願い━yoshika━
春の夜に、月を見つめただ良佳は泣いた。
声にもならないその涙はスッと心の中へと落ちていく。
―会いたい。
迷惑なのは分かっている。
もしかしたらもうメールを返して貰えなくなるかもしれない事も―。それでも、切に彼女は願う。深澄に会いたいと―。
月の光は優しく、誰の上にも平等に光を注ぐ。
そこに壁や隔たりは何もなくて、あるのは自分という存在だけ。彼もこの光に気付いているのだろうか。全てを包みこむ、この月明りに。
『深澄。
それでも、私は貴方に会いたい―。
例えそれが何も生まなくても、有意義な時間ではなくても。
“出会う”ことに意味を見出しいてはいけませんか?
人が人に会う事が無意味だとは思えないから、
人を知る事が無駄だとは思いたくないから…。
どうか、私に会って下さい――。
良佳 』
これは勝手な願い。私の“ワガママ”。
それでも、彼と交わした言葉を、時間を無駄にはしたくなかった。無かった事にも―。
「お願い…深澄っ」
祈るような気持ちで良佳は「送信」ボタンを押す。
神様なんて、救いなんて無いと思うのに―。
それでも人が人を救える事はあるのだと…人は人を思い合えるのだと信じていた。
こんにちわ^^
今回はいつにもまして短い内容になっています。
さて、みっちゃん(深澄)はどうでるんでしょうか…。
次回をお待ち下さい。