〜カイトの日常〜
突然、パッと目が痛くなるような光。
必死に手を伸ばすも、道路のガードレールを掴めるはずもなく、途轍もない浮遊感というものに怯えながら、水原カイトはビクビクした思いで、道路を浮上していた。
カイトは現在、天国を思わせる雲海へと自らの体を上昇中なのである。
学校からの帰り道、突飛な雲に吸い込まれたカイトは、遂に雲の上まで到達してしまったのである。カイトはこの雲の上の眩し過ぎる楽園でとある神様に出会った。
今まで普通に三次元でしか生きてきていない高校生の自分が、日常とはかけ離れた経験をできるわけがないと思っていた。しかし、今の状況を考えると、信じるよりほかはない。この渦巻いていた雲は、僕の新たなスタートだったのだ。今から、僕が始めるハーレム転生という名のゲームがスタートし始めるらしい。
それは最も陰鬱な気分に沈む日。
そうしたじめじめじめした気持ちでいると、天気も雨になった。そんな天気で溜息を吐いた。そうした中、カイトは晴れという名の昨日までの幸せを思い出す。
そして、それはカイトも例外でなかった。
カイトは、毎日始業チャイムが鳴るギリギリに登校して、扉を開ける。
その瞬間クラスの女子生徒たちが大勢近寄ってきた。しかも、美女ばかり。一見ハーレム状態に見える。なぜ、このような状態になったのかというと、このクラスはカイト以外皆、女子生徒なのだ。女子生徒しかいない理由、それは去年まで女子校だったからである。それも揃いに揃って美女ばかりいる。しかし、カイトがされることは決まっている。それは、睨まれたり、好きなアニメを馬鹿にされることだった。アキラは極力無視して自分の席についた。
しかし、ちょっかいを出してくるものはいた。
「オタクとかキモいわよ」
と幼馴染の黒木楓に罵られたが、カイトはいつものことで全然傷ついていない。カイトはこの幼馴染とのやりとりに慣れているのだ。
その後、カイトの幼馴染の楓ととてもクールな氷山ちか、誰からにも好かれているアリスの三人が来て、だいたいこの四人が頻繁にカイトに絡んでいる。
カイトはカエデの言った通りアニメオタクだ。
そして、オタクがキモイって言われる理由もわかる。オタクがキモいって思われないようにするように
「なんとかしなきゃな〜。」
とカイトは思っている。
しかし、何が問題なのかすぐにはわからない。カイトは髪は美容院に行って綺麗にしてもらい、毎日寝る前にはドライヤーだってしている。気になった時には、くしで髪をとかしもしているぐらいだ。単純にアニメが好きなだけだ。世間一般には、オタクを嫌う風習があるのは事実だが、カイトに嘲笑程度あるのはわかる。しかし、ここまでの敵対心を持たれることはない。だが、この敵対心をもつ理由が一つだけある。
その答えは、このクラスの中の美女の中の美女、白姫薫にある。
薫は、
「おはよう、水原くん」
と言いながらホッペにキスをする。このようなことをしているので、これがカイトが敵対心を持たれている理由でもある。
そんな敵対心を持たれていることはお構いなくキスやハグをする。実は、白姫さんは美女の中でも美女のことから、表の女神白姫薫と言われている。
ちなみに,裏の女神は黒木楓である。
こちらも美女の中の美女だ。そして、カイトの幼馴染でもある。
そんな薫はなぜかよくカイトのことを構うのだ。アニメを観すぎて、疲れ気味のカイトに膝枕をして寝かしてあげ、カイトの疲れをとった。その姿を見て、他の皆の美女たちは自分が膝枕して欲しいという欲求が脳内でいっぱいで膝枕してもらっているカイトに敵対心を持った。その様な事を毎日繰り返している。カイトはアニメ疲れして、徹夜になることも多い。
その徹夜のせいで居眠りの多いカイトは不真面目な生徒だと思われている。一応テストでは、毎回順位一桁台に入っているのだが。
白姫薫にいつも疲れたとき疲労を回復させてもらったり、励ましてもらったりしているおかげで一応人生を過ごせている。この生活でカイトは満足してしまって、一向に普通の学校生活になおす気がない。だが、薫も今の生活の方が良いと思っており、二人とも今の生活をなおす気が無いようだ。その様なカイトが美女の中の美女、表の女神の白姫薫と仲良くしていることが他の美女たちには我慢ならないのだ。また、美女たちはカイトが、薫に面倒をかけていることにも怒っている。しかし、カイトはそのことは面倒なので放置している。カイトは、美女たちの文句など全然気にしていないのだ。
「おはよう、白姫さん、実は今日アニメの見過ぎで疲れちゃったんだ。」
と発言した。この時、皆の野次馬(文句)がすごかったが、その野次馬に耐えながら、白姫さんと会話した。
そして白姫さんは、
「ねぇ、ねぇ、アキラくん結婚しよう!」
といきなり皆の前でプロポーズ。といってもこれは毎日の事で、カイトも本気で好きでいてくれているのかどうかも分からない。そして、他の美女たちは薫があんなカイトを好きなことに怒っているが、毎日の事なのでもう呆れてきている。
ただ一人を除いては。
一人だけ、実はとても心配している美女がいる。その人物とは、白姫ゆきだ。
白姫ゆきは、白姫薫の執事であるので、当然ながらお嬢様のことは、心配するのだ。ちなみに白姫ゆきの白姫は学校に一緒に通う時の名字で本当の苗字は佐藤ゆきという。だから、白姫の家では佐藤ゆきと名乗っている。
その後、学校の小テストがあり、満点を取る事ができた。満点を取る事ができたのも薫にハグをしてもらったおかげだと思っている。
小テストで満点を取れたので、上機嫌になっていると学校の終礼のチャイムがなり、学校を後にした。学校からの帰り道は薫さんとゆきさんと話した。
「ねぇ、ねぇ、カイトくん結婚しよう!」
「じゃぁ、結婚する!」
と薫の話にカイトがした。
するとゆきが薫のことを心配して、
「お嬢様、結婚しようなんてそんな軽口を交わさないでください。カイトくんが本気にしちゃいますんで。」
「それにカイトくんもカイトくんです。お嬢様のジョークに乗らなくていいですから。」
と大声でゆきは薫とカイトの二人のことを叱った。
その説教に薫が、
「ジョークじゃ無いわよ!」
と返したのだが、ゆきは薫の発言に聞く耳を持たなかった。だから、薫は今まで通り、ハグをしたりキスをしたりした。
そんなこんなで、薫の家に着いた。薫の家は、学校まで十分ほどの距離にある。薫の父親は、白姫財閥の社長なので、当たり前だが家も大豪邸だ。しかし、父親はいつも仕事に出かけており、母親はもう亡くなっている為、薫はいつも寂しく大豪邸に執事と薫だけで暮らしている。もちろん、ゆきも白姫家の執事なので、この家で暮らしている。
「バイバイ、カイトく〜ん!」
「じゃぁね、白姫さ〜ん!」
とカイトと薫は別れの挨拶をし、薫とゆきは白姫家にカイトは自分の家に向かうために目の前の国道に向かった。
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