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再開━misumi━



 どうして返信などしたのだろう。

 深澄は午後の授業が始まっても、そればかり考えていた。


 今ならば“無視”を決め込むのに―


 面倒な事に巻き込まれるのは御免だ。心の中でそう呟いて携帯画面を見る。返信はまだ来ない。メル友だとか、出会い系だとか、生憎そう言ったものに良い感情は持ち合わせていないのだが…いっそ、会ってみたらスッキリするのだろうか。


―会ってどうするんだよ…?


 自分の考えにハッとなる。

 今日はどうしたというのだろうか、“らしく”無い…。


「はぁ…」


 短い溜息を漏らすと、教室中の視線が一斉に集まる。そんなに大きな溜息をついたつもりはなかった。それでも静かな授業中の教室には大きく響いたらしい。


「崎本君、どうかしたかね?」

「…いえ…何でもありません」


 初老に差し掛かった白髪頭の教師はワザとらしく眼鏡を上げると、深澄の答えに咳払いを一つ返して黒板へと向き直す。他の生徒もゆっくりと向き直ると授業は何事もなく再開された。

 生徒一人の為に授業を中断するほど、この学校は甘くない。

 落ち零れれば自主的にこの学校を去るだけ…そこに友人や恋人の様な感傷は一切持ち込まずに、残った生徒はそれを無言で受け入れる。それがこの学校の常識。


―クダラナイ…。


 きっと自分も落ち零れれば、この学校から去る事になるのだろう。それが当たり前だと思うし、反抗の余地もない。落ち零れる奴が悪いのだ。嫌なら這い上がればいい。誰かを蹴落として、ただその場所を勝ち取るだけだ…。

 

 不意に胸がざわめく…。

 一体、そうして得た将来(さき)に何があるというのだろうか。


「っ…」


 不意に携帯が揺れる。

 今度は声を漏らさずに済んだが、授業中のメールはあまり歓迎出来なかった。


―普通に考えれば、あいつも授業中だろ…。


 考えても仕方のない事を思いながら、深澄はメールを開けた。そこに躊躇いはない。


『深澄。


 返事をありがとう。

 貴方がくれる言葉は、まるで月のように柔らかで。

 雪のように、私の心に降り積もります。


 寂しいとか、哀しいとか、

 貴方は解らないと言ったけど…


 貴方の言葉は、心には

 寂しさとか、哀しみがあるような気がします。


 解らないのなら、自分自身に聞いてみてください。


 貴方は、きっと知っているはずです…。


                      良佳   』


 言葉は何も浮かんでは来なかった。

 ただ茫然として息をのむ。


―なんだよ…コレ。



 そして暫くして、ようやく浮かんできた感情は“怒り”。


 理解が出来ない。したくない。

 お前に何がわかる。何でそんな事を言われなければならない。

 知った風な口を聞くな。お前なんかに……。


 初めて上から目線でかけられた言葉に、深澄は激昂した。

 こんな屈辱は生れてから一度も味わった事がない。気分が悪い。不快だった。

 その場にいてもたってもいられなくなって思わず席を立つ。

 椅子は大きく音を立てて後へ転がり、教室中の視線はまたもや深澄の元へと集まった。


「崎本、いい加減にしたまえ…」


 呆れ顔で溜息をつく初老の教師。

 深澄の視界には、もはや彼の姿さえも映らない。声さえも耳には届いてこなかった。


「すみません…気分が悪いので早退します…」


 それだけを手短に告げると、深澄はカバンを手に取り俯いたまま教室を立ち去る。

 その瞬間辺りは騒然となるが、気にも留めずに黒板に板書を始めた教師にならい他の生徒もすぐに板書を始める。いきなりの「優等生」の奇行に、少しの騒がしさは残ったものの深澄にそれを知る術はない。


 振り向く事も無く、昼下がりの廊下を歩く。

 顔を上げる事も出来ずに…ただ鬱鬱とした感情だけが渦巻いていた…。


こんばんわ^^

予想外の更新です。


お話自体は亀ペースながら進んでいます…が、相変わらず彼は…orz

ですが、ようやく二人が会う事に!!……なるかも知れません(^_^;)

もう暫く、お付き合い下さい☆

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