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いま、宇宙にある日常  作者: 水無月 林檎
ep1。いま、宇宙(ここ)にある日常
22/26

ep1 その2-2「地球視察という名の新婚旅行 10

   13

美月たち一行はなんとなくスカイツリー方面を意識しつつ、町を当てもなく練り歩きながら食事処を見つけてはあーでもないこーでもないと言い合って、また歩き出すというのを繰り返すうちになんだか楽しくなってきて、店のメニューや佇まいを批評し合うのが目的にまでなってきた感がある。

結局のところ、お店選びをしている最中が一番楽しいのだ。

「めーりくりっすまっす ぺぺろぱー♪ ぺぺろんっぺっぽこ ぺぺろぺー♪」

先頭を歩くミィが素っ頓狂な歌を口ずさむ。出鱈目な歌詞だが鼻歌と言う訳ではなく、はっきり『ぺろぺぺー』と発音していた。

「ちょっとミィ、何よその歌?」

ミ美月が苦言を呈する。

え,!、、クリスマスに良く流れている英語の歌だよ。

英語の歌、だと?ミィが気軽にぶちこんで来もものが意外にも大きかった事を知る。権利とか面倒そうだけど⋯

閑静な住宅街に

「わー、わー!」

「きゃーきゃー!」

小さな子どもたちの元気な声が響い

て来る。


「たすけてぇ」

「誰か助てー」

子供の無邪気こ声に

助けを求める声が混ざる。

美月にはこころあたりはあったがミィとバカップルにはそれがなかったようで、助けを求める声に反応してうごきだした。

「たすけを求める声がしますわ。」


「突入ーー!」

ミィは己の号令で、たすけを求める声の主がいるであろう敷地に金網をよじ登ってって侵入していく。

「きゃー。お姉さん誰?」

「ミィはミィだよ」

「そんな事言われてもしらねーよ」


(もしかして、ドロボーチームにいた?」

「いたいた!もちろんいたさー」

「嘘だー」元気そうな

男の子とミィのやり取りが聞こえる。さっそく嘘バレして窮地のようだが。

「うそじゃないよ」

「えー、おれたちと年齢が違い過ぎだろー」

「ぐぬぬ、 生意気な」

「ほらほら、アイツラがタッチされたら俺等の負けだぜ」コソコソと近づいてくる集団をゆび指して少年がいう。

「ミィにお任せ!。」

「担いで逃げちゃうもんねー」

コソコソ集団から小さな女の子を一人担ぎ上げて

周りからタッチして捕まえようと伸びてくる手から巧みにかわして守り切っている。

「スゲー何だこの早業。」

「ミィには止まって視えるぜ」

「おねーちゃんっ、あっちー」

女の子はtたくましくもミィを操作して、掴まったドロボー役が集う牢屋に案内して次々と同胞を開放していく。

「はい、タッチー!」

「サンキューな。助かったぜ」つかまっていドロボー役の子たちが蜘蛛の子をちらしたように一斉に逃げだした。

「いいぜ、一緒に遊んでやるよ。」

「ドロボーチームだったよな?」

「お、おう!」

「次のチャイムがなったらタイムオーバーだ。それ迄に、全員つかまえないと俺たちケーサツの負けだ」

男の子がミィを認めたようだ。

今日はこれから講堂でクリスマス会があるんだぜ、一緒に見ていくかw?」

「え?良いんですの?」

「参加したいです!」

メリルとアランはノリノリで参加するつもりの様子だったが本当に問題無いのだろうか。園長先生と言う年配の女性にあらためて確認を取るとあっさり了承された。

「クリスマス、楽しみですわ」

「早く来ないかな」

「「ねー」」

必要以上にウキウキモードのバカップル。


メリルとアランが何故、この保育園のクリスマス会に参加すると言ってきかなかったのか。それは「サンタクロースに会いたかったから」だということが判明。

「サンタさん…来ないわよ?」と、冷静な美月に。

「えぇ!?どうしてですかっ」「そういえば、来るのは12月24日の夜だと聞きましたわ」

「そうか、日が早すぎたのですね」そう言って、膝から崩れ落ちる。どうやら

「一晩で星中を巡る科学技術に興味」

「プレゼントが欲しい」

の二本立てでガチ楽しみだったそうだ。美月にサンタクロースの真実を聞いて愕然とする二人。しかし、サンタの正体が親だったのなら、サンタクロースを信じて疑わないこの子達は?とメリルが顔を曇らせる。メリルはどこかに通信を行い、にこやかに

「プレゼントを用意させましたわ」

と言い出す。

「ひどいんですのよ。子供たちが喜びそうなものを何か、って言ったら。わたくしたちが喜ぶものですね。なんて言われましたの」

口を尖らすメリルだったが、美月にはそのチョイスは的確に的を射ているように思えた。

とつぜんの参加者に緊張する子供たちだったが、スーツ姿のお堅い大人たちではなく、お兄さんお姉さんたちで、しかも、そのうち3人は子供と同じ視点を持てる……と言えば聞こえが良いが、要は子供っぽい「元気だけが取り柄です!」と大々的に言ってはばからないタイプだったものだから、予想外に子供たちと仲良くなってしまった。「えー。鬼ごっこもシラネーの?だっせー!」とか子供に言われながら、バカップルも地球の遊びに興じている。ミィが「極道ごっこ」とか「任侠ごっこ」とか訳の解らないことを言い出さないかとハラハラした美月だったが、それは杞憂に終わったようだ。メリルが手配したプレゼントが届くまで、まだ時間があると言う事もあり、美月たちは、予定を変更してクリスマス会に最後までお邪魔させてもらうことにした。

子供たちと一緒に手伝いながら作った美味しい夕食を食べて、クリスマス会の最後。すっかり暗くなった庭に出る一行。

庭の真ん中で、みんなで円を作るように並んで待つ。

「あと83秒で来ますわ。

あ、美月さん。もう半歩後ろに下がってください」こうして、空を見上げて待つこと1分と少し。「あ、流れ星」誰かが、そう空を指差した。「ホントだ。綺麗…って、えぇっ!?」流れ星が、一直線に美月たちの頭上に向けて落ちてくる。ヒュルルルルルルル。打ち上げ花火を逆再生したような音を上げて、赤熱した隕石が美月たちの囲む円のど真ん中に着弾した。ドウンッと轟音が鳴り響く。美月の鼻先をかすめるようにして、砂煙が渦を巻いて舞い上がる。もう半歩前に立っていたら、舞い上がった砂埃を浴びていただろう。「着地地点・時刻・衝撃半径。どれもぴったりですわ」メリルが満足そうにウンウンと頷いた。

しばらく間をおいて、竜巻のように舞い上がった砂埃が、風で流されることなく、メリルが衝撃半径と呼んだその円の範囲内にストンと落ちる。視界が晴れた円の中心には、真っ赤に塗られた、直径1.5メートル程の球体が鎮座していた。

メリルとアランは顔を見合わせてニィっと微笑みあって。「「メリークリスマス」」

「さぁ、サンタさんからプレゼントですわ」

「プレゼントの特急便ですよ」あ

まりの出来事にポカンとして静まり返った庭に、底抜けに明るい声を響かせた。

「あなたたち……随分と無茶するわね」

呆れ返る美月。その様子を無線でモニタしていた東郷も、無線越しに不満声を漏らす。「税関通さねぇってマズいだろ。完全に条約違反だぜ……」「税関なんてあるんだ?」「そりゃそうさ。一応、国境を越えた輸入。だからな。普段は空のオービタルポートか地上の空港でやるもんだ」「へぇ」実態の解らない宇宙に法制度がくっつくことで、やっと宇宙に現実感を得て感心する。

「後で荷物の目録をお送りしますわ」

「そういえばさ、3日前に隕石が落ちたじゃない?それと、今日のコレ。なんか光が似ていた気がする」

「あぁ。その事で解ったことがあるから、また後でな」

「リョウカイ」

ここで、無線が切れた。「さぁ、メリル、アラン。プレゼントを開けましょうか……中身が少し不安だけど。あなたたちのセレクトじゃないし、大丈夫でしょう!」

「「えー」」

「なんかひどい事言われた気がします」

「気のせいよ、気のせい。ほら開けよう」

「そうですわね」

そう言って、紅いコンテナに手をかけるメリル。

「クリスマスらしく、紅い箱にしてもらいましたの」

誇らしげに胸を張る。と、次の瞬間

「あっ!」

とアランが声を上げた。一同の視線がアランに集中する。

「そうか。こうやって宇宙から直接送れば一晩で全国にプレゼントが配れますね。来年からは新たなサンタクロースとして検討すべきです!」

と、アランがとんでもない案を繰り出した。

「こんなデンジャーな方法でプレゼント配るサンタなんか嫌すぎるわ!」

名案と自画自賛するアランに美月がすかさずツッコミを入れる。クリスマスの夜、世界中に真っ赤に燃える隕石が子供の数だけ降り注ぐ。人類50億人のうち、子供はどれだけの数居るかは解らないが、途方も無い数には違いない。あちらこちらの軒先で炸裂する着弾音。もうもうと上がる土煙。たとえ、その隕石の中身がクリスマスプレゼントだったとしても、それは、聖夜ではなく世紀末か世界終焉の光景だ。あまりの地獄絵図に眩暈がしてくる。

「各ご家庭に届けるにはコンテナの数が足りませんわ」

常人とはずれた視点で、メリルが「終末のプレゼント降下作戦」を却下する。

「そうかぁ」

アランもアランで、それなら仕方が無いとあっさり引き下がった。

「さぁさ、開けますわよ」

メリルがコンテナの表面を何やら操作すると、継ぎ目の無かった表面がスッと切れて、円形の扉が開いた。と、同時に、ガラガラと中身が雪崩れを起こしてこぼれ出てくる。途中まで「未知の超技術」といった感じだったのに、この詰めの甘いガッカリ感は何だろう。しかし、ガッカリさせた当人たちにその自覚は無いようで、何食わぬ顔で散乱したプレゼントの山から

「これこれ」

っと、浮き輪のような白いリングを選んで、遠巻きに見守る子供たちに見せる。メリルが何か操作して空中に置くように手を離すと、白い浮き輪のようなそれは、淡く発光してその場にフワフワを浮いた。

「ほら、こうやって」

と、メリルが宙に浮かぶ浮き輪に腰を下ろす。浮き輪は、少し弾むように上下して、やはりその場にフワフワと浮かんでいた。

子供たちから、「おー」という驚きの歓声が上がる。アランがメリルの背中をトンと押すと、メリルを乗せた浮き輪は、浮かんだままスーっと前進した。

「スゲー!」

子供たちを差し置いて、ミィが真っ先に食いついた。

「ミィさん、どうぞ」

メリルが軽やかに浮き輪から降りて、ミィに譲る。

「いやっほーぃ!」

歓声を上げてミィが浮き輪に飛び乗った。やはり浮き輪は軽く弾んで空中に留まる。メリルがミィの背中をトンと押した。ミィを乗せた浮き輪が空中をスーっと走る。

「カッコイーーーー」

ミィは大はしゃぎだ

「あんたが楽しんでどーすんのよ」

不満をこぼす美月だったが、ミィの行動は正

解だったらしい。

楽しそうなミィを見て、子供たちの好奇心に火が付いた。

わーっとコンテナの周りに散乱する様々な宇宙人の玩具に群がる。「ねぇねぇ、お兄ちゃん。これはどうやって遊ぶの?」矢継ぎ早に、手に取った玩具をアランに差し出して説明を求める。それを一人一人丁寧に使い方を教えて回るアラン。普段子供っぽい言動が目立つが、意外と面倒見は良い様だ。美月は、そんな子供たちの様子を静かに見守った。

「美月さん」子供たちの輪を離れて、メリルがスッと美月の隣に来た。

「ありがとう、メリル。みんな幸せそう」

ミィとアランを筆頭に、遊ぶ子供たちを見やる。

「えへへ。喜んでもらえて良かったです。美月さんたちには、これをどうぞ。ミィさんといらして下さいね」

と、クレジットカードを一回り大きくしたような厚手のカードを渡してくれた。

「これは?」

受け取ってカードの表面に触れると、光で映像が投影された。

何か文字が書いてあるが、フーリヤの言葉なのだろう。何が書いてあるか解らなかった。

「わたくしたちの母船で行われるパーティーの招待状ですわ」

「え?母船!?」

「はい。今はこの星と月との間にある地球港に停泊していますの。そこで、この視察でお世話になった方々をお招きしてささやかなパーティーが催されますのよ。美月さん、来ていただけますよね?」

「え!?えっと、……はい」

招いてくれるというのに断る理由も無い。事態が飲み込めないまま、美月は承諾した。

こうして、美月・ミィの両名は無事に地球視察(という名の新婚旅行)の護衛任務を終えた。



その日の夜。

灯りを落とした寝室の窓から、ぼんやりと夜空を眺める美月。その瞳の先には、冬の空に煌く三ツ星。オリオン座の姿があった。

美月は星座には詳しくない。でも、唯一オリオン座だけは見つけることができる。

昔、小学校で習ったのをたまたま覚えていた。という程度の事でオリオン座について思い入れがある訳でもない。ただ、なんとなく冬の夜空を見上げると、オリオン座を追っている自分に気付く。

「宇宙……かぁ」

明日は、自分もあそこに行くのか。心の中でそっとつぶやく。

メリルとアランに招待されたセレモニー。もちろんオリオン座までは行かない。それどころか、地球に最も近い天体である月よりも更に近い場所にセレモニー会場となるフーリヤ使節団の母船はあるのだが、美月にとって、いや、人類の大多数にとって、宇宙船に乗って地球を離れるという事は未体験の出来事だ。

美月は、己の持つ精一杯の想像力をはたらかせて、宇宙へと想いを馳せてみる。真っ暗な空間に星々の光。美しい地球。無重力で自由が効かない。身体が回転を始めたら止めるすべがない。スカートがふわりと広がる。昼間の悪夢を思いだして頭をかかえる。

「お尻公開はもう嫌っ!」

「大丈夫ですわ。バランスの取り方を教えますわ」

メリルならば無重力にも慣れっこだろう。

「心強い味方を得た気分だわ」

「はいです!」

引き続き美月は想像力を働かせて宇宙のイメージを膨らませていく。

映画や、テレビの古い記録映像で見た、身動きの取れないゴテゴテと重そうな宇宙服。宇宙飛行士も、物も、何もかもがゆっくり動いて、ずいぶんとのんびりした世界に映った。あとは、宇宙には空気が無くて真っ暗で……。そう。宇宙線と太陽風。これは、どこかで名前を聞いただけだ。それが何なのかさえ解らない。それから、それから……。すぐに想像力の限界が来た。

「ははは、まるで想像つかないや」

力なく笑って、頭を掻く。地球を飛び出した先が、月と地球のラグランジュポイントだろうと、オリオン座の赤色超巨星ベテルギウスだろうと、天の川銀河を遥か離れた230万光年先のアンドロメダ銀河だろうと、大気圏を越えた先の世界なんて全くのアンノウン。

どこであろうと同じようなものである。きっと、テレビで見たものとは全く違う世界が待っているのだろう。

――コンコン。

遠慮がちにドアをノックする音が、美月を取り留めの無い思考の世界から現実に引き戻す。

「ミィ?」

ドアの向こうに声をかけるが違った。そう、ミィにならノックなどしないだろう。ノックの主は、メリルだった。長野育ちのミィより、ほんの数日前に地球にやってきた宇宙人の方が、数段礼儀作法をわきまえている。

「起こしてしまいましたかしら」

メリルが扉に手をかけたまま、上目遣いに美月の顔を窺う。

「いいえ、起きていたわ」

しおらしいメリルの姿が物珍しくて、美月はそう微笑むと、窓を離れ、ベッドに腰を下ろしてメリルを招きよせる。メリルはいつもの調子に戻って、跳ねるような軽やかな足取りで、美月の隣にチョコンと腰掛けた。

「どうしたの、メリル?眠れないの?」

「えぇ、なんだかこの星を離れるのが名残惜しくて。美月さんは?

「あたしは、地球を離れるのに緊張して……かな」

宇宙に出る事が当たり前の宇宙人に打ち明けるのは、なんだか気恥ずかしくて口ごもってしまう。それを別の意味に捉えたのだろう、メリルが顔を曇らせて、美月の顔を覗き込む。

「もしかして、重荷になってしまいましたかしら」

「え!?そんな事無いわよ」

そんなメリルの表情に、美月が慌てて弁明する。

「初めての事で少し怖いのもあるけれど、遠足の前の日に寝付けないのと同じ。楽しみにしているわ。招待してくれてありがとう、メリル」

「本当ですか!安心しましたわ」

満面の笑顔で微笑んで、メリルは身に着けているイヤリングを片方、外して美月の手にそっと握らせる。

「友達の証ですわ。1つずつ、これでお揃いですの」

付けたままの、左耳のイヤリングを指差して悪戯っぽく微笑むメリル。彼女の耳のたもとで、いくつもの同心円のリングを組み合わせたイヤリングは澄んだ輝きを放っている。繊細で、神秘的な造形に思わず見とれてしまう。これは、今日までメリルが身に着けていたものとは違う。そう、先ほどまで身に着けていたものも素敵だったが、これは、もっと、こう――。

「いいの?こんなに高価そうな――ひゃっ!」

何の前触れも無く、メリルに耳たぶを触られ、小さく悲鳴を上げてしまった。それでもメリルに動じた様子は無く、神妙な面持ちで美月の耳をつねったり引っ張ったりしている。

「な、なに……かな?」

されるがままで、控えめな抗議の声を上げる。

「痛くないですか?」

美月の疑問はサラリと流して、疑問で返してくる。

「え?ウン」

「それなら、大丈夫そうですわね。フーリアのイヤリングが地球の方の耳に合うかどうか、解りませんでしたので、確かめてみましたの」

なるほど、そういう事だったのか。納得はしたけれど。

「先に言おうね?いきなりで、驚いたわよ」

「えへ、ごめんなさい」

悪びれた様子もなく謝りながら、ようやく美月の耳を解放してくれた。

「美月さん。イヤリング、つけて差し上げますわ」

メリルは、美月からイヤリングを受け取ると、そっと美月の右耳に着けてくれた。

「わぁ、お似合いですわ!」

メリルが歓声を上げる。美月は、部屋の片隅の映し鏡に目を向ける。少し遠くて見づらいが、それでも、自分の耳でキラキラと煌いているのが解る。

「綺麗……。ありがと、メリル」

メリルが横から抱きついて頬を寄せる。鏡に二人の姿が映った。

「ほら、お揃いですわ」

「うんっ」

メリルの言葉に美月も力強く頷いた。

何?美月。まだ起きてたの?」

急にガチャリと扉が開いて、ミィが顔を覗かせる。やはり、ミィにノックをするような礼儀は持ち合わせていなかったようだ。

「ゴメンネ、起こしちゃった?」

美月が謝るが、しかし、眠りを妨げられたと苦情を言いに来た訳ではないようだ。彼女の言い分はこうだった。

「ミィを差し置いて盛り上がるなんて、許されると思っているのかね?」

ただの野次馬根性だった。

「だれも仲間はずれになんかしてないわよ」

美月が呆れ顔で返すと、今度はミィの背後から頭上にピョコンともう1つの顔が覗く。

「ズルイです。僕も仲間に入れてくださいよー」アランだった。こっちは、ただの寂しがりだ。

そんな二人の様子に、美月とメリルは顔を見合わせて吹き出す。


結局、それからパジャマパーティーが始まり、皆で朝まで楽しく最後の夜を過ごしたのだった。



〈おわり 3章に続く〉


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