表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/113

言葉━yoshika━


 どんな言葉を返せば君に届くのか、ただ不安に悪戯な時は過ぎていく。

 そうして不自由な言葉たちを並べては消す、その動作を繰り返して心は自然にあるべき形へと返って行った。

 ただ“自分の気持ち”を伝えること――。

 そこに小難しい言葉や文法は必要なくて、あるのは自分という存在とこの心だけ。彼が自分の感情や言葉に興味を示してくれた事が嬉しくて、だからこそ等身大の自分でいたいと思う。それが一番“大事”なことだから…。


―深澄。

 君の言葉の意味を考えていた。ずっと。

 短い言葉はその意味を汲む事が困難で、でも君はそれを汲んでいてくれたんだね。

 短くて拙い私の言葉を。

 

 今私が思う事が、君が望む答えなのかは分からない。

 でも言葉を交わす事に意味があるのだとしたら、

 私は素直にこの心にある思いを告げるよ。

 

 ありきたりかもしれないけれど、

 深澄は“進路”について考えることはある?

 志望校とかそういうことじゃなくて、

 “未来”としての自分の展望…かな。


 私には見えないから、

 未来とか進路とか、今を生きる事さえ困難で、

 この世界はなんて息苦しいんだろう…。

 ずっとそう思ってた。今も、そう思う。

 

 夢なんて言わなきゃ叶わないし、

 言った処で、誰かに否定されれば

 萎んでしまう。

 それでも大人は“夢”を持てなんて言うの?

 とても矛盾した行為に

 私達は振り回されるだけ。


 それでも、

 “未来”を考える必要があるの―


                      良佳 ―――


 いつもよりも長くなった文章に、良佳は溜めこんでいた気持ちを吐露するとそっと一つ溜息を零した。

 彼に言った処でどうすることも出来ない事は分かっている。彼も自分と同じ学生で、大人に養われる立場で、きっと自分よりもこの現実に直面している筈だと思う。


―彼は私とは違う…。


 人当たりも良く優しい彼はきっと周りの人間からの信頼や人望も厚いのだろう。それ故に彼にかかる期待は重い。きっと良佳が想像するよりもはるかに彼にかかる重圧は大きい筈だ。けれど。

それは良佳にはないもので、望んでも手に入らないものでもある。だから…少しずつ彼に惹かれていく自分も分かってしまう。自分とは正反対の彼を、知りたいと思ってしまう。


―これはいけない(・・・・)ことなのかな…。


 自分に思われても、彼は迷惑するだけなのかも知れない。

 受験を控えた大事な時期に彼を煩わせてしまうだけなのかも知れない。それでも―。

 彼が自分の言葉を望んでくれるなら、例え一時のことだとしても今を大切にしたかった。


―出会えた事が大切だから。


 未来(これから)を怖がるより、現在(いま)を。

 貴方と共に過ごすこの時を、何よりも大事に思っていた――――。


 更新です^^

 意外にも副題に”言葉”という文字を使っていなかった事に驚いている作者です^^;

 今回は良佳の長文メールが一話の殆どを占めています(笑)

 それでも文字数は意外に少なめで、もう少し加筆しようか迷ったんですが、前回の終わりが中途半端な感じだったので次回の深澄サイドの事も考えてメールを送った処までで留めました。

 なので、内容的には前回と変わらず、進まずです^^;

 次回ようやく深澄にメールの返信が届きます。

 なんて返すのでしょうかね~(゜-゜)


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ