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Ishikawa Family国際結婚物語 加筆修正版  作者: 石川パパン


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私はストーカー予備軍?ベトナム人彼女と謎の電話ルール

男女の関係において、まったくケンカをせず、常に穏やかで円満な日々を送れるという状況は、現実には非常に稀だ。


例えば、長年一緒に過ごしている夫婦であっても、お互いに価値観や育った環境が異なるため些細なことで衝突するのは自然なことである。


むしろ、時にはケンカを通じてお互いの考え方を理解し合ったり、より深い絆を育んだりするケースも多く見られる。


そのため、多くの専門家も「意見のすれ違いがまったくないカップルは、現実的には存在しない」と指摘している。ましてや別々の国で生まれ、教育も考え方も違う環境で育った男女が恋に落ちた場合、感覚の違いが大きな溝を作る瞬間がある。


ベトナム人女性のトゥイは日本人男性の私に向かって「日本の男は冷たいね」 と言い放った。


私がよかれと思ってやったことだったのだけれど、トゥイからしてみたら私は非常に冷たい男に見えたようだ。


何故、このような悲劇が起きてしまったのか順序立てて説明したい。


まず、私とトゥイは毎日のようにLINEやSkype通話を楽しんでいた。


私が外で歩いている時、かなりの頻度でトゥイと通話している。


実は、ある決まった時間に私は外出することが多く、その時間にトゥイに電話するよと約束みたいな感じで言っていたのである。


私は出かける時間になり、靴を履いて外にでた。


その後、LINEで「トゥイ、これから歩くよ~、電話できるよ~」とメッセージを送った。


LINEの既読マークがつかなくて、どうしたんだろうと思いつつSkypeでも電話をかける。


電話の音は長い間、鳴り響いたのだけれど、トゥイは電話にでなかった。


日本人の感覚からしたら、きっとトゥイは忙しくて電話にでることできないのだあろうと察したに違いない。


しかたがないやと思いながら黙々と歩き駅に到着した。


電車に乗っているとトゥイからメッセージがきた。


「あなたはどこにいるの?」

「?」

「電話待ってたのに」

「電話したよ」

「イヤフォンマイクをスマホにつけてたから音が分からなかった。電話待ってたけど、トゥイ寝ちゃったよ」

「そういう時もあるよ。また夜にでも電話するよ」

「でも、あなたがトゥイに連絡したのは電話もLINEも1回だけでしょ」

「うん、そうだよ」

「1回だけ?」

「ずっとSkypeの電話鳴らしたよ」

「でも、トゥイと連絡できなくても1回だけしか電話もLINEもしなかった。あなたは冷たい!」

「えー!」


私はトゥイの発言に驚いた。


日本にはストーカーと呼ばれる危ない人たちがいる。


相手が電話をでるまで異常な回数電話したり、相手から返信がないのにLINEメールを送りまくる行為は、ストーカー予備軍と言えるだろう。


日頃から交際相手に対して、適度な距離感を保つことの大切さを意識している。


例えば、メッセージや電話の回数が多すぎると、恋人であっても負担に感じることがあり、相手のプライベートな時間を尊重する日本人独特のマナーもあるだろう。


実際、日本国内では、相手の都合を考えずにたびたびメッセージや電話を送り続ける行為に対し「ストーカー行為と受け取られたり、交際が破綻するきっかけになったりする事例もある。


こうした背景から、私は良好な関係を保つために、適度な連絡頻度を心がけていた。日本はおもてなしの国であり、相手の気持ちを察する文化がある。


私はトゥイがきっと忙しい状態で電話にでることができなかった。


ここでしつこく電話して、トゥイに嫌われるのは嫌なので、大人の判断でしつこく連絡するのはやめたのである。


しかし、よかれと思ってやった私の行為が、ベトナム人女性からしたら冷たい日本人男性に見えたのだ。


私は駅に降りて、また歩き出したのもあり、トゥイに電話した。


「もしもし」

「・・・」

「聞こえる?」

「聞こえるけど!」


明らかにトゥイは怒っている感じで、私の呼びかけにつれない態度をとるのだった。


「電話してもLINEしても返事ないから忙しいのかと思ったよ」

「あなたは冷たいよ。何で1回しか連絡しないの?」

「しつこく連絡したらストーカーぽいでしょ?」

「ストーカー? 意味分からないよ」

「日本だと相手が電話にでないのに連絡しまくったら相手が嫌がるよ」

「ベトナムは愛する人と連絡がとれなかった場合、何回も連絡するよ。あなたは冷たいよ」


トゥイの口調は怒っていた。


私の日本流の思いやりや気遣いは、ベトナム人女性から見たらとても冷たいとうつるようだ。


ベトナムの文化では、大切なパートナーが連絡に応じない時、何度も電話やメッセージを送ることが愛情表現のひとつと考えられているようだ。


例えば、友人や家族だけでなく恋人同士でも、相手に何があったのか心配だから何回も連絡する。


返事が来るまで必ずアプローチを続けるなどの行動がごく自然だとされているようだ。


そのため、一回きりの連絡だけでは本当に想ってくれているのか、十分な関心を寄せていないのではないかと感じられ、あなたは思いやりが足りない、冷たい人という評価につながることがあるのだ。


「じゃあ、トゥイが電話でなくても何回もしていいのか?」「うん、いいよ」

「まじかよ!」


私はベトナムの文化にびっくりした。


日本で同じことをやったら、恋人だったとしても、気持ち悪いと思われることだろう。


しかし、ベトナムでは電話をしまくってもいいみたいなのである。


日本人がベトナム人とつき合う時、文化や環境の違いで驚くことがある。


ベトナムの社会では、パートナーに対して何度も電話やメッセージを送っても、相手のことを深く気遣う姿勢としてごく当たり前に受け止めらるのだから。


私はトゥイに対してストーカーになる!


トゥイから「ストーカーの意味は?」とまた聞かれたので、私は、


「危ない人=ストーカーかな」


と答えると、トゥイは、


「えーー!」


と悲鳴に近い声で驚いたのであった。

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