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わらしべニキ  作者: 火星宝剣


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タイトル未定2026/10/11 21:39

 ワイ、名もなき転売ヤー。

ワイは主にカードゲームを買い占めて売ってるカスみたいな生き方の男や。


趣味はx、5ちゃんねる、カスみたいな生き方や。

学生時代から友達なんかいなかったワイは社会に適合できずはじめての職場で酔っ払って上司をぶん殴って三ヶ月ムショに入れられて出てきた頃にはまたニートに戻ってた。


でもワイは後悔してないで。


だってワイ結構儲けてるしそこらの高校生よりは稼いどるからな。


毎日メル◯リに出品しては寝る生活を繰り返していたある日のことや。

5ちゃんねるであるスレが賑わってたんや。


気になったワイはそのスレに入った。

そこでは新しい次元の転売方法が詰まってた。


『BBA物々交換法』や。


詳しいやり方は、近所の認知症のババアの家に訪問してコミュ力を活かして手土産と交換していって金目の物にありつくまで続けるらしい。


アクティブニートワイはすぐに食いついた。

さっさとシャワーを浴びてスーツまではいかないが真面目そうな服に着替えた。


鏡に写る自らを見て、久しぶりに寝巻き以外の服を着たな、そう思った。

こうして体から分離したパジャマを一嗅ぎ。

ひどい匂いだ。夜食べたカップ麺が出てきそう。そんな気がした。

とりあえず洗濯機に放り込んだ。


◇

マンションの下の階、この階はババア通りと言われるほど老人が多い。

とりあえず階段側の山口さんの家に行こう、そうノックをしようとしたその時、拳が触れるより早くドアが引っ込んだ。


「あら、上の階の樋口さん?こんにちは、どうしましたの?」


山口さんはみなりのしっかりしたマダムだ。それでいて嫌な感じのしない理想的なババアだ。

体から香る柑橘の香りはワイの体臭と対を成していた。


「こんにちは、いい天気ですね、貰い物なんですがコレどうぞ」


5ちゃんにあった様に笑顔を心がけて手土産の梨を渡す。勿論コレは隣町まで行ってスーパーで買ったただの梨だ。


「あら、ありがと〜。旅行でも行ったのかしら?しばらく見ていなかった物ですから」


旅行など行っていない、ただカードゲームがなかなか発売されないからずっと部屋にこもってゲームをしていただけだ。


「母が鳥取に行って送ってくれた物です。余ってますのでよかったらどうぞ」


咄嗟に小学校の時に社会で勉強したことを思い出した。


山口さんは有り難そうにお辞儀しながら梨を受け取った。

受け取ると山口さんは小走りに部屋へと戻って行った。きっとお礼品を持ってくるに違いない。そう思いながら自らのシャツに目を落とした。


軽くくすんでいてシワが残っている。さっきの山口さんの装いとはまるで反対だ。なんだか恥ずかしく感じてきた。

果たして僕は老後彼女のように生活できるのだろうか。


少しの迷いの後戸が開き山口さんが細長い紙を持って出てきた。


「これ、珍しいでしょう?楓《カエデ》のお花を見つけたから押し花にしてしおりにしてみたの」


僕の胸に押し付けて山口さんはさる。後ろ姿で、


「あなたはまだ若いのだから頑張って」


カッコよかった。



楓、その花言葉は『美しい変化』、僕の背を押してくれる、そんな気がした。


しおりを机に置き、洗濯機のスイッチを押す。


締め切ったカーテンを開け、窓から外を見る。

空気はそれほど悪くない物だった。


就活、ゼロから始めよう。そう決意した。

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