魔法少女 和菓子(ワカコ)の正体は、97歳の和子さん
初めまして、そしてお久し振りです。
夜狩 仁志でございます。
今年も、なろうラジオ大賞の時期がやってまいりましたので、懲りずに全テーマで作品を投稿していきたいと思います。
今回一作目はのテーマは「和菓子」です。
大正生まれ97歳の和子は、代々継いできた和菓子屋の店を閉めることを考えていた。
和菓子の需要も少なくなり跡取りもいないためだ。
独り残された和子は仏壇の前で呟く。
「そろそろ潮時かね」
その時だった。
仏壇から光が溢れ!?
同時に小さな妖精が現れた!
「お願いです! 助けて下さい!」
「誰だい、あんたは?」
「ボクは和菓子の国の妖精、安子です。日本のみんなが和菓子を食べなくなったせいで、ボクの国が崩壊しそうなんです」
「知らないよ、そんなこった。私はもうこの仕事を……」
「お願いします! 魔法少女になって和菓子の世界を救って下さい!」
そう言うと有無を言わさず、千歳飴でできた魔法の杖を和子に向けた。
すると一瞬でお婆さんの姿が、紫の袴に桃の着物、長い黒髪に赤い髪留をつけた美少女に変身!
「これで悪い洋菓子達を駆逐してください!」
「何を言ってんだい、この妖怪は!?」
こうして突如現れた魔法少女 和菓子に、日本社会は騒然。
「そろそろクリスマスか。ケーキの予約しないとな」
「私はチョコケーキがいいかな?」
魔法少女ワカコ参上!!
「クリスマスにケーキだぁ? キリストの誕生日なんか祝わないで、日本人なら釈迦の誕生日祝いなさい! 4月8日の花祭り! 甘茶に団子!」
「な、なに? だれ!? あっ! ケーキがお団子に!?」
「あ、あの、これ、作ってみたんだけど……」
「えっ、あ、ありがとう……」
「バレンタイン! チョコレート!?
ふざけんじゃないわよ!
2月なら建国記念日を祝しなさい!
天皇誕生日を祝いなさい!」
「キャー チョコが饅頭に!?」
「あ、あなたはワカコさん! サインください!」
「この前はゴメン、これホワイトデーの」
「ありがとう」
「ホワイトデーのお返しだぁ?
3月は雛祭り! 春のお彼岸!
ぼた餅食べなさい!」
「「また来た!」」
「最近の男子はたるんでる! 軟弱ものめ!」
「ポテトなんか食べずに柏餅食べなさい!」
「アイスにゼリーにシェイク、
ジェラートだあ?
この非国民め!!
夏は水羊羹にかき氷ー!!」
こうして和子の地道な普及によって、和菓子の良さが再認識されブームに。
「これでボクの世界も安定しました」
「それはよかったわね。私もゆっくりさせてもらうわよ」
そんな平和もつかの間。
ある日……
「た、大変です!」
「なんだい? また、あんたかい! 騒々しいね」
「今度は中国から、月餅と杏仁豆腐が!
ロシアから、プリャーニキとヴァトルーシュカが攻めてきました!」
「もう放っておきな!」
お読みいただき、ありがとうございます。
和菓子と言えば茶道。
茶道と言えば、この話し。
普段投稿しております連載作品「僕は茶道部部長に弄ばれる」のリンクを↓に貼っておきますので、そちらもよろしければご覧ください。