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1 明かされた事実



「(……夢じゃ、ない。)」


目を覚ますと、瑠璃という少女が自分に碗を差し出していた。

それを受け取りながら――ああ、やっぱり現実なんだ、と胸の奥が沈む。


 

「……ありがとう、ございます」

「ああ。あと、箸」

「……はい。ありがとうございます」

「……敬語」

「え?」

「敬語はやめてほしい。……さすがにどう反応すればいいか分からない」

「わ、わかった」


戸惑いながらも敬語をやめると、瑠璃はふっと笑みを浮かべた。


 

「(……人を何人も斬っていた子には見えないな)」

 

 

――昨日の彼女は人を斬り捨てる鬼のように見えた。


 

「貴方のいた世界は、どんなところ?」

「こことは違うの?もっと進んでいるの?」

「戦はあるの?」


 

けれど今、目の前にいるのはただの好奇心旺盛な少女だった。

 

 

「俺の世界は、ここよりずっと進んでるよ。……戦争はある。けど、日本は憲法で“戦わない"、"戦力は持たない"ってなってる。だから、戦争はしない。」

「なるほど、だからか。……貴方が私の姿を恐れていたのは」

「………………」

「責めてるわけじゃない。ただ、この世界とは違うなと思っただけ。」


瑠璃は俺が食べ終わるのを確認すると、テキパキと新たに沸かした温かい水で茶碗を洗って行く。何か出来ることはないか尋ねると、「じゃあこの布で拭いて、この袋に入れて」と言われ、俺は熱い茶碗を拭いて行く。熱いのであちあちと言いながら袋に入れて行く。


「やっと、片付けが終わった。……さて、貴方、 何が聞きたい?」

「え、」

「分からないことだらけなんでしょ。」


片付けが終わると、瑠璃からそう言われた。


「聞きたいことは、山程ある。」

「それもそうか。まあ、私ばかり質問していたからね。……それで?」

「そもそもなんで俺たちは召喚されたんだ?確か、アサカネってやつが神を殺したいからって言っていたような気がするんだけど……」

「アサ"ガ"ネだよ。

私も詳しくは知らない。だけど、アサガネが神を、"山神"を殺したいのは、山神のある特性を憎んでいるからだと噂で聞いた。」

「特性?」


山神とは、特性とは、何なのだろうか。



「山神はこの一帯を統べる神であり、この時代にとっては最後の神。

昔、神々は人間と共生していたそうだけど、欲深い人間に見切りをつけ、神はいなくなってしまったそうよ。……ただ、山神だけは"自然そのもの"だから、今もこの時代にいる。」

「山神の特性として周期的に地を揺らす……いわゆる地震、人間で言えば発散といえばいいかしら。」

「発散………」


人間で言うストレス解消みたいなものなのだろうか。

 

「仕方がない。山神とは自然そのものなの。自然は人間を支え、助けるが、分かりあうことはできない。」

「自然、そのもの。」

 

あまりのスケールの大きさの話に息を飲まずにはいられなかった。


「だが、アサガネはそれを良しとはしなかった。山神が起こした地震のせいで多くの人間が傷つき、悲しみ、死んだ。アサガネに何かあったのかは知らない。

……ただ、これ以上人々を死なせないようにするには、山神を殺すしかないと考えているのでしょうね。」


何故、俺たちがこんな目に遭わなくてはならないのかとずっと考えていた。

でも、まさかこんな事に巻き込まれているとは思わないじゃないか。



 

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