朝陽━yoshika━
★☆月さえ眠る夜に☆一周年記念☆★
無事に月さえも一周年を迎える事が出来ました^^
これもひとえに読んで下さる皆様、そしてお気に入りに入れて下さった皆様のおかげです!
日ごろの感謝とお礼を込めて、記念画を受け取って下さい^^
どんな時も変わらずに朝はやってくる。
哀しい夜も、泣きたい夜も、もう夜が明けなければ良いのにと思う夜さえも開けなかったことはないだろう…。
そうしてまた同じ日々を繰り返す。
ただ時間に追われ、生きる事に急ぎ、目的も理由も持たない憂鬱な毎日が――。
――あと何度、こんな気分で朝を迎えるのだろう。
重い頭を持ち上げて彼女はベットの淵で溜息を零す。カーテンから覗く眩い光は、外を見るまでもなく今日も雲ひとつないであろう空を教えてくれた。そして視界の隅で揺れる携帯のストラップに、そっと手を伸ばす。ベット際ぎりぎりのラインに追い詰められた携帯電話は、そのボディよりも重いストラップを支えきれずに床へと向かおうとしていた。
まるで彼女の心と同じように…。
「……」
吐いた溜息は朝の少し冷たい空気に溶け、音もなく消えていく。時刻を確認しようと無機質な携帯電話を開いて、そこに待ち受けていた文字に良佳の眼は釘付けになった――。
――メール…いつの間に…。
予想外の出来事に高鳴る胸は鼓動を速め、それと同時に彼―深澄―からの返事が怖くて仕方がなかった。これは“拒絶”の言葉かも知れない…。そう思うと、自然携帯を弄る手も自然と震えた。
彼からのメールだと決まったわけでもないのに、心に嘘はつけない。最悪の結果を勝手に予想してはその心を軋ませる。
――大丈夫…。
根拠のない言葉を虚しく繰り返し、彼女はメールを開く。そしてそこに表示された「深澄」というたった二つの文字に息を飲んだ。震える心を抑え一つ深呼吸をしてからボタンを押す――もう何も考えられなかった。
「……生きる為の…理由?」
繰り返す言葉たちに眼を瞬き、そうして彼の言わんとしている事が何なのかを探った。同じように迷い、悩んでいるという安心感と、意味を問うことの矛盾。意味を求める事に何の価値もないなら、どうして彼は“答え”をくれるなどというのだろう…。
――私が望む…“答え”?
彼がどんな答えをくれようとしているのか、それは彼女の知る由もないことで…けれども、彼がくれる“答え”ならそれだけでいいと思えた。きっと“大丈夫”だと――。
不安とか、焦りとか、そういうもやもやとした感情に身を委ねるよりも、彼のくれる一言が、何よりも意味を持つ。今まで彼がその言葉で自分を救ってくれたように…。
「私は生きていて良いの? 深澄」
当たり前の問いかけに答えてくれる人が、この世界に何人いるだろう。きっと誰もが心のうちで問いかけたくて叫んでいるのに。きっとその声に気付く人はいない。だからこんなにもキミの存在が貴い…。
カーテンを開けて見上げる空は、昨日よりも蒼い――でも、キミと見上げたあの日の空は、涙が出るほど綺麗でいつもよりも高かった。
届かないものに手を伸ばすように、そっと天に手を翳せば指の隙間から零れる陽の光が真っ直ぐに良佳の心を照らす。
彼の答えを“聞きたい”と思った――。
――深澄。
どうしてだろう。
ずっと、色んな事が不安で、怖くて
自分が生きる意味や価値を探してた。
キミの言う通り
この世界に求める事に意味なんてないのかも知れない。
たとえあったとしても、
それが私の望む答えかなんて分からない―。
でも、誰かが与えてくれるその言葉に
縋りたくなる気持ち…キミには分からないかな?
誰でも良いわけじゃない。
それは分かってる。だけど…。
キミが与えてくれる“答え”なら
私は救われるかな――?
少なくとも、この心の中にある
虚しさや孤独はなくなるのかな?
深澄――私に答えを下さい。 良佳――
答えを望む事をずっと恐れていた――。
与えてくれる答えを待ちながら、それでも与えられない事をホッとしていた。だって、それで何かが変わってしまうような気がしたから…。
――キミを信じるよ。深澄。
空は快晴。
きっと今日は昨日とは違う一日になる…そう思える朝陽が彼女を照らしていた――。
生きることへの不安と恐怖がいつも心の奥にあった。
彼が与えてくれる答えなら、例えそれがなんであっても受け入れられると思った…。
★こんばんわ^^
一周年過ぎました!!
思えば一年前、何の計画もなしに「よし!恋愛モノを書こう!」なんて思いつきで始めた「月さえ」ですが、作者の心を知ってか知らずか物語の主人公たちは自由に動いてくれています(゜-゜)
書き始めた時、関東は雪が降ってました…今年はまだ降らないな~。
時の流れの早さを感じながら、今年もマイペースに更新していきますので、宜しくお願い致します^^




