第十三話「天才小学生博士?!」
7月30日。晴れ。
しばらくいつものように過ごしていた僕らは突然の訪問が来て驚くことになる。
「はじめまして。私、笹西詩音っていいます。これからよろしくお願いします。」
「…ええええええええ?!」
なんと、姫様と同い年くらいの子が突然やってきたのだ。
そしてその子はなんと…。
「あ、お姉ちゃん。」
「お姉ちゃん?!」
その子の視線の先には笑梨香ちゃんがいた。あ、そういえば同じ苗字…。そういうことか。妹さんが来たって感じか。
「詩音、家で待ってるって言ったでしょ?」
「何日いないんだよ。もう待ち続けるのは嫌だよ。だからこっちから来た。」
「なんで?場所はどうやって知ったの?」
笑梨香ちゃんが少し前へと突き進んで問い詰める。
「いや、お姉ちゃんが置いてったんだよ、ここの住所。」
「え?…あ!…あー。」
段々と気弱になっていく笑梨香ちゃん。天然なとこもあったらしい。
「と、いうことでよろしくお願いしますね!」
元気よく詩音ちゃんは挨拶をした。
詩音ちゃんの背中には割と多めの荷物が詰め込められていて、何やら研究道具みたいなのも入ってるらしい。
そして詩音ちゃんの部屋はちょうど空いていた1階の角部屋になった。
「研究をしてるっていうことは、何か発明できたりするの?」
「はい、もちろんです。」
僕の言葉に元気よく応答した詩音ちゃんだが、見た感じだとそこまでクオリティの高いものが出来るような歳じゃないので、ある程度かなと思った。
「こんなのとか。」
そう言って渡してきたのは何やらメガホンのようなもの。スイッチがいくつかあるのも見られるだけでなく、なにやら数字が出そうなパネルまであった。
「何、これ。」
「それはね、イロイロメガホンって言って、拡声機にしたり、変声機にしたり、後は集音器、騒音計。持つところを横にして、ここにコードを刺したらスピーカーにも出来ちゃうんだよね。さらにさらに、このボタンが録音でこっちがその録音を再生するボタン!これで何度、お姉ちゃんから怒られずに済んできたことか…。」
見ているとそれは物凄い才能の持ち主だというのが分かる機械だった。まさに天才博士。
僕はこの日から詩音博士と呼ぶことにした。
こんなのを作れるのはそうそういない。
ということで、姫様にも納得してもらい、家に住まわせることにした。
「いい?詩音、迷惑だけはかけちゃダメだからね。」
「分かってますって〜。それにほとんど発明するから外には早々出ないから大丈夫。」
詩音博士にゆっくりと姫様が近づいていく。
「ねえねえ、これって作れる?」
一つの紙を手渡した。それを開いて詩音博士がじっと見た後に
「任せてよ!」
と胸を一つ叩いた。その様子を見た姫様は嬉しそうにぴょんぴょん跳ねた。
「じゃ、また夜ご飯の時に!」
そう言って自室へと戻って行った。
「はぁ、困った妹だわ。」
僕はイロイロメガホンを受け取ってからそれを色々見ている。
「おー、すげ。われわれはうちゅうじんだ。うお!すご!」
「…ナイト様もなんかあっけに取られてるし…。」
「え、凄いよ、だってほら!」
設定されている変声機は宇宙人の声、笑梨香ちゃんの声、詩音博士の声、後はよく分からない声だった。
「…すごー、マジの博士じゃんか。あの歳にして天才か?てか、詩音博士って何歳なの?」
「え?詩音は10歳だよ。姫様と同じ。」
笑梨香ちゃんが少し笑いかけながらそう言った。
「…10歳で天才…。凄いのが家に来たな。」
これから、詩音博士がどんなことをこの家に起こしてくれるのか、内心、楽しみで仕方がなかった。




