新月━yoshika━
その「返信」は良佳が諦めかけた頃に、「希望」と共に訪れる。
また諦める事を諦めて…信じ続けなければいけないのか。そう思った。
新月の夜。
いつもなら月灯がうっすらと届くこの部屋にも、静寂と暗闇だけがある夜。
自室にこもり、良佳は携帯を開いた。
━新着メール 1件━
待ち望んでいた反面、その内容を読むのが怖くて…彼女はメールを開くのを躊躇ってしまう。
もしも、拒絶の言葉が書かれていたら…。そう思うと、中々ボタンを押せない。それならばいっそ、返事などくれない方がいい。その方が傷つかずに済んだのに…そう思う。
(やっぱりどちらにしても、進めないんじゃん…)
自分に悪態を吐きながら、良佳はようやくメールを開ける。
そこには意外なほどに「優しい」言葉が綴られていた。
『正直に話してくれて、ありがとう。
僕にはその「賭け」になんの意味があるのか
わからないけれど…。
yoshika、
君にはきっと、
とても「大事」な事だったんだろうね。
君の「気持ち」は
確かに「僕」に届いた…。
君はどうしたい?
misumi 』
━君の「気持ち」は 確かに「僕」に届いた…━
その一言に、涙が出そうになる。ただ嬉しかった。
待ち望んだ「言葉」。待ち望んだ「応え」。
与えられないと思っていたモノが、確かにそこにあって…その上、彼は「良佳」に応えを求めてくれている。
先程までとは違う「震え」が、良佳がボタンを押すのを邪魔する。
上手く押せないボタンに焦りを感じながら、良佳は必死で言葉を綴った。まるですぐにでも消えてしまいそうな光に手を伸ばすように…彼の「優しい気持ち」が消えてしまう前に。
━ 会いたい…
会って……貴方と話がしたい… ━
変な女だと思われるだろうか。
出会い系とか、メル友とか、そんな風なノリに聞こえるかもしれない。それでも…。
「お願い…届いて…」
彼と、会ってみたかった。
会って「話」がしてみたかった。
そう思わずにはいられない程、「misumi」の事を知りたかった。
無我夢中になって送ったそのメールは、きっと今頃、彼の元に届いているだろう。
良佳は、自分の送ったメールを何度も読み返して自己嫌悪に陥る。
新月の夜、
良佳はその闇よりも暗い気持ちで、彼からのメールを待つ事になった…。
みっちゃん、以外にメールだと優しいね(笑)
そんな突っ込みを入れたい作者です(^_^;)
さて次回、深澄は良佳に会う事にするのでしょうか??
良佳は相変わらずマイナス思考ですが…。
待て、次回です☆