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他の話しより短めです。

「おい!まだ生まれないのか!?部屋に入ってから何時間…。」

「王太子殿下、落ち着いてくださいませ。」

「これが落ち着いていられるか!」

「初めての出産です。時間がかかって当然なのです。」


臨月を迎えいつ生まれてもおかしくないという状況でフレッドの執務室で過ごしていたティナ。そんな彼女に陣痛が起きて部屋へ案内されたのが今から6時間程前になる。


「フレッド、部屋の前でウロウロしないでちょうだい。出産時、男性にできることはないのですよ?」


王妃がフレッドを叱る。前王妃から聞いた話だが、国王も王妃が出産するときは部屋の前を右往左往していたのだ。


「母上…。」

「わかったなら、少し落ち着きなさい。そして…。」


王妃はフレッドの側近に視線を送る。


「仕事をしなさい。仕事が溜まっては、生まれたばかりの我が子を陛下か私が先に抱きしめることになるわよ?いいのかしら?

まだ、数時間はかかるはずなのだから、仕事を終わらせなさい。」

「それは困ります!よし、隣の部屋が空いているな!用意してくれ!」


フレッドは隣の空き部屋を急遽執務室とし、側近から仕事を受け取り、怒涛の勢いで処理していく。

それから、更に7時間程経った頃だろうか、臨時執務室の扉がノックされ、間もなく生まれると伝えられたので、部屋を出たフレッドにちょうどティナの部屋から出てきた産婆が告げた。


「フレデリック王太子殿下、お祝い申し上げます。

元気な王子にございます。」

「そうか!ついに生まれたか!」

「王妃陛下、おめでとうございます。さあ、お部屋へ。」


部屋に通されたフレッドと王妃。国王も遅れてやってきた。

ティナの横には生まれたばかりの王子が寝息をたてていた。


「ティナ、出産お疲れ様。そして、元気な子どもを産んでくれてありがとう。」

「クリスティナよ、おめでとう。疲れたであろう?」

「ティナちゃん、お疲れ様、そしておめでとう。可愛らしい赤ちゃんね?」

「フレッド様、国王陛下、お義母様、ありがとうございます。」


お礼を言った後にティナは眠りに落ちた。


「儂だけお義父様とは呼んでくれなかった…。」

「父上、こんなときに何を落ち込んでいるのですか…?」

「陛下も呼ぶように言ったらいいではありませんか?」

「それにしても、俺とティナの子どもか…。ティナに似てる…?それとも…。」

「フレッドが生まれたときにそっくりよ?」

「ああ。王妃の言うとおりだ。」

「父上、母上、子どもの名はふたりで決めてあるのです。」


男の子だったらその名を授けるとティナとフレッドは決めていた。


「カイザード、これからお父様とお母様とで大切に育てていくからな。」

「カイザード…いい名だな。」

「ええ。カイザード、お祖母様ですよ。」

「お祖父様もおるぞ?」

「皆で、カイが大きくなるのを待っているからな?」


親バカ、孫バカが始まった瞬間だったが、ティナは知る由もなかった。



「フレッド様、こうもずっといらっしゃらなくても…。」


翌日からティナとカイの部屋で執務をしているフレッドに彼女は苦言を呈した。

せめて、授乳のときは出ていってほしいのだが、ティナに背を向けるだけで、部屋にいるのだ。


「君とカイが心配で、執務室で仕事をしていたら手につかないんだ…。」


後ろで側近達が申し訳なさそうにティナを見つめる。


「はあ…側近達を困らせてはいけませんわ。」

「うっ…で、では1週間だけ!今日から1週間だけここで見守りながら仕事をしていいか?」

「ええ。わかりましたわ。貴方達もそれでいいわね?」


ティナは側近に視線を向ける。


「王太子妃殿下、御心遣い感謝いたします。」


そしてフレッドは1週間はティナとカイと過ごし、その後はきちんと執務室で仕事をすることにした。

とはいえども、休憩の度に部屋へ顔を出していたのであまり変わらなかった気もするとティナは思っていた。


ー·ー·ー·ー·ー·ー·ー


ー数年後ー


「フレデリック、クリスティナよ、この国を頼んだぞ?」


国王は「孫と戯れて余生を過ごしたい!」という実にくだらない理由でフレッドに譲位することを決めた。

カイの後には王女がふたり生まれていて孫バカに拍車がかかっていたことが原因だった。


「父上、お戯れを…」


とフレッドは言ってみたが、国王は本気だったようで

その発言から間もなく、フレッドが国王に即位しティナは王妃となった。そして第一王子であるカイザードは幼いながらに王太子となった。


「フレデリック国王陛下!」

「クリスティナ王妃陛下!」

「カイザード王太子殿下!」

「「「バンザイ!」」」


王都が一望できる王宮のバルコニーから、ティナとフレッド、カイザードは国民へ手を振っている。


「ティナ、今日からは王妃として互いに支えあいながら、生きていってほしい。」

「はい、フレッド様。国王となられた貴方を支えてまいりますわ。」

「父上、母上、僕もおふたりのお力になれるように精進して参ります!」

「はは。カイザード、期待しているぞ?」

「カイザード、無理してはいけないわ。貴方のペースでね?期待しているわ。」


フレッドがカイをひょいと抱き上げ国民へ手を振ると更に盛り上がりを見せた。

新たな国王夫妻となったティナとフレッドは革新的な治世を行い、後世に語り継がれることになったのは言うまでもない…。

これにて完結!


初めていきなり全部を投稿する形となりました。

うーん…とりあえず、完走しました!


お読みいただきありがとうございました!

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