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寝すぎたオッサン、無双する〜親友カップルをかばって昏睡から20年、目覚めたら俺のハズレスキル〈睡眠〉が万能究極化してて最強でした。超人気配信冒険者の親友の娘姉妹が、おじサマと慕って離してくれません〜  作者: ミオニチ
ネルト配信冒険者デビュー〜この一撃にすべてをかけて 編

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寝すぎ41 ネルトの慟哭。……未来の英雄たちを助けた、もう一人の。

「ゔあああああああああああええああおおおおあああああああっ!?」


 まるで地の底から響くかのような慟哭のそのすぐあと。


「あ…………?」


 目を閉じ、ふらりと意識を失うと、ネルトはその場でゆっくりと、まるでスローモーションのように背中からぐらりと倒れ――


「いやあぁぁっ!? オジサマぁっ!?」


「ネルおじっ!?」


 ――一瞬で蒼白となった姉妹は、その場から一も二もなく駆けだした。


「………っとぉっ!」


 ――が、途中でカッと目を見開いたネルトは地に背中をつけるまさにその寸前、そのスキル〈睡眠〉で鍛えた肉体の強靭な足腰だけでビンッと踏みとどまり、さらにダンッ! と勢いをつけて立ち上がる。


 そして、手の甲で大量にかいた額の汗を拭った。


 ふぅ……! あぶねぇ、あぶねぇ……! 万能究極化したスキル〈睡眠〉の〈睡眠時精神安定〉にとっさに瞬間的に極振りしたおかげで助かった……! もう少しでマジで精神がぶっ壊れて、あやうく冗談抜きで、死因:恥ずか死。するところだったぜ……!


 だって、だって、そうだろ……!? 自分の知らないところで、なぜか20年前のことが映画になってて……!


 俳優が演じてる……とはいえ! 俺がパフとスピーの母親、フィーリアのあの豊満な胸に顔をうずめて、でへへとだらしなくにやけてるところも……!


 マジで息も絶え絶え、目もかすんじまってガチでぶっ倒れる寸前なのに、やせ我慢してドヤ笑顔で親指立て(サムズアップ)決めてるのも……!


 ハワードにはマジで悪ぃと思いながらもどうしても最後にそれだけは伝えたくて、フィーリアにひそかな想いを伝えたのも……!


 なんで、なんで全世界公認の周知の事実になっちまってんだよっっ!?


 しかも、なんかさっきパフとスピーのファンのリスナーたちが――


(あの10年前の世界的超有名超ヒット作! その年の興行収入、配信ともに第一位で、リバイバル上映も何度もされてる! 無料配信されてそのクオリティを保証した伝説の冒頭五分!)


 ――とかなんとか言ってたし! 無料配信とか10年ってこと考えたら、観てた人の数、万とかじゃきかねえだろっ! これぇっ!? 〈超睡眠学習〉で知ったいまの爆発的に増えつづけてる世界人口から考えたら、億いや下手すりゃ何十億とかって人に知られてんじゃねえのかぁっ!?


 あのほぼ実際あったとおりの描写の細かさと、タイトルが〈英雄冒険者たち、いま世界の果てへ〉ってことは、当事者のハワードやフィーリアの協力も全面的に受けてるんだろうけど、それでもさぁっ……!?


「オジサマぁっ!」


「ネルおじっ!」


「うわぷっ!?」


 ――その瞬間、今度こそネルトはぐらりと地面に倒される。


 この結果を導いた要因は、大きく2つ。


 1つは、ネルトがスキル〈睡眠〉からその意識をとりもどしてから圧縮したような集中したごく短い時間にぐるぐるとあてどもなく思考を巡らせつづけ周囲への注意力散漫で、かつ精神的に弱りきっていたこと。


 もう1つは、パフィールとスピーリアが一切の遠慮も躊躇も減速すらもなく我先にと無我夢中で跳びつき、抱きついてきたこと。


 その結果、何の抵抗も反応もできずにネルトはあえなくその場で娘姉妹に押し倒されることとなった。


「ぱ、パフ……!? スピー……!?」


「ごめんなさいっ……! オジサマぁっ……! あたし、あたし……! 何にもわかってなかったわ……! オジサマの、あの悲痛な叫び(こえ)を聞くまで……!」


「ごめんなさい……! ごめんなさい……! ネルおじ……! わたし……! わたしが……! あんな映像をっ……!」


 ぽろぽろと涙をこぼすパフィールとスピーリア。ひしと離さないように倒れたままネルトに左右から抱きつきながらも、耳もとで懸命に、心からの謝罪と言葉と想いをぶつける。


「オジサマにとって、あの20年前のことがだれにも知られたくなかったってこと……! あたし、わかってなかった……! だって、あたしにとって、あの映画は……! あのとき、あの20年前の事実(こと)を知ることができたのは、小さなあたしにとって、とっても大事で、大切で、すごくすごく、うれしいことだったからっ……! だから、お願い……! 聞いて……! 知ってほしいの……! その日からずっとオジサマは、あたしにとって……!」


「ごめんなさい……! ネルおじ……! でも、信じてほしい……! 傷つける気なんてなかった……! これは、本当……! わたしは、知ってほしかっただけ……! ネルおじがもうすでに、みんなから認められて、愛されているってこと……! だって、あの映像を観たみんな、こう言ってる……! わたしだって、ずっとずっと想ってる……! ネルおじは……!」


 ぎゅっ……! と強く強く、体全体で姉妹がネルトを抱きしめる。


 そして、両の耳もとでささやいた。


「パパとママを……!」


「ハワぱぱとフィーままを……!」


「「未来の英雄たちを助けた、もう一人の英雄、だって……!」」


「…………へ、へへっ……!」


 その瞬間。いまネルトの中にあった、奥底から生まれつづけていた、どんよりとよどんだ(おり)のようなわだかまりが完全に溶け消える。


「ありがとうな……! パフ……! スピー……!」


 そして、ぎゅうっ……! と左右の腕でおもいきりかき抱き、姉妹それぞれを心から愛おしむように強く強く抱きしめ返したのだった。

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