師の仰る通り未だに目を覚ましておりましぇん 」


「え、えとその、どうやら可也怖い目に遭ったらしく、時折うなされて意味不明のうわ言を言ってましゅ 」



 実にカミカミで状況を説明する二人に、水鏡は困り顔を一つ浮かべた。



「困ったわね……せめて、名前位判れば良いのだけれど…… 」


「う、ううう…… 」


「「「ッ!? 」」」



 三人が困りあぐねていた、その時であった。うめき声と共に璃々香の目がうっすらと開かれたのである。それを見て、水鏡が彼女に優しく呼びかけた。



「良かった、目が覚めたのね? 」


「あ、あ、うー…… 」


「大丈夫、ここは安全だから 」


「あ、あー…… 」


「もし宜しければ、貴女の名前を知っておきたいの。私に教えて貰えるかしら? 」


「う、うー…… 」


「良かった、どうやら名前位は言えそうね? 」



 そう呻いて、璃々香の顎が僅かばかりに蠢く(うごめく)と、それを水鏡は肯定と受け取り安堵の表情になる。



「それでは、早速尋ねるわね? 先ず、貴女の姓は? 」


「や、やん…… 」


「ふむ、(ヤン)、楊さんね? 次に名は 」


「い、いー…… 」


「成る程、(イー)(ヤン)(イー)楊儀(ようぎ)と言うのね? では、最後に……字は? 」


「う、うぇいこん…… 」


「字は(ウェイ)(コン)……貴女の一般的な呼び名は(ヤン)(ウェイ)(コン)楊威公(よういこう)と呼べば良いのね? 」


「う、うー…… 」




 ~~~※※※~~~



「と、言うのがわたくしの呼び名の由来ですわ……フ、フフフフフッ。まぁ、何となくですが、ここの世界は中華の文化圏じゃないかと思っておりましたので、偽名を名乗るには好都合と思いましたの。ウフフフフフフフフ…… 」


「おい、何だよそれ……余りにもお粗末過ぎやしないか? 」



 力無く笑い声を上げる璃々香に、一刀が呆れ顔で突っ込むと、逆上したのか彼女は声を荒げる。



「だって、しょうがないじゃないっ!! あの時、わたくしも何があったか全然覚えていなかったし、無意識の内に上げたうめき声を水鏡老師に都合良く解釈されてしまったのだからッ!? わたくしに比べ、一心様に名前を付けて貰った一刀様がどんなに羨ましい事かっ?! わたくしが使ってる名前がそんな人の物だと判ってれば、最初から名乗ってなかったわよっ!? 」


「……まっ、しゃあないか。今更改名なんざ出来ないし、それで行くしかなさそうだな? 」


「ええ……それと、わたくし三國志とか全く判りませんの。確か、ジンギスカンが出てくる時代でしたわよね? ですから、そこら辺の事もレクチャーして頂けたら有り難いですわね? 」



 その言葉に、一刀の怒りゲージが思わず振り切れてしまった!



「……ちっがーう!! 全く違うわ!! チンギス・ハーン率いるモンゴル帝国の時代は三國志の時代から千年も後の事だ!! 先ずはそこからびっしりと叩き直してくれるわっ!! 」


「いっ、嫌アアアアア~~~!! 」



 哀れ、この後璃々香は一刀の私室において、彼が持ってきた歴史関係の本や世界史の教科書を元に、その日の夜遅くまでみっちりと教え込まれ、寝不足気味で朝を迎える羽目となった。然し、楊威公を名乗る璃々香にとり、一刀の存在はとても心強い物だったのである。




【孫家の頼れるNice Guy!! 】



 姓:(しょう) 名:(きん)


 字:公奕(こうえき)


 真名:銀次


 役職:孫家親衛隊副長(表向き)だが、実際は縁(程普)個人の間諜。


 年齢:二十二歳(自称)


 身長:八尺六寸強(約200センチ)


 体型:漢女が掘れ込むほどのマッチョメン。


 外見特徴:暑っ苦しいほどの浅黒い肌。特徴的な前髪。いつも薔薇の花を咥えている。


 服装:股間は『もっこり』が強調された背徳的な物で、間諜には不向き。


 戦闘能力:実はつおい。特に男相手なら。怪力と、思春や明命に引けを取らぬ素早さを誇る。


 知力:高め。


 行政能力:期待スンナ。


 魅力:伊達男。別の意味でスゴイ。


 性格:情熱的な伊達男で、正義感に溢れてるが、きちんと公私を使い分ける面も。性暴力の類を嫌うが、女を襲う男を『掘る』のが好きらしい。


 特技:諜報を始めとした裏仕事全般、ふぃんがーてくにっく(主に男性に有効)。


 好きな物:良い漢、お風呂、入浴剤、薔薇の花。


 嫌いな物:無粋な奴、愛の無い行為、セイハンザイ。


 性癖:男色の気があるが、実は両性愛者(自称)らしい。漢女も守備範囲内だそうです。


 CVイメージ:愛植雄(岸尾だいすけ)


 キャラの元イメージ:じごろう銀次(出演作品:「あっぱれ! 天下御免」、「あっぱれ! 天下御免 祭」)

 ここまで読んでいただき真に感謝。今回は、以前名前のみ登場した蒋欽が出てきました。蒋欽をどんな感じにするべと考えた所、甘寧、周泰と主な呉の将軍が「忍者」とか「暗殺者」チックになってるので、蒋欽もこの線で行こうかと決めました。


 私は、基本オリキャラ考えるのは……恐らく読者さんに受け入れ辛いと思うので、既存キャラに扮させる形式を取ってます。今回は規制対象外であるBaseson作品の「あっぱれ!天下御免」シリーズに、ちょうど良いキャラがいたので、「じごろう銀次」さんに蒋欽役をやらせたわけです。受けていただけたら、幸いで御座います。


 今回の更新は久々にノリノリで、書いてる最中にネタが次々と浮かんできたので、中々上手く区切れない状態に。(汗 ホントは雪蓮と蒋欽のやり取り~オマケで終わらせようと思ったんですが、追加で春恋組、羽深ちゃんの話を入れちゃいました。


 小喬が羽深の服を着て彼女に化けた話ですが、これは『虎口後日談』を書いた直後に考えておりました。


 自分の主観なんですが、大喬小喬姉妹と、春恋の羽深はどこか似てる(キャラデザ同じだし)と思ったので、小喬を羽深に化けさせようか?と思いついたわけなのです。


 一体どう言う目的で化けさせたのか? 判り易い位にバレバレですが、ネタバレ無しでお願いいたしますね?(汗 


 以前、『虎口』関連の話を書いた際に、他から「魏だけじゃなく、呉のキャラを悪し様に書いてる」と耳の痛い事を言われましたが、こればかりは甘んじて受けるしか御座いません。何故なら、今の自分は「書きたい物を書いてる」だけに過ぎない訳なのですから。


 確かに、自分は蜀贔屓なのは自覚してます。蜀マンセー、そう言われても仕方ないです。他の勢力、特に魏はちと苦手ですし、真・恋姫もその魏からプレイしました。(この手のゲームは苦手な物から先にプレイする癖があるので。)


 只、他の恋姫二次小説見てみますと、矢張り主流は「魏メインのアンチ蜀」なんですよね。私みたいな奴が一人居たって良いんじゃないかと思って、できるだけ開き直ってやっております。


 また、青蓮さんこと孫堅は、只悪人仕立てにしてる訳じゃありません。彼女なりに思惑も御座いますので、そこら辺も上手く描写したいと思っております。


 さて、また長文になりましたので、今回はこれにて失礼させていただきます。また次回の更新にてお会い致したく思います。


 それでは、皆様ゴキゲンヨウ! 不惑庵・裏でした。


作業用BGM:平沢進「Aria」(劇場版「ベルセルク」OP)

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