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真・恋姫†無双 ~昭烈異聞録~   作者: 不識庵・裏
第一部「楼桑村立志編」
15/62

第十四話「桃園結義」

 どうも、不識庵・裏です。今回は、通常よりも速めのペースで、更新に漕ぎつく事が出来ました。


 今回は予告通り桃園の誓いの話です。先週からプロ野球が開幕され、我が地元楽天イーグルスの試合が気になり、タイプが進まんと思っていたのですが、ここ数日負け試合が込んでいたので、思いの外タイプが進んじゃいました。


 負けてた方がいいのかしら? なんて不謹慎なこと考えちゃだめですよね。(苦笑


 それでは、第十四話。必死こいて書き上げました。よければ楽しんで下さいませ。

 新しい客人がやってきたその晩、一心達は彼女等にささやかな酒宴を催す。


 然し、以前琥珀達を持て成したほどの馬鹿騒ぎは無く、むしろ可也あっさりとお開きにさせた。一刀は久し振りに酔い潰れずに済んだのか、安堵の表情を浮かべて寝床に潜り込む。


 桃香は桃香で、愛紗と鈴々との親交を深めるべく、自分の部屋で三人一緒に休む事にした。



「あの子が関羽と張飛か……。張飛の方は人懐こかったけど、関羽の方は……正直義雲兄者に比べると人当たりがきつそうだなぁ、同じ関羽でも義雲兄者はああ見えて、人当たり良いとこあるしなぁ…… 」



 一刀は、先程彼女らに自己紹介をするに当たり、張飛の方は直ぐ懐いてくれたものの、関羽の方は……物凄く睨まれてしまった。


 現在、正直彼は少しめげていたのである。関羽と名乗るあの少女に結構きつい事を言われてしまい、顔には出さなかったものの、少し心を傷つけられてしまったのだ。


 流石に見かねたのか、義雲が間に割ってはいると彼女を窘めると、一刀の肩に手を置き優しく慰めの言葉をかけてくれたのだ。



「まぁ、あの時桃香が俺の事を紹介した時のシチュエーションも、拙かったのかも知れないけどな。ハハハ…… 」



 両手を頭に組んで天井を見上げながら、一刀はあの時の事を思い返す。




『愛紗ちゃん、紹介するね。私の従兄の仲郷さん。さっき紹介した一心兄さんの弟さんなんだ 』



 にっこり笑いながら、桃香が一刀を愛紗に紹介するが、愛紗は行き成り怪訝そうな目を彼に向けていた。



『初めまして、関雲長殿。私は劉北、字は仲郷と申す者です。これから桃香を宜しくお願い致します 』



 礼を失してはいけない、そう思って一刀は愛紗に拱手で一礼する。だが、彼女は更に一刀刺すような視線を浴びせる。



『ああ、初めまして。貴殿が仲郷殿か? 失礼だが、貴殿は桃香様とどのようなご関係なのか? 従兄と言う割には、桃香様の真名を馴れ馴れしく呼んでいる様だが 』



 行き成り開口一番で言ってきた言葉がこれだ。流石に桃香も一刀も面食らってしまう。桃香は少し慌てた風で、言葉を挟んだ。



『え、ええと、一刀さん。ううん、仲郷さんは……私の想い人なんだよ。だから、私にとって大切な人なの 』



 何とか場を取り繕うと思って言ったのかもしれないが、それは、愛紗にとっては火に油を注ぐ結果になる。愛紗は眦を吊り上げると、一刀と桃香に厳しい言葉を浴びせ始めた。



『失礼ですが、桃香様。貴女には我々と同じ憂国の念がある筈だ。だのに、男などに現を抜かすお暇があるとお思いか!? 大体、貴様の方も何だ! 桃香様はこの国を何とかしようとお考えであるのに……。貴様の存在は桃香様の妨げになりかねん!! 桃香様、悪い事は申しません! この様な男と交わるのはお止めなさいませ! 』


『愛紗ちゃん…… 』



 彼女の半ば暴言にも近い言葉に、場の空気が一気に冷え込む。一刀は苦笑いを浮かべるだけにとどめており、桃香は悲しそうな目を愛紗に向けていた。恐らく彼女なりに桃香を思って言った言葉なのかもしれないが、それは一刀を手塩にかけて育てた漢達の反感を買ってしまう。



『おいおい、いきなりそりゃあねぇだろうが……。関羽さんよぉ 』


『あんの長髪のアマッ子……良くも俺等が大切に育てた北の字を馬鹿にしやがってぇ~~!! こうなりゃ修正したらあっ! 思っきしぶん殴ったるぜ!! ん……? ヤイコラてめぇ等!! 

ナニ人の体掴んでんだよっ! 放せっ、放しやがれってんだい!! 』


『義雷殿、落ち着かれよ! 相手は若い娘です、貴方が力任せに殴れば只事では済まされぬではありませんかっ!? 』


『頼む、義雷ッ! 気持ちは判るがここでガチの殴り合いをするな!! 俺だってなぁ! あの無礼な娘を殴りたいのを堪えているのだ!! 』


『義っ、義雷殿~~!! 短気は損気です!! 

おっ、落ち着いて、落ち着いて!! どうどう~~!! 』


『落ち着かんか、この脳筋ッ!! ここは義雲殿に任せるんじゃ!! 儂とてな、若を愚弄したあの娘の尻を引っ叩きたいのを我慢しとるんじゃあ!! 』



 一心は露骨に眉をしかめて愛紗を怖い目で睨み付けるし、義雷は長衣の袖を勢い良く捲くり上げ、今にも彼女目掛けて飛び掛りそうであったが、雲昇、壮雄、固生、永盛の四人がかりで押さえられている始末。



『それ位でやめられよ、関羽殿。我が義兄の弟をけなすと言う事は、わしらの弟をけなすのも同然であるし、桃香殿をけなすのに等しき事だ 』


『義雲兄者…… 』


『なっ…… 』



 低い渋めの声と共に、義雲が愛紗に歩み寄る。愛紗はこの身の丈九尺の長髯の大男に思わず圧巻されてしまった。



『先程から聞いていれば、お主の言ってる事は無理矢理こじ付けをして、桃香殿を一刀から引き離さんとしているとしか思えぬ。わしはな、兄者や義弟を始めとした仲間達と共に一刀を手塩に掛けて育ててきたし、同時にこの二人を温かく見守ってきたのだ。わし等が保証致そう、一刀はけして桃香殿の妨げにはならぬ 』


『……むむむ 』



 じっと自分を見詰めるこの男に、愛紗は言い返す事が出来ず、何だか自分自身に説教されるような複雑さを感じる。すると、桃香が優しく愛紗の肩に手を置いた。



『愛紗ちゃん、ゴメンね。もしかして気に障る事をしたのなら謝るよ? でも、一刀さんの事を悪く言うのだけはやめてくれないかな? 』


『桃香様…… 』



 悲しそうに目を伏せながら言う桃香に、愛紗は何とも言えない気まずそうな顔になると、彼女は一刀を含めた全員に対して深々と頭を下げて謝った。



『失礼をした……私はどうやら、酒に酔ってたようだ。仲郷殿、先程は申し訳ない。関仲拡殿も……貴方が諭してくださらなかったら、私は桃香様との絆を危うく壊してしまうところだった。酔いを醒ましたいので、少し外の空気を吸ってくる。失礼 』


『あ、愛紗~! 』


『あ、愛紗ちゃん。……ごめんね、ちょっと愛紗ちゃん見てくるから、後は皆でやってて 』


 

 そう、謝罪の言葉を述べると、愛紗は外へと飛び出してしまい、鈴々と桃香は彼女の後を追う様に部屋を出る。後に残ったのは興ざめしきって、白けてしまった場の空気と、愛紗に対する不快感のみであった。



『すまねぇな、公覆さん、尚香ちゃん。こうなっちまったら、酒が不味くなっちまうし、もう騒げねぇ。近い内もいっぺん仕切り直すから、今宵はお開きにして良いかい? 』



 こうなってしまうと、もう宴どこらではない。これ以上やっても全然楽しくないと判断して、一心はもう片方の客人たる祭と小蓮に申し訳無さそうな顔で深々と頭を下げて謝った。



『なぁに、構わんよ。それと儂の事は『祭』と呼んで構わぬぞ? 『婿殿』? 婿殿を見ていると、策殿がぞっこんになるのも頷けるわ。お主の様な漢なら文台様も惚れこむかも知れんしのう…… 』


 妖艶な笑みと共に、祭は嘗め回すような視線を一心に浴びせると、彼を『婿殿』呼ばわりした。



『うん、別にシャオは構わないよ? それとシャオの事は小蓮って呼んでね? シャオもおじさんの事、『一心おじさん』って呼ぶから。いいでしょ? 『一心おじさん』♪ アハハッ♪ 』



 先程、姉に頬を打たれた事から立ち直ったのか、一方の小蓮はいつものませた雰囲気に戻っている。彼女は小馬鹿にするような口調で、彼を『おじさん』呼ばわりしてからかうと、無邪気にコロコロと笑ってみせた。



『は、ははは……そう言って貰えれば有り難ェや。それとなぁ、小蓮ちゃん。おじさんはねぇだろ、おいらまだ二十五だぜ? 』


『嘘ッ!? シャオ、てっきり母様より年上と思っちゃった! 』


(こ、このっ、アマッ子……!! お尻ペンペンしてやろうかい!! ったく、体はガキンチョの癖しやがって、口だけは達者じゃねぇか!! )



 そんな彼女等の反応に、一心は勘弁してくれと言わんばかりに、思いっきり顔をひくつかせる。特に、小蓮のおちょくるような態度には、流石の彼も僅かばかりの怒りを覚えてしまった。



『のう、策殿……。『モノ』は相談なんじゃが…… 』


『え? どうしたの、祭? 』



 瞳を潤わせて、ほんのりと頬を赤く染め、緩やかな動きで祭は雪蓮にしなだれかかった。



『ここのところ、儂もソッチで『日照り気味』でのう……。出来うるのであれば『婿殿』を『一晩』貸して欲しいのじゃが……どうじゃろ? 婿殿のムンとした侠気(おとこぎ)に中てられて、さっきから儂の『女』が疼いて堪らんのよ…… 』



 祭の視線と言葉が更に熱を帯びる。堪らなくなってきたのか、彼女は舌なめずりをすると艶かしく身悶えて見せた。



『なっ!? 』


『いいっ!? 』


(じょっ、冗談じゃねぇぞ! 幾らおいらが好色(すけべい)でも、あんた位だとおいらの守備範囲外だ! 北の字の言葉借りりゃ『あうと・おぶ・眼中』って奴だぜ! おいらはなぁ……若い娘の方が好みなんだよっ!! 熟女好きの義雲か永盛の爺ィにでも相談しろってんでぇ!! )



 すると、雪蓮はキッと両目を吊り上げて祭を睨み付け、一心は『冗談じゃない』と言わんばかりに露骨に顔をしかめる。一心達三兄弟の共通項目と言えるのは、『好色(すけべい)』な事である。一心は若くて『食べ頃』の娘が好みだし、義雲は熟女好きで、義雷に到っては、顔が良ければ年齢とか体型は余り気にしない方であった。


『幾ら祭でも、駄目よ! 一心は私の男なんだから! 仮に私より先に祭が身篭ったらどうすんのよ!? それこそ孫家末代までの笑い話にされてしまうわ! だったら、そこの永盛で我慢するのね! 歳も祭と近いようだし、お似合いなんじゃないの? 』


『なっ、何で行き成り儂に振るのじゃ、この娘!? 』


『ふむ、あの男かの…… 』



 そう声高に叫び、雪蓮が家に帰ろうとしていた永盛を指差すと、当の本人は目を白黒させた。祭はそんな彼に近寄ると、彼の顔をじっと覗き込む。



『なっ、なんじゃ! 普通男子の顔をまじまじ覗き込む女子(おなご)がおるか! 』


『ふむ……少々爺臭いが、これも中々ええ(おのこ)じゃの? ならば、今宵はこやつで良しとするか!!  』



 熟女独特の咽返る様な色香を放つ祭に、永盛は戸惑いの表情を浮かべる。すると、行き成り祭は彼の襟首を掴み、そのまま永盛を引き摺り始めた。



『こ、こらっ! 放さんかい! 行き成り良しだの言われても、酒のあてじゃあるまいに、儂が納得する訳無かろうが!! 』


『ええいっ!! 貴様も漢なら、据え膳位たんと頂く程の度胸を持たんかっ! それとも何か? お主の『男』はもう枯れ果てているのではなかろうな!? 』


『そう言う問題ではないだろうに!! ええいっ! 雲昇殿っ! 何とかしてくれ! 』



 永盛は同居人たる彼の名を呼び助けを求める。然し、当の彼はどこ吹く風といった感じで馬兄弟と何やら雑談をしていた。



『壮雄殿、申し訳ないが今晩そちらの方に泊めて貰えませんか? どうやら永盛殿に老いらくの春が来たようですので…… 』


『あ、ああ? 別に俺達は構わぬのだが……雲昇殿、助けなくても良いのか? 後が怖いと思うんだが? 』


『おっ、老いらくの春って……。雲昇殿、永盛殿はまだ四十にもなってませんよ? 』


『ああ、これは失礼。ついうっかり口を滑らせてしまいましたか 』



 雲昇の目が一瞬永盛の姿を捉えたものの、彼は二人に頼み込むと、結局彼等の家に避難を決め込んだのである。



『うっ、恨むぞ! この薄情もんどもめが~~!! 』


『ほれ、お主の家はどこじゃ? さっさと案内せんかい!! 今宵はしっぽり閨の上で武を競おうぞ! 』


『永盛殿、たまには羽目を外されるのもいい事です。今宵はごゆるりとお休みください 』


『永盛殿、腰を痛めるなよ? 』


『え、永盛殿……まぁ、頑張ってください。骨は拾いますので…… 』


『あははっ♪ 祭、頑張ってね~! 』


『祭~! 年寄りの冷や水なんかしちゃ駄目なんだからね~! 余り無茶すると後で来るんだから♪ 』


『ちょっ、ちょっと皆! あの二人止めなくってもいいの!? 』


『さっ、祭様? 』



 恨み言を叫ぶ永盛に、すっかりその気で彼を引きずる祭。少しばかりの微笑を口元に浮かべる雲昇に、ご愁傷様と言わんばかりに哀れむような目を向ける壮雄と固生。


 雪蓮と小蓮はやんややんやとはしゃぐ始末で、蓮華は声高に叫んでみせるものの呆然となってしまい、明命はおろおろと慌てふためいていた。



『……はぁ~~~ 』



 そんな狂騒をちらりと一瞥したものの、先程関羽にきつい言葉を浴びせられたのが堪えたのか、顔をしょんぼりさせて一刀は嘆息を漏らす。


 すると、そんな彼の肩にポンと大きな手が置かれた。突然の出来事に驚き、置かれた肩の方を見上げてみると、義雲が優しげな笑みを自分に向けてくれるではないか。



『義雲兄者…… 』


『一刀、あの娘の事なら気にせずとも良い。同じ関羽同士、あの娘の気持ちは何気なく判る積りだ。あれはな、お前に妬いてるのだよ 』


『妬いてる? さっきのがですか? 』

 


 優しい笑みのまま語りかける彼の言葉に、一刀が思わず首を傾げると、義雲は言葉を続ける。



『今日あの娘は桃香殿の同志となった訳だが、それより以前に桃香殿と親しげにしてるお主が面白くなかったのであろう。わしと義雷も、昔兄者と軍師殿が親しげにしてるのが面白くなかった事があったのでな。あの娘のお主に対する態度は、当時のわし等のそれと同じだ。少し時間を置いて、互いを理解するようになればそれも無くなるから安心するが良い 』


『義雲兄者……有難う御座います 』



 彼の温かい言葉がどれだけの励みになった事だろうか、気がつけば一刀は涙を流していた。すると、義雲は頬をほころばせる。



『これこれ、大丈夫足る者が泣いてどうする。兄者だけではない、わしと義雷も、いや他の皆もだ。皆お主の事を可愛い弟だと思っておるのだぞ? 落ち込んだ時や困った時は、迷わずわし等を頼るが良い…… 』


『はいっ! 』



 こうして義雲に励まされ、何とか立ち直った彼であったが、いざ寝床にもぐりこんでみたものの……。矢張り先程の愛紗の言葉が彼の頭の中で繰り返される。


 恐らくこのまま行けば桃香はあの二人と共に黄巾賊に戦いを挑む事になるだろう。その時自分は何をしているのか? 仮に桃香と共に戦場に出たとしても、きちんと彼女を支えきれるのだろうか? もしかすると、彼女の足を引っ張り、最悪彼女を死なせてしまう事になるのではないのだろうか?


 そんな事を悶々と考えていると、彼の目は冴える一方で、眠れない有様だ。何とか眠ろうと上掛けを被ってみるが、矢張り眠れない。



『なぁ、まだ起きてるのか? 』



 行き成り扉の向こうから女の声が飛んできた。一刀は勢い良く寝台から身を起こし、枕元に置いてある護身用の短剣を握り締める。



「……誰? 」


『あたしだよ、翠。ちょっと……話したい事があるんだけど、中に入れてくれないかな? 』



 握ったそれの柄をずらしながら、一刀は表情を険しくさせて扉を睨むと、声をややきつめにして言い放つ。意外な事に、声の主は最近ようやっと真名で呼び合えるようになった、翠の物であった。



「ちょっと待ってて、今開けるよ 」


 

 彼女の声に安堵したのか、抜きかけた短剣を鞘に収め、一刀が扉を開け放つと、空けた隙間から飛び込むような勢いで翠が中に入ってきた。



「一刀ごめんな、こんな夜更けに…… 」


「あっ、ああ…… 」



 入ってきた彼女の姿を見て、思わず一刀は言葉を失う。何故なら、彼女は寝巻き姿であったからだ。軍装を兼ねた普段着姿を見慣れているだけに、髪を下ろして寝巻きに身を包んだ彼女の姿はとても魅力的に思える。



「どうしたんだよ、翠? こんな夜更けに男の部屋に来るなんて 」



 一刀が寝台に腰掛けながら言うと、彼女にも座らせるべく自分の隣をポンポンと叩く。それを見て、翠も一刀の隣に腰掛けた。



「ちょっとな……。あっ、言っとくけど、べっ、別にソッチ目的じゃないんだからな、勘違いするなよ? 」


「ははっ、判ってるよ。でも、こんな状況じゃ『ソッチ』目的と思われても仕方がないか? 」


「◎△@×■~!! 」



 何気ない言葉一つで顔を真っ赤にし、慌てる彼女の姿に一刀はくすりと笑って見せたが、表情を真剣なものに改めた。翠もそれを見た途端に表情を引き締める。



「……で、何の用だい? 」


「ああ……あの関羽って奴がお前に言った言葉の事さ 」


「俺の存在が桃香の妨げになるって事だろ? 」



 自嘲気味に一刀が言って見せると、翠は一刀の前に手をかざし、それを拒否するような仕草を見せた。



「最初に関羽と張飛って奴を見た時、あたしはあの二人が可也出来ると思ったよ。もしかすっとあたしより強いと思う。でもな、あたしは……お前が桃香の妨げになるとは思ってない 」


「え? 」


「桃香はまだはっきり言ってないけどさ。恐らく、あいつはあの二人と一緒に黄巾討伐の義勇兵募集に応じる積りだ。お前もその時はあいつに協力するんだろ? 」



 翠がまっすぐ綺麗な瞳で一刀を見詰めると、彼はゆっくりと首を縦に振る。



「ああ、俺は桃香の力になりたいし、何よりも彼女を支えてく事が俺の天命だと思ってる。 」


「やっぱりな……。そうなると、当然お前も義勇兵になる訳だし、無論黄巾どもと戦う訳だろ? 」


「ああ、流れで言えばそうなるよ 」



 天井を見上げながら一刀がそう言うと、翠は伏目がちで言葉を紡ぎ始めた。



「あたしはさ、昨年この村に来て彼是半年以上経つけど。その間お前と手合わせしたり、馬走らせたり、時には一緒に賊とも戦った。そんなあたしが言うのもなんだけどさ、一刀は十分強いよ。あたしとの手合わせだって、今でも勝ちが先行してるし、あの義雲が言うだけあると思ったんだ。 ……だから、関羽の言う事なんか気にすんなよ 」


「ありがとな、翠……。お陰で自信が取り戻せそうだ。本当にありがとう、嬉しいよ 」


「一刀ッ……! 」



 目を細めて一刀が優しく微笑みかけたが、翠は顔を歪めて涙を流し始めると、行き成り彼に抱きつく。咄嗟に彼女を抱きとめたものの、突然の翠の行動に一刀は驚いてしまった。



「す、翠? 」


「ゴメン、ホントの事言う。雪蓮の悪戯とは言え、初めて裸を見せた男がお前だったから、最初はお前の事軽蔑してたし、うんと大嫌いだった。おまけに桃香や蓮華といちゃついてんの見てしまった事もあったし……。でもさ、この村でお前と勝負したり、馬を走らせてく内に段々お前の事が忘れられなくなってきて……。気が付いたら、あたし……お前の事が好きになってたんだ! 」



 まさかの告白である。思わず一刀はドキッとなってしまうが、同時に桃香と蓮華の顔が脳裏を過ぎる。何故か、一刀の中の二人は笑顔で剣を持っていた。



「翠、ありがとう。お前が俺の事そんな風に思ってくれてたなんて……でも、俺は 」



 女性関係を有耶無耶にさせれば、待ってるのは『死』あるのみだ!! そう自戒させると、一刀は彼女をなるべく傷つけないようやんわり断ろうとするが、彼の言葉をさえぎるように翠は声を張り上げる。



「判ってるよ、それ位! お前は桃香と蓮華相手に責任を取る積りなんだろ? でも、でも……このままだと、恐らくあたしとたんぽぽは近い内に母様の元に帰んなくっちゃいけない! だから、だから……その前にあたしに『思い出』をくれ! あたしを、あたしを……『女』にして欲しい! 」



 自分の寝巻きの胸元を掴み、涙を流しながら懇願する翠の姿に、一刀の心は大きく揺り動かされた。そして、今度は兄一心の顔が鮮明に浮かび上がる。



『北の字、いや、一刀……。孫子曰く『侵し(おかし)掠める(かすめる)こと火の如し』ってなぁ! こんな状況で無碍に断るのは勝機を逃すってもんだ! 勝ちを掴むんならトコトン侵し掠めろい! おめぇは今から『勢いの激しい火』になるんだよ!! 』



 何故か、一刀の中の彼が爽やかに笑いながらそう叫ぶと、グッと親指を立ててみせる。こうなってしまうと一刀の理性は一瞬にして吹っ飛んでしまった。



其疾如風(チージージューフォン)其徐如林(チーシージューリン)侵掠如火(チンルェジューフゥオ)不動如山(ブードンジューシャン)……。侵し掠めること…… 」


「え? 一刀? 」



 茫然自失とさせたまま、一刀が行き成り呟き始めた言葉に、思わず翠は困惑の表情を浮かべる。すると、一刀の両目がカッと光ったような気がした。



「火の如し!! 」


「キャアッ!? 」



 叫びと共に、一刀は翠を一気に押し倒し、後は彼女と閨の上で激しい一騎打ちを繰り広げる。二人の『打ち合い』は何十合、いや百合を超える激しいもので、それは風を呼び、雲を起こす竜虎の戦いであった。


 その最中一刀の脳裏では、昔見た国営放送の大河ドラマで、先程の孫子の兵法のくだりを題名にした、作品の主題曲が繰り返し流れ続けていた。何故か、それを背景に隻眼の軍師や、※1獅噛兜(しがみかぶと)を被った武将が高笑いをしている。おまけに、彼等に付け加え、一心までもが高笑いをしていた。



「チッ、翠姉様に出し抜かれちゃったか……折角たんぽぽが一刀お兄様を『慰めて』あげようと思っていたのに…… 」



 その二人の華麗で且つ激しい一騎打ちを、固唾を呑みながら『陣外』より傍観する者がいる。それは寝巻き姿の蒲公英であった。彼女は残念そうに舌打ちすると、他の者に気付かれぬようそっと扉を閉め、さっさと自分の部屋へと戻っていった。



 そして、激闘が終わり一夜が明ける。寝台の上では、全裸の翠が一刀の腕枕ですやすやと寝息を立てており、同じく全裸の一刀は虚しげに天井を見上げていた。恐らく、翠なりに女らしくしてきたのだろう、彼女は口に紅を塗っていて、彼の顔はそれと同色の紅まみれになっている。



「僕は……一体『ナニ』をやっているんだろ? 」



 そう呟いてみたものの、答える者は誰もいなかった。窓から差し込む煌く陽光が部屋中を照らし、外からはチチチと鳥の鳴き声が聞こえる。そんな爽やかな朝の演出も、彼にとっては虚しいものばかりであった。



「ゼ、ゼェゼェ……何だかんだで一夜明けてしもうたわい…… 」


「フフッ、やれば出来るではないか? 枯れ果ててるどころか、まだまだ現役だったしな……。久し振りに満足させてくれて、礼を言うぞ 」



 時を同じくして、雲昇と永盛の家。寝台の上では、永盛が全裸で息も絶え絶えに喘いでいると、彼と同じく全裸の祭は満足しきった風で悠然と酒盃を傾ける。何故か彼女の肌は昨晩より艶やかに見えた。



「のう、国実殿。そう言えば儂等はまだ真名を教えてなかったな? 」


「今頃気付きよったか…… 」



 ハッと気付いたかのように祭が言うと、永盛は呆れ顔になってゆるゆると身を起こす。彼は祭から、彼女が使ってた酒盃を受け取るとそれに酒を注いでもらい、そのまま一気に傾けた。



「ほう、中々良い飲みっぷりよな? 気に入ったぞ。で、な……もしお主が良ければ真名を預けたいのじゃが……どうであろ? 」



 しなを作って、祭が永盛にすすっと擦り寄ってくると、彼はフッと笑い軽く頷いてみせる。



「ああ、構わんさ。儂は永盛じゃ、『永く盛ん』と書いて永盛、今後とも宜しく頼む 」


「かたじけない、永盛殿。ならば儂の事は祭と呼んでくれ。祭りと書いて祭じゃ、こちらも宜しく頼む 」


「祭りと書いて祭か……。お主、中々良い名ではないか 」


「そう言うお主もな? ところでじゃが、永盛殿……朝餉にはまだ間があるであろ? どうじゃ、もう一戦…… 」


「んがっ!? 」



 祭は更に永盛に体を密着させると、潤んだ瞳で彼の顔を見上げ、妖艶な笑みを浮かべながら、彼の胸板に指で『の』の字を書き始める。


 『これ以上は無理だ、勘弁してくれ 』と言わんばかりに、永盛はげんなりとした顔になるが、当の彼女はお構いなしであった。



「散々まぐわって思うたのじゃが、どうやら儂等二人、意外とそっちの具合がすこぶる良いみたいでのう……。先程の事を思い出すだけで、また儂の『女』が疼きよるのよ。然るに、お主の『男』も、どうやらまだまだ大丈夫そうじゃしなぁ…… 」


「まっ、待たんかい! 祭、お主は儂を干物にする気か!! 」


「ふふふふ……。これだけの男を前にして、儂が簡単に手放すと思うたら大間違いじゃぞ? 」



 まさに蛇に睨まれた蛙というのは、こう言う事を指すのだろうか。永盛は慌てて彼女を引き離そうとするが、祭はがっちりと彼の両肩を掴んだ。



「ささ、朝餉までしっぽりと武を競おうぞ! 」


「こっ、これっ、放さんかっ!! 」


「嫌じゃ、誰が放すものか♪ 」



 狩人の顔になった祭は、そのまま永盛を押し倒すと、またも激しく己の武を競い合う。結局、朝餉の時間を告げに来た雲昇が来るまでの間、彼は解放されなかった。




「ねぇ、どうだろう? 改めて誓いを立てないかな? 」


「誓いですか? 」


「んにゃ、改めて誓ってどうするのだ? 」



 朝餉を終え、食後のお茶を啜りながら桃香が振ってくると、二人はキョトンと小首を傾げる。



「うん、実はね。今日は良いお天気だし、神様の前で私たちの誓いを見せるには打ってつけの場所があるの。どうかな? 」


「ほう、そのような場所が……。なら、私は賛成です。そのお話に乗りましょう 」


「桃香お姉ちゃんが言うんだから、良いに決まってるのだ 」


(ついに来たか、この瞬間が…… )


(とうとう始まったか……思えばここまで辿り着くの、意外と長かったぜ )


(ふむ……桃香殿もわし等と同じ様にここまで来たか…… )


(やれやれ……桃香ちゃんも俺等と同じになる訳だな。こっからどうなんのか楽しみだぜ! )



 桃香の話に二人は頬を綻ばせると、周りにいた者達も興味深げにそのやり取りを見守っており、特に一刀、一心、義雲、義雷等は目を細めていた。そして、桃香は一心や一刀を始めとした皆の方を向くと、声高に叫んだ。



「皆さん、昨日は色々あってはっきり言う事が出来なかったけど、私、愛紗ちゃんと鈴々ちゃんとの三人で黄巾討伐の義勇兵の募集に応じます! そして……弱りきったこの国を建て直したい! だから、その為に……私達は今日改めて神前で誓いたいんです! 皆さんには私達三人の誓いを見届けて欲しいんです! お願いしますっ! 」


「桃香様…… 」


「桃香お姉ちゃん…… 」



 実に清々しい顔で言い切って見せると、桃香は皆の前で拱手行礼を行い、深々と頭を下げる。そして、愛紗も鈴々も彼女に倣い、拱手行礼を行った。



「ふぅ~ん、前々から思っていたけど、桃香。やっぱり貴女には大志があったのね? 国を建て直すって立派だと思うけど、それは生半可な事じゃないのよ? 」


「雪蓮さん…… 」



 周囲が温かい目で見守る中、雪蓮だけは違っていた。流石に厳しい情勢の中、長沙を統治する孫家の嫡子だけあってか、彼女が桃香に向ける目にはいくばくかの冷気が混ざっている。



「ねぇ、桃香。貴女って、結構奇麗事を言う傾向があるわね……。県令、太守、刺史、いえ、若しかしたら王や公の位に昇るかも知れない。だからこそ、はっきり言っとくけど、貴女が歩もうとしている道は、それだけでは済まされないのよ? 場合によっては、清濁併せ呑む必要も出てくるわ。私だって、母様の背中見てるから判るもの……。所詮は戦も政も騙し合い、いわば『詭道(きどう)』なのよ? 玄徳……、それでも、その獣道を進む覚悟は貴女にあるのかしら? 」


「それは…… 」



 雪蓮の言い放った言葉は、桃香にとっては実に辛い現実だらけだ。話を聞かされる内に、段々と彼女の顔に陰りが生じてくる。何も言わないものの、愛紗と鈴々は険しい目で雪蓮を睨みつけていた。



「策殿、行き成り最初からそれでは玄徳殿もお困りであろう? この娘に行き成り文台様の物真似をせよと言うのは、正直酷な話じゃ 」


「姉様、桃香にそんな事実を突きつけては、桃香を潰しかねません! 」


「二人は黙ってて! 私も何れは母様に成り代わり孫家を率いる身。だからこそ、この娘とは将来轡を並べるのかもしれないの! その時にいつものあやふやなお人好しじゃ、正直私が迷惑するというものだわ!! 」


「策殿…… 」


「姉様…… 」



 流石に見かねたのか、祭と蓮華が雪蓮を窘めるべく彼女に言葉をかけてきた。だが、当の彼女は二人を睨みつけると、一喝して黙らせる。すると、桃香はそんな二人に優しく微笑んで見せた。



「ありがとう、蓮華ちゃん、公覆さん……。私の覚悟はもう決まってるの、だから安心して……。雪蓮さん、いえ、孫伯符様 」


「……っ 」



 桃香はキュッと歯を食いしばると、真剣な表情で雪蓮を見上げた。その彼女の顔に、雪蓮は僅かながらの動揺を覚える。



「私は、少し前までは只の無力な村娘にしか過ぎませんでした。皆何で仲良く暮らせないんだろ? どうしてお役人様は年貢を不正に取り立てたり、悪い人達が平気で乱暴を働くんだろうって…… 」



 ここで一旦言葉を区切り、一息置いて彼女は言葉を続けた。



「だけど、今まではそこまでしか考えてなかったんです。然し、私は一心兄さん達から沢山の事を学びました。考えてるだけじゃ駄目、何か行動を起こさないと状況は変わらないんだって。だから……今こそその行動を起こすべき時なんです!! 私がこれから進む道は、到底奇麗事だけじゃ済まされないのは覚悟してます。無論、汚い事に手を染める事もあるでしょう。でも、それでも! 私は私の道を歩み続ける積りです!! この劉玄徳、孫伯符様にお願い申し上げます。何卒私達の誓いの見届け人になって下さい!! 」



 力強く叫んで言葉を締めくくると、桃香は雪蓮に拱手行礼で深々と頭を下げる。彼女の必死な姿は皆の胸を激しく打った。それぞれ鼻を啜ったり、目頭を押さえて涙を拭ったり、中には愛紗や鈴々のように声を上げて号泣する者もいた。そして、雪蓮は綺麗な涙を流し始めると、優しく彼女の手を取る。



「何よ……出来過ぎの覚悟じゃない。正直私よりも上に立つ者としての自覚があるわ……。この孫伯符、喜んで劉玄徳殿、関雲長殿、張翼徳殿達三人の誓いを見届けましょう…… 」


「雪蓮さん……ありがとうございます!! 」


「伯符様、ありがとう御座います! 」


「伯符のお姉ちゃん、ありがとうなのだー!! 」



 優しい笑みで雪蓮が言った言葉に、感激して桃香は涙を流すと、愛紗も鈴々も嬉しさで涙を流した。そして、二人は自分の手を桃香の手を取っていた雪蓮の手に重ね合わせる。それは実に美しい光景であった。



「雪蓮姉様、さっきの桃香姉様に言った言葉って、冥琳の受け売りなんじゃないの? 」


「なっ、シャオ! 余計な事言わないでよ!! 」



 然し、そんな場の雰囲気を見事にぶち壊す台詞が別の方から掛けられる。その張本人は小蓮であった。彼女は顔をにやつかせながら、拙そうに顔をしかめる長女の反応を楽しむ。


 流石にこれには皆呆れてしまい、照世に到っては軽くよろめいてみせた後に、白羽扇をポトリと落とす始末。そして、冷ややかな視線が周囲から彼女に浴びせられた。



「はぁ~~~、やっぱりね……。この村に来てから、毎日楽しく遊んでた姉様に、あんな凄い台詞を言えるとは思ってなかったもの…… 」


「思い出したわ……そう言えば、公瑾の奴が策殿に噛ました説教とどこか似ておったのう……。策殿、その言葉は策殿自身に向ける言葉でしたな? はぁ~~~、文台様や公瑾の気苦労が痛い程判るのう…… 」


「い、いや~~~、そのぉ~~~、何と言うかホラ? 参考にさせてもらったって奴かしら? あはははは…… 」



 長い溜息の後に、蓮華はジトッと白い目を雪蓮に向けるし、祭は両目を瞑ると、悲痛そうな顔でかぶりを振る仕草をする。雪蓮は言い訳がましく言うと、誤魔化し笑いで何とか場を凌ごうとしていた。



「さっ、桃香、雲長さんに鈴々ちゃんよ。これからあんた達の誓いを行おうじゃねぇか、供物とかの準備もあるしな。どこでやるのか大体見当付いてるが、案内してくれ 」


「うんっ、一心兄さん! 愛紗ちゃん、鈴々ちゃん、私についてきて! 」


「はいっ! 」


「応っ! なのだー! 」



 流石に、このままじゃ埒が明かないと判断したのか、一心が桃香に声を掛けると、彼女は少し逡巡しながらもニコッと笑顔で頷く。その場所に向かうべく桃香が家を後にすると、次々と彼女の後に続いた。そして、ついには雪蓮一人だけが取り残されてしまう。彼女は呆然としたままで、それを見送る事しか出来なかったのだ。



「ねぇ、ちょっとー! おーい……私だけ置いてけぼりにしないでよぉ~~!! 」



 少し泣きが入ったような表情になると、雪蓮は慌てて桃香達の後を追うのであった。




 桃香の家の裏手の方には、楼桑村の自慢の一つの桃園がある。そこに植えられている幾百本の桃の木には、美しい薄紅色の花が咲き誇っており、今が丁度見頃であった。


 その中の一角に質素な祭壇が設けられ、それには皇天后土、即ち天地の神々への供物が捧げられている。桃香達三人は、それぞれ神妙な面立ちでその前に立っており、彼女等の手には純金の酒盃が握られていた。


 そして、彼女等を囲むように、一心、一刀、雪蓮、蓮華等を始めとした、桃香の家族であり友人達がその行く末を見届けている。場の空気に少し緊張したのか、桃香は深呼吸して肩をほぐしてみせると、自分の両隣に立つ愛紗と鈴々を見やる。彼女の瞳は温かい光を宿していた。



「ねぇ、私達は今日から同志……ううん、姉妹も同然だよね 」



 彼女の言葉に興味を示したのか、今度は愛紗が熱い視線を二人に向ける。



「ならば、私達は今日から義姉妹になりましょう……生まれた日は違えども、死する時は同じ年、同じ月、同じ日であるように…… 」



 愛紗の言葉に絆され、次に鈴々が威勢良く口を開く。



「鈴々もそれでいいのだ! 桃香お姉ちゃんと愛紗、二人のお姉ちゃんがいれば、あの世に行っても鈴々は無問題(モウマンタイ)なのだ! 」


「愛紗ちゃん、鈴々ちゃん……!! なら、私達は姉妹になろう! 」



 二人の言葉にいたく感激し、桃香は熱い涙を流した。だが、直ぐにそれを拭うと、彼女はキッと引き締めた顔を二人に向ける。



「それじゃ、誓おう! 」


「ええっ! 」


「うんっ! 」



 三人は手に持った杯を天に掲げて見せると、皇天后土の神々に誓いの言葉を捧げる。まずは愛紗が声高に叫び、次に桃香、そして鈴々が続く。



「我等三人っ! 」


「姓は違えども、姉妹の契りを結びしからは! 」


「心を同じくして助け合い、皆で力無き人々を救うのだ! 」


「同年、同月、同日に生まれる事を得ずとも! 」


「願わくは、同年、同月、同日に死せん事を! 」


「天地の神様達、鈴々達が死ぬまででいいから、どうか見守ってて欲しいのだ! 」



 最後に締めくくるべく、桃香が乾杯の音頭を取った。



干杯(カンペイ)!! 」



 音頭と共に、桃香達三人は天に掲げた杯を軽く重ね合わせると、それぞれカチンと小気味良い音を立てる。三人はその中身を一気に飲み干した。


 やがて、周囲で見守っていた者達から、この三人に拍手喝采が浴びせられる。今新たに生まれた姉妹の絆で結ばれたこの三人は、照れ臭そうな表情を彼らに向けていた。


 そして、愛紗と鈴々。この二人は桃香に跪くと拱手行礼を行う。二人は熱く燃える瞳で彼女を見上げていた。



「桃香様……いえ、義姉上。この関雲長、貴女の為なら例え地の果てだろうが、海の底だろうが、義姉上と運命を共にする所存。どうか、何なりとお申し付けください 」


「桃香お姉ちゃん、ううん、姉者。鈴々も愛紗と同じなのだ! 鈴々、愛紗みたいに頭はよくないけど、桃香お姉ちゃんの代わりに悪い奴等をやっつけてやるのだ!! 」


「宜しくね……私の妹達……次妹(じまい)関羽、三妹(さんまい)張飛……私達は生きるも死ぬも一緒だよ? 」



 桃香は綺麗な涙をスッと流しながら、それぞれの手を優しく取る。愛紗と鈴々も彼女と同じく涙をたたえた瞳で桃香をまっすぐ見詰めていた。



「劉玄徳殿、関雲長殿、張翼徳殿のお三方、此度は見事であった! この劉伯想、皇天后土に成り代わり、しかと三人の誓いを見届けたぞ!! 」


「三人とも、見事であった! この孫伯符もそなたら三人の誓いをとくと見届けさせてもらった!! 三人とも胸を張って誇るがいい!! そなたら三人の誓いを邪魔せし者には、必ずや天罰が下ろう!! 」



 『劉備』の顔で一心が、見届けの言葉を威厳のある声で桃園内に響かせると、雪蓮もそれに続かんと声を張り上げる。やがて周りの者達も次々に声を張り上げた。


 そして、最後に一刀の番が来た。彼は優しく微笑んで見せると、桃香、鈴々、そして夕べ諍いを起こしてしまった愛紗の顔をじっと見詰める。



「此度は真におめでとう御座います……この劉仲郷、お三方の誓いと志にいたく感動しました。お三方が死ぬ時を同じと誓ったのなら、私はお三方の行く末をこれからも見届る所存。どうか、どうか……その絆が途中で断ち切れませぬように……。これが、劉仲郷の見届けの言葉にて御座います…… 」


「一刀さん…… 」


「仲郷殿…… 」


「仲郷お兄ちゃん…… 」 



 拱手行礼で、深々と頭を下げる彼の姿に胸を打たれたのだろうか、三人はそれぞれ涙ぐむ。やがて、彼女等は一刀の手に自分達の手をそっと重ね合わせた。



「一刀さん、ありがとう……。もう、村の楽しい暮らしは無くなっちゃうけど、それでもずっと私達を見届けててね? 約束だよ? 」


「仲郷殿……昨夜仲拡殿が私に言った言葉、本物かどうか見極めさせてもらうぞ? 然し……何となくだが、貴方なら私達をきちんと見届けてくれそうだ 」


「鈴々、お兄ちゃんなら安心できそうなのだー 」



 熱っぽく、自分を見つめる三人の姿に、一刀も自分の胸が熱くなるのが判る。そして、同時に思った。関羽の表情が昨夜より穏やかになっているのを。


 今の彼女の顔には、歳相応の娘らしさが感じられ、一刀は思わず頬を赤く染めてしまった。



「ん? どうかされたのか、仲郷殿? 」



 キョトンとさせて、関羽が自分の顔を覗き込んでくるが、少し慌てた風ではぐらかす。



「いっ、いやっ、なんでもない。ちょっと感激して泣きそうになってしまっただけだから…… 」


「お兄ちゃん、男の癖に泣き虫だなー? 」


「ははは…… 」



 冷やかすように鈴々が茶々を入れると、一刀は愛想笑いで誤魔化した。そうしてる内に一心が優雅な仕草でパンパンと両手を叩く。すると、松花を始めとした村の娘や若衆達が一斉に食べ物や酒を持ち込み、あっという間に桃園に宴席が設けられた。



「さっ、堅ッ苦しいのはこれでしめぇだ! こっからは飲めや食えやに、歌えやのドンチャン騒ぎよ!! 金なら心配しなくっても良いぞ? 今日はおいらの奢りだ! だから、皆たらふく食って飲んで騒いでくれ!! 松花、追加の酒、用意してるんだろうな? 」


「ええっ、大丈夫よ! 今日は、簡家の方でも出すってお父様が言ってたから、安心してジャンジャンやって頂戴!! 」


「そいつぁ、重畳だ! よし、運んできてくれたおめぇさん等もこっちに来い! 今日は村中で馬鹿騒ぎだ!! 」



 笑みを満面にたたえ、一心は用意してきた者達にも参加するよう促す。それが切欠になったのか、村の者達皆全て仕事を放り出し、彼らもそれぞれの家々から酒や食べ物を持参する。いつしか宴どころか、ちょっとした村祭りになっていた。



「あ~ソレソレ♪ 飲めよ飲め飲め! 黄巾なんか酒飲んで笑い飛ばしゃ無問題!! 」


「食うぞ~! たらふく食うぞ~~!! 」


「戦を~すぅ~るならぁ~♪ こぉ~んな風にしやさんせ~♪ 勝ち! 負け! ヨヨイのヨイ!! 」


「うふん♪ チョットだけよ~♪ 」


「子穹様~♪ あたしの酒を飲んで~!! 」



 最近、黄巾賊に脅かされ続け、貯まった鬱積がここで解放されたのか。彼等は乱痴気騒ぎを繰り広げる。ある者はぶっ倒れるまで飲み続け、ある者は普段食べられないご馳走で胃袋を満たす。


 挙句の果てには酔っ払った一部の若い娘達が、服を脱いで肌を見せるお遊びを展開する始末だ。



「だからぁ~、かずとさんはわたしのおっぱいがいいにきまってるのぉ~!! 」


「しょんなことないじゃない、かずとはわたしのおっぱいがいいにきまってるわ!! 」


「ばかいうな! ふたりともでかいだけだろ? あたしのおっぱいがいいにきまってんのら!! おおきいだけじゃないし、はりもあるんだぜ!! 」



 と、その一部の中には、誰とは言わないが、べろんべろんに酔っ払った三人の娘達がいた。彼女等は己の胸を肌蹴させ、どうしようもない胸自慢をぶつけ合う。



「ちょっと……あれって嫌味なの? たんぽぽには嫌味に聞こえんだけど…… 」


「見てなさい! シャオだっていつかは『ばいんばいんのぼんぼーん』になってやるんだからっ!! 」


「んにゃ? おっぱいが大きいって良い事なのか? 」


「璃々、わけわかんなーい♪ 」

 


 そんな彼女等を尻目に、別の方では残念な者達がギロリと怖い目で睨みを利かせていた。然し、その内一人は料理に夢中であったし、加えてもう一人はまだまだ幼子であった為か、何を言ってるのか全然理解していなかった。




「ふうっ、やっと抜け出せたよ…… 」



 一刀は馬鹿騒ぎの輪から抜け出すと、少し離れた場所へ逃げるように移動し、安堵の溜息を吐くと空を見上げた。空はすっかり夜の闇に覆われ、始めてこの世界に来た時と同じ満月が天空に煌々と輝いている。


 そこから放たれる冷ややかな光のお陰か、月の光を浴びた桃の花は、昼間とはまた違った姿を彼に見せていた。



「夜桜ならぬ夜桃か……結構乙なもんだよなぁ…… 」



 一刀は、先程から酒精塗れの人いきれに中てられており、顔をほんのり赤く染めている。天空から浴びせられる月の光に、夜の冷えた空気。そして、桃の花から発せられる独特の甘い芳香。これらの物を全身で堪能し、一刀はゆっくりと酔いを醒ますべく桃園をうろつき始めた。



「あっ、あれは…… 」



 少し歩を進めると、自分の視界の前方で一心・義雲・義雷の三人が楽しげに杯を重ねる姿が映る。恐らく、彼らだけで飲むのは久し振りだったのだろう。三人は本当に楽しげに笑い合っていた。



「んっ? おーい、北の字ー! こっちに来いよー! 」



 どうやら一刀の存在に気付いたのだろう、一心は彼を大声で呼ぶと、来いと言わんばかりに手招きをする。邪魔しては悪いかなと躊躇しつつも、結局一刀は兄達の元へと向かった。



「おお、来たか来たか。まぁ、ここに座れ 」



 一心が自分の隣を軽くポンポンと叩くと、一刀はフッと口角を吊り上げてそこに座り込む。



「兄上、こんな騒ぎを催す割に、自分達だけでこっそり楽しむとは、結構ずるい真似をしますよね? 」



 はにかんだ笑みで一刀が少し皮肉って見せると、一心は悪戯小僧のようにニカッと笑みを浮かべた。



「まぁな……おいらは仕掛けるだけさ、後は騒ぎてぇ奴等で好きに騒ぎゃ良いのよ 」



 悪びれもせずに彼が言うと、義雲も義雷もそれに同調するかのように頷く。



「うむ、確かに兄者の申す通りですな 」


「そうだそうだ! 兄者は正しい! 」


「ははは…… 」


「……っ! 」



 一刀が愛想笑いで応じていると、何か閃いたかのか、急に一心は目を瞬かせた(しばたたかせた)。そして彼はすっくと立ち上がって、自分の弟達をじっと見回す。



「なぁ、義雲、義雷、一刀…… 」


「むっ、どうかされましたかな? 兄者 」


「兄者、一体どうしちまったんだよ? 急にマジになっちまって 」


「兄上? 」



 不安げに自分の顔を見上げてくる弟達に、一心はフッと微笑んで見せると、彼等に軽い衝撃を与える言葉を言い放つ。



「桃香達も……かつてのおいら達と同じ様に、桃園の誓いを果たした。だからよ、折角の良い機会だ……も一遍、誓い直さねぇか? 」


「それは…… 」


「おいおい……それってマジかよ? 」


「え、でも……俺は部外者ですよ? 」



 僅かにながら、動揺の色を顔に浮かべる三人。特に一刀に到っては、元は平和な時代の日本の一高校生にしか過ぎない。自分なんかが、それに加わる資格が無いと思ったからだ。すると、一心は優しく笑みを浮かべると、彼の肩にそっと温かい手を置いた。



「あっ…… 」


「もう、お前は部外者ではない。私達皆の弟なのだ……。だから、お前にも私達の誓いに加わって欲しいのだよ、一刀…… 」



 本来の素顔で語りかける一心の言葉は、一刀の胸を激しく打つ。感極まり、彼は思わず泣き出してしまった。



「ふふっ、泣く奴があるか……義雲、義雷。お前達はどうだ? 私に賛成してくれるか? 」


「無論ですぞ、兄者……一刀はわし等の弟です。その弟を交えずして何を誓おうというのですかな? 」


「そうだぜそうだぜ、俺も義雲兄貴と同意見だ。北の字はこの一年チョイの間頑張ってきたんだ。こいつはもう、立派な俺達の弟だぜ! 」

  


 満面の笑みで頷く二人の顔を見て、一心は一刀の両手に杯を握らせると、そこに並々と澄んだ酒を注ぎ込んだ。注がれたそれを見た瞬間、一刀の顔に驚愕の色が走る。



「これは……まさか、日本酒? 」


「ふふっ、気付いたか? ご名答。それはな、お前から話を聞いた喜楽が試行錯誤の上に造った酒だ。取り敢えず試作品の第一弾が出来上がったという事で飲んでみたのだが……中々研ぎ澄まされてて美味だったよ。私達兄弟の誓いの仕切り直しには打ってつけであろう? 」


「そうですな、わしらの新たな門出にふさわしい…… 」


「本当だぜ、こいつは今の俺達にぴったりだ! 」


「よし……それでは始めようか? 我等の新しい門出だ! 」



 一心が酒盃を天に掲げると、義雲、義雷、そして一刀もそれに続く。



「我等今新たに天に誓う! 上は漢の恩に報い、下は人心を安らかにせん! 」



 先ずは一心が威厳のある声を張り上げ、声高に誓いの言葉を叫び始めた。



「我等生まれた日は違えども、此度こそ死す時は同じ日同じ時を願わん! 」



 次に、九尺の大身に似つかわしく、義雲が低く重みのある声を響かせる。



「皇天后土の神さん達よ! 今度も俺等の覚悟、よっく見届けやがれっ!! 」



 今度は、暗雲に轟く雷鳴の如く、義雷はがなり立てるような大声を上げた。



「我等は今新たに誓う! 皇天后土よっ! どうか我等兄弟と、そして桃香達姉妹の行く末をとくと御照覧あれ!! 」



 一刀は、歳相応のはつらつとした若々しい声を懸命に張り上げ、偉大な先人たる彼等に続いた。



「「「「同年同月同日を願わん! 同年同月同日を願わん!! 同年同月同日を願わん!!! 同年同月同日を願わんッ!!!! 」」」」



干杯(カンペイ)!! 」



 彼ら兄弟四人は、最後に誓いの言葉を兄弟の人数分の四回繰り返し叫ぶ。一心が音頭を取ると、彼ら四人は杯を重ね合わせ、それを一気に傾けた。


 一気に酒をあおったせいか、一刀は軽い目まいを覚えるが、それでも彼は自分の兄達に熱い眼差しを送る。



「次弟義雲、三弟義雷、そして……末弟であり私の弟一刀よ……。これからも宜しく頼むぞ、そして……共に桃香達を支えていこう!! 」


「無論ですぞ、兄者っ! 」


「決まってんだろ? モチのロンだぜ、兄者っ! 」


「俺も兄上達と同じですっ! 桃香達を支えていきましょう!! 」



 一心が手を差し出すと、その上に義雲、義雷、一刀が自分の手を重ね合わせていく。四人は互いを熱く見詰め合うと、やがて彼等は声高に笑い声を上げた。


 かくして、時を越え、外史の世界の桃園で生まれた小さな二つの義。それは、これから起こる戦乱と欲望が渦巻く暗黒の時代において、人々の心に宿る光になっていくのである。




 時を同じくして、照世の家。自室にて、照世は昨年依頼した物を眺めていた。純白の布で作り上げた陣羽織、黒光りする甲冑、大小の刀に程よい長さの槍。いずれも彼にとっては満足の行く出来であった。



「ふむ……中々の出来だ。何とか間に合ったし、ご舎弟様も満足されるだろうな 」



 彼が目を細めて見せると、それに応えるかのように、蝋燭の灯りに兜の前立てが反射し、輝かしい光を放つ。それは三日月の形を作っていた。



「ふふっ、特注品故に少々重いが、今のご舎弟様なら難無く扱えるであろう……。さぁ、そろそろ私も支度をしないといけない……時は満ちたのだから…… 」



 誰にでも言うまでも無く、照世は一人そっと呟くと、部屋を後にする。後に残されしそれらの武具は、将来自分等を、その身に纏うであろう主を待ちわびてるように思えた。




※1:獅子の頭を模した装飾品を前立てにつけた兜の事。武田信玄の兜が有名。三国志演義の馬超の兜もそれと同じかと思われる。


 ここまで読んで下さり、真に感謝いたします。


 さて、今回のお話ですが……正直前回よりペースが速かったです。久し振りにスイッチが入った感じでした。


 書き始めはグダグダだったんですけど、書いてる内にあれこれと情景が繰り広げられ、実に思うがままに書けたかなぁって思っています。


 今回、一刀君はまたとんでもない事やらかしちゃいました!! 段々と彼の「種馬」が暴走傾向にあるようで、ハーレムやらんと言ってる割には、着々とハーレム構築に走ってる始末。


 ですが、既に頭の中では絶対に組ませないキャラも存在しております。公表はしたくないので、名前は言いません。


 今回も十話の時と同じ様な「馬鹿騒ぎ」を入れてみました。結構あの手のネタ書く時って、楽しいんですが頭が疲れるんですよねぇ~~。


 エロス半々、シリアス半々のテイストだったかなと、書き上げたものを見て、そう思っちゃいました。どうも、私はこっちのスタイルの方が性に合うのかも知れません。


 そして、ついに次回で照烈異聞録の第一部のラストに入る予定です。桃園の誓いの次ですから、今度は桃香達の旗揚げになります。ここも書きたかったお話の一つでもありますので。次回も気合入れてこうと思ってます!!


 次回も更新できましたら、またお会いしたく思います。


 それでは、また~! 不識庵・裏でした~~!!


 はぁ、楽天イーグルスホークスに負け越しで首位陥落……気が重いなぁ……。

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