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月夜━yoshika━


 こない返事を待ちながら、良佳は一人公園のベンチに腰掛けていた。

 幼い頃、まだ父親が傍に居た頃に家族で遊んだ記憶がこの胸にはある。麗らかな日差しも、笑い合う声も、転んだ私自身を抱き上げてくれる温かな手も、優しい眼差しも、あの頃の良佳は当たり前に持っていた。いや、正しく言うならば――その筈だ。


―そんな過去なんて忘れた。


 そんな物心もつかないような幼い頃に与えられた“温もり”なんかに縋っていたら、この“世界”で生きていくことなど出来なかった。淡い記憶も、優しい時も、全てはもう過去のものであり今の良佳の手には入らない。

 温かな家族団欒を羨ましいと思う心と、“必要ない”と眼を逸らす自分自身は相反していて、けれどもやはり良佳(・・)には変わりないのに…。


――進路なんて、探せない。


 今を生きていく事さえ必死なのに、自分の未来や将来なんて考えられるはずもない。進学? 就職? やりたいことって何? 好きなモノは? 好きな人は…?

いつか自分が誰かの“恋人”になり、誰かを愛し、愛され、結婚して、その先に何があるのか。

 愛された記憶など殆どないのに、誰かを愛することなど自分に出来るのだろうか。

 一つ考え出せば、不安は瞬く間に広がって行く。この気持を表す言葉はなんだろう。当てはまる言葉を探り良佳は空を見上げる。いつだって変わる事のない、そこにいるはずの空を。


「アナタハ、私を見ていますか――」


 不意に零れた言葉はそっと初夏の風に攫われ良佳はまた取り残される。優しく頬を掠めていく(ソレ)はそっと彼女の髪を靡かせ、そうしてきっと彼の元へ届くのだろう。そう思わずにはいられなかった。


――だって、寂しいから…。


 何処かで誰かと繋がっていると思わなければ、同じ空の下に君が居ると思わなければ、きっと寂しくて哀しくて息も出来ない。ようやく“良佳(じぶん)”という存在に気が付いてくれた。私を…認めてくれた。だから…。


――例えば、また一人に戻ってしまうとしても。君を…。


 君の“シアワセ”を願うよ。

 等身大(ありのまま)をぶつけて得る結果になら満足出来るだろうから…。“進路”を考えていたはずの頭はいつしか“彼”を思い浮かべている。まるでそれが当たり前のように自然に浮かぶ横顔に、冷めた眼差しに胸が痛む。

 この遠い空の月明かりの下、彼が笑っていればいい…そう願わずにはいられない夜だった。


久しぶりの更新です^^;

お待たせしました!?

良佳は割と夜の公園でのシーンが多いです…夜遊びというよりは”居場所”のない”家”に帰りたくないんでしょうね。

そんな感じで、今回も良佳の心の中でした。


☆Web拍手、試験的に設置してみました☆

まだ”お礼ページ”とかとっ散らかってる感じです;;

「それでもいいよ」って、お気軽に拍手して頂けると作者の励みになります(゜-゜)♪

頑張って”お礼”用のイラストも描く予定です!!

リクも受け付けます←お礼イラストのっ。


それでは、次回は深澄サイドでお会いしましょう~^^

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