第四話「初めてのケンカ!」
6月22日午前。曇り。
「わぁ!おいしそうー!!!」
僕の目の前に大量のご馳走が置いてあった。
「ごきげんよう。南お嬢様に執事様。」
可愛らしい服を着た女の人が挨拶をしてきた。
「あ、ご、ごきげんよう。」
なんか、よく分からないけど挨拶を返したが、姫様はそっぽを向いた。
「お、おい、ひ…お嬢様、流石に失礼ですよ。」
「いえいえ、大丈夫ですよ。ではごゆっくりどうぞ。」
僕と姫様は今、お嬢様と執事の集まるお茶会に呼ばれて参加している。
まぁ、姫様って呼ぶのはなんか色々あれなので、今はここに乗っ取ってお嬢様と呼んでいる。
でも、そんなことよりご馳走にしか目がいかない。流石、金持ちたちの集まりといったとこだろうか。姫様といると姫様の好きな物ばかりで、こんな贅沢は初めてだ。なので僕は今、浮かれている。
「どーれからたべよっかなぁー!」
箸をパチパチさせてどれにしようか選んでいた。すると、
「ナイト。」
「なにぃ?姫様ぁ?」
ニヤニヤしながら姫様に聞き返すと、
「帰るよ。」
「はい〜。…っええ?!」
姫様の唐突な言葉に驚いてしまった。
そして結局、姫様の自宅へと戻ってきた。
「なんで帰ったりなんかしたのさー?姫様は食べれるかもだけど、あんなご馳走なんて滅多に僕は食べられないんだよ?てか、そもそもどうせ帰ってくるなら行く必要とかなかったんじゃないの?なんでわざわざ行ったりしたのさ?」
「うるさいうるさいうるさぁーい!」
僕の長い言葉に姫様が怒って叫んだ。
「今一番うるさいのは姫様ですけどね〜。」
嫌味を言うかのように悪く言い放った。
「ふん!ナイトは貧乏すぎるの!だからあんな金ばっかの世界に行っても大人げないような感じなの!」
僕はここでついにやってはならないスイッチを入れてしまう。
「あー、そうかよ!姫様はいいよな!裕福できて!親がいないから怒られることもないし自由でな!はんっ、ほんで親がいないって姫様がワガママすぎるが故に捨てられたんだろ。」
「…さい。」
「あ?聞こえませーんっ。」
バカだ。僕は。…今、顔を近づけてやっと姫様の目に涙が浮かんでるのが分かった。
「ぁ。」
気づいた時にはもう遅い。
「うるさい!ばか!ナイトには関係ないでしょ!もう知らない!!!」
そう言い放った姫様は家を思い切り飛び出していった。
「あ…まぁ、しばらくしたら帰ってくるか…。」
そう思っていたのがバカだった。
あれからとても長い時間が経ってる。…全く帰ってくる気配がない。
今更ながらマズいと思い始めた。…とりあえず探しに行かなきゃと思って外へ出る。
でも、姫様の行きそうなところってどこなんだろう。
…外に出てみるが姫様の豪邸は割と近くに住宅街がない。だから人の気配も少ない。
もし行くとしたら…近くではあるだろうけど、何か気を紛らわせられるような、ゲームとか!
ということで近くのゲームセンターに来た。
「…え。」
そのゲームセンターの入口に何か張り紙が貼ってあった。
『本日を持ちましてさくらゲームセンターは引越しします!』
「マジか。」
多分、予想だけど姫様もここに一旦来たけど、この張り紙を見て落ち込んで別のところに行ったんだろうなと思った。
となると、別の場所…考えながら歩いていると公園が見えた。
さくら公園だ。
子どもたち数人がワイワイ砂場で遊んでいるのが見える。その中に姫様はいない。
「…流石にここは来ないか。」
そう思って通り過ぎようとした時、公衆トイレの後ろに人影が見えた。それも背の高い男のような…。
怪しいと思って近づこうとした時、向こうから声が聞こえた。
「女の子が川で溺れてるぞ!」
先にそっちへと向かうことにした。