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Ishikawa Family国際結婚物語 加筆修正版  作者: 石川パパン


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9/9

「お化けと遊んでた」はもはや挨拶!ベトナム美女との奇妙なLINEルーティン

お化けの存在は、多くの人にとって恐怖の象徴として捉えられている。


特に、幼少期にお化けの話を耳にしたことがある人々は、自然とお化けへの恐れを抱くものだ。


現在では、お化けが大好きな日本人男性になった私なのだけれど、実はその道のりは簡単ではなかった。


スリルを求める私が、幼少期には恐怖のあまりお化けを避けていた瞬間もあった。


寝ていると毎晩、包丁を持った何者かが寝ている自分に近づいてきて殺そうとしてきた。


身体はまるで重たい石でできているかのように硬直し、まったく動かせない状態になった。


心臓の鼓動が耳に響き、恐怖が私の全身を支配しているかのように感じた。


俗に言う金縛りにあったのだ。


無我夢中でもがき、何とか金縛りをとこうとした。早く金縛りをとかないと、包丁を持った何者かが近づいてくる。


それは夢なのか現実なのか分からないほどリアルな感覚があった。


何せ、毎晩、同じような悪夢に襲われたからだ。


私はホラー映画が好きで、週末にビデオ屋へ行って最新のホラー映画を借りに行っていた。


おかげでホラー映画はたくさん観てきた。


特にB級映画と言われるホラー映画は、おばけが怖くなくて、面白おかしく描かれている時もあったっけ。


だからなのだろうか。


私にとって、お化けは怖い存在なのだけれど、娯楽として楽しい存在でもあったのだ。


「トゥイは寝る時、どんな感じで寝るの?」

「完全に暗くしないで、ちょっと明かりがある感じで寝ている」

「私は部屋を真っ暗にして寝てるよ」

「部屋を真っ黒にしたら怖いよ。お化けでるよ」

「大丈夫だよ。お化けと仲良しこよしだから」

「えー!」


トゥイは悲鳴のような声を上げ、とても驚いていた。


ベトナムの文化においてはお化けの存在は非常に神秘的かつ恐ろしいものとして描かれている。


古くから伝わる伝説や物語において、お化けは常に人々の心に恐怖を与え、悪夢が続くことが多いのだ。


もちろん日本人もお化けは怖いと思っている人がほとんどだろう。


私はお化けよりも人間が一番怖いと思っている。


「トゥイはお化け怖いの?」

「お化けに会ったら、わたし死んじゃうよ」

「そんな怖いの?」

「日本に住んでるベトナム人の友達。日本のアパートでお化け見たことある。お化けが何かしゃべってた。でも、ベトナム語じゃなかったから、何言ってたか分からなかったって」

「それお化けじゃなくて、人間だったんじゃないの?」

「絶対お化けだよ。わたしお化け見たら死んじゃうよ」


トゥイは、やや興奮気味に話すのであった。


もしかするとベトナム人はお化けを異常なまでに怖がる民族なのかもしれない。


恐がり方が尋常でなかったからだ。


「じゃあ、いつか日本のお化け屋敷行こうね?」

「お化け! わたし死んじゃうよ」

「大丈夫だよ。お化け屋敷のお化けは人間だから」

「でも、怖いよ」


それはもうトゥイは生娘のように怖がるのであった。


文化の違いがあるにせよ。


お化けの存在に敏感で、怖いと思うお国柄なのかもしれない。


この会話以降、私の中で空前のお化けブームがやってきた。


トゥイから、今、何してるの? とメールがあったら、「今、お化けと遊んでた」と言ったり、「お化けと話していた」と返事をするようにしたのである。


そのたびにトゥイは、「えー!」と驚き、「わたしお化け会ったら死んじゃうよ」と言うのだった。


お化けネタにトゥイが食いついてくれると判断した私は、自分の変顔を送り、「お化けになってしまった」と、うそぶいたり、それはもう外国人のトゥイに対して、これでもかと言うぐらいお化けネタを連発した。


そんなある日、私は夜道を歩きながらトゥイとLINE通話をしていた。


「今、お化けといっしょに歩いてるよ」

「えー、本当に?」

「うん、お化けと仲良しだから」

「あっ! 私の後ろにお化けいる」

「え? いないよ」


トゥイはケタケタと笑っている。


あまりにも私がお化けネタを連発していたのもあって、とうとうトゥイもお化けネタに便乗してきたのである。


外国人同士の恋愛はよっぽどのことがない限り、全部の言葉を理解することはできない。


しかし、共通のキーワードを見つけ、それを根ほり葉ほり、しつこいぐらい話すことによって、笑いが生まれたり、楽しく生活できたりする。


今回、私とトゥイの間に、お化けの共通キーワードが生まれた。


「私はお化けを見たことあるよ。トゥイは本当にお化け見たことないの?」

「わたしはお化け見たら死んじゃうよ。まだ、生きていたいよ」


トゥイはやや興奮気味に言うのであった。


例え、お化けに会っても大丈夫だよ。


トゥイには私がいるのだから。

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