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勇者が活躍する時代はもう飽きた!!!!

 この世には魔王、ドラゴン、勇者、ゴブリン、人間、オーク、神、悪魔などと多くの種族が存在している。遠い昔は、この世界で神の種族でも最も地位のあるラファエル·カタロスによって均衡が保たれていた。しかしある時、天界でその地位を奪おうと下克上が起こり、ラファエルは封印されてしまった。その後も下克上が続き、遂には天界から神が一人残らず消えて均衡が失われてしまった。



 「ハルト、本を読むのは良いけどそろそろ寝なよ。明日はあんたの未来が決まる日なんだ。遅刻したら教会の方々に失礼だろ?早く寝な。」


 母親に言われて俺は、古くなった分厚い本を勢いよく閉じた。


あーあー。まだ読んでいたかったのに……本当にタイミングが悪いな。


「そうゆうとこに厳しいから母さんのシワは増えていくんだよ。ほらほらまた老けてきたんじゃない」


「安心しな、ハルト。怒ることとシワ増えることは比例しないからね。その生意気な口をなくしてやったら私のシワも解決するのかねぇ?」


 わーお。母さんから愛の殺意が飛んでくる。てか、なんちゅう威圧感だよ。俺じゃなきゃ漏らしてるよ……。でっかいほうも、ちっさいほうもさ。ほら、威圧感すごすぎて、子蜘蛛落ちてきっちゃたし。ひとまず謝るしかないかあ。


「すいませんでしたぁぁ」


 すぐに背筋を伸ばして床に額を擦り謝った。体の穴という穴から汗が出る。さっきまでの余裕な笑顔はいっきに固くなり苦笑いが精一杯。さてと、どう逃げようかな。音を立てないように後退りをしたが、ドンっと重い手が方に乗ってきた。ありゃまあ、当然見逃してくれなよね。


スキル『合金』により金で固められた拳がそこにはあった。あ……し、死んだわこれ、終わり!俺の人生しゅーりょーう!よくても、顔面複雑骨折だよ。もしくは、生きていけないような顔に成形させれる。


 諦めながら涙を流す。その3秒後には、俺の体は中に舞った。トリプルアクセスを横に決めて地べたに這いつくばる。母はすぐに駆け寄り最大の回復の呪文『オールヒール』を唱えてくれた。その回復力は目覚ましく、致命傷の傷でも直してしまうほどで母さんは村の医者としても人気がある。


「さて、これでまた殴れるわね」


 ニコニコ話してくる母さんに俺は唖然とした。本当に鬼だこの人……ドsの塊じゃねえか。また同じことやられたらさすがに精神が持たないな。


「本当に勘弁してください」


「寝ろ」


「はい」


その日、俺はぐっすり眠れた。威圧感から解放された夜は疲れと安心感を同時にもたらした。


 

※※※※※※


「ールト、ハルト起きな。ハルト」


 朝からうるさいなぁ。まったくどうしたんだよ?目を擦りながら母におはようと、とりあえず挨拶をする。学生のようにボケーっと布団に正座していたら母親のビンタが飛んできた。バチンと激しい音が鳴り響く。その音と共に左頬には赤い手の形がついた。


「痛ったぁぁあー。ふざけんな、ババア。なにしてくれてんだぁ。この、プリンプリンなお肌が傷ついちゃうでしょうが!」


「母親に向かってその口の聞き方はなんだね。そんな子に育てた覚えはないんだよ。アンタ、時間がないのを知ってんのかい!」


 母さんは目覚まし時計をとって俺の顔に押し付けきた。めり込むせるようにグリグリと目覚ましを押し付けれる。あの、息できません……これ死ぬやつです。まじで死ぬんじゃ…………ね……


 鼻と口が押さえつけられ手足をばたつかせるがなにも変わらない。もう我慢できん。申し訳ないけど壊すしかない。魔力を目覚ましに吹き込みなかで魔力暴走をさせて破壊した。

 やべぇ……なんかきれいな川が一瞬みえた。酸素をたくさん取り込むように大きく深呼吸をする。


「母上、今日は修行には行かないって言っただろ」


 母さんは、ため息をつきながらゆっくり玄関に向かいこっちに来るよう手招きした。そして俺はやっと今日がなんの日なのか気づく。

 あ……今日、教会の日やんけえええええええ。遅刻確定演出じゃね?終わってね?終わってるよねぇ?嘘だと言ってくれよ。嘘だとー!


「ヤバいヤバいヤバい、遅刻しちゃうよ。なんで早めに起こしてくれないんだよ。」

 泣きそうなりながらも一分一秒無駄のない動きで素早く準備を進める。


「あんた、あたしが今日何回起こしたと思ってんのさ。最大火力を食らいたいのかい」


 母親の左腕には赤オレンジに晴れ上がった魔法がある。グツグツと火のように燃える火球は、なんでも溶かしてしまいそうなくらいに熱く離れていてもその熱さは俺の髪が燃えるほどだ。

 精神的にで死にそうなのに、物理でも殺しに来るのは、やめてもらえないですかねぇ。

俺は怯えながら支度を完了し玄関の前に立った。


「ほら、行ってきな。あと、受け身はとるんだよ。じゃないと死ぬからね」


 母さんは笑いながら俺の背中をポンと叩き、目をつぶって魔力を込める。すると、下から金色の魔方陣か出現し光だした。星のように輝いてからバネ台が地面から飛び出して勢いよく俺は飛ばされた。速度は異常に速く空気抵抗を顔のみで受けとる。風圧が強く目や口を開くこともできないほどだ。

 死ぬ死ぬ死ぬー。なにやってくれてんだあのババア。これはホントに死ぬやつです。死んじゃうやつです!


 15秒ほどすると急に勢いがなくなり体は下へと落ちるようになった。え??なんで失速してんの?落ちる、落ちる落ちるー。みんな、今までありがとう。母さん、急ぐとはいえトラップは、いらなかったかな。そのせいで今から俺死んじゃうけど悲しまないでね。母さんのせいだけど泣かないでね。涙をこぼしながら、さようならと大地と母さんに別れを告げる。その時は、もう後悔がないようなスッキリした顔でいた。死ぬのを覚悟したような目でもあり、あがくことを諦めた目でもある。


グチャグチャ


え?なにこの音。骨まで……いや肉体が粉々にって言ってもどこも痛いところは無いんだけどな。


 ふと自分のけつをみると下には青いスライムがゼリー状に潰されていた。


よし!ひとまずセーフ。あとババア帰ったら絶対に許さん。俺は、どこに落ちたのか辺りを見渡し状況把握を行う。すると、目の前には例の教会が聳え立っていた。昔からある教会は異様な雰囲気を漂わせていた。俺自身も行くのは二回目でまだ慣れてはいない。だが、入らなければ埒が明かないのでひとまず入ることにした。ちなみに、遅刻はしなかった。ギリギリセーフってとこだったし母さんには感謝しなきゃ……いや、しなくていいか。死にかけたんだしな。






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