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紳士クンの、割と不本意な日々Ⅲ  作者: 椎家 友妻
第五話 紳士クンと足のない乙女
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3 このままいくと本当に女の子になる

「ところで水落衣さん。今まで水落衣さんが視た僕の未来って、

その、誰かのお嫁さんになるとか、素敵な男性と出会うとか、

女性としての未来(、、、、、、、、)ばかりだったじゃない?」

 「はい?そうですね。こんなに幸せな未来が待っているなんて、

同じ女の子(、、、、、)としてホントに羨ましいです」

 と、純粋に羨ましそうに水落衣は答える。

ちなみに紳士クンは、

自分が実は男だという事を水落衣に知らせておらず、

水落衣も紳士クンが男だとは露も思っていなかった。

(つまり水落衣には、

本当に女性としての紳士クンの未来しか視えていないのだ!)

そんな水落衣に紳士クンはひきつった笑みを浮かべながらこう続ける。

 「ええと、水落衣さんが視るその人の将来って、必ず的中するの?」

 「そうですね、自然に身を任せて生きていけば、ほぼ百%そうなると思います」

 「じゃ、じゃあ、僕は本当に将来誰かのお嫁さんになっちゃうって事⁉」

 紳士クンは思わず水落衣の両肩を掴んで声を荒げる。

その鬼気迫る表情に、水落衣は驚いた様子で目を丸くしてこう返す。

 「ま、まあ、そうなりますけど、あくまでこのままいけばという話なので、

その人の心がけや行動ひとつで、未来はいくらでも変化しますよ。

将棋の駒の置く場所をひとつ変えただけで、局面が変わるように」

 「そ、そうなんだ・・・・・・」

 「蓋垣さんは、将来結婚するのがいやなんですか?

ずっと独身で、色々な男性と関係を持ちたいんですか?

まあ、蓋垣さんの魅力をもってすれば、それも十分可能だと思いますけど」

 「ち、違うよ!そうじゃなくて、ええと、何て説明すればいいか・・・・・・

と、とにかく、僕が誰かのお嫁さんになるのは色々困るんだよ!」

 「はあ、そうなんですか」

 「人の未来はその人の心がけ次第でいくらでも変わるんだよね⁉

じゃあ僕、水落衣さんが視た未来が現実のものにならないように、

精一杯頑張るよ!」

 「そ、そうですか、私には蓋垣さんの事情がよくわからないんですが、

頑張ってください」

 紳士クンの未来は視えても、男である事までは視えない水落衣は、

目を点にしながら紳士クンにそう言うのがやっとだった。

それに対して紳士クンは自分を奮い立たせるように、

 「うん!」

 と力強く頷いたのだった。



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