表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紳士クンの、割と不本意な日々Ⅲ  作者: 椎家 友妻
第四話 紳士クンと二人の占い師 後編
86/110

13 凄い能力は、使う人の心が大事

 そう考えた紳士クンは、

枯れた土にゆっくりと水を染み込ませるような口調で言った。

 「僕は、水落衣さんの生まれ持った力が悪いモノだなんて全然思わないよ?

それにその力を水落衣さんに与えてくださったのは、他ならぬ神様じゃない?

なら、それには必ず何かしらの意味があるんだよ。

水落衣さんがその能力を持って、この世に生まれて来た意味が」

 「意味なんか、あるはずないですよ」

 「ううん、きっとあるよ。

だってもし、他のずるがしこい心を持った人が水落衣さんの力を持ったとしたら、

それこそ悪い事ばかりに使うと思うんだ。

だけど水落衣さんはそうは考えないで、むしろこの力がない方が、

周りの人に迷惑をかけないで済むと思っている。

だからこそ神様は、水落衣さんにその能力を与えてくださったんだよ。

この能力を悪い事に使わない水落衣さんが、

それを活かして、周りの人の役に立つ為に」

 「私の能力が、周りの人の役に、立つ?」

 水落衣は思わず紳士クンに方に振り向いてそう言った。

そしてそんな水落衣に紳士クンはニッコリほほ笑んで頷き、こう続ける。

 「そうだよ。大切なのは力そのものじゃなくて、

それをどう使うかの、人の心なんだよ。

ダイナマイトだって本来は人を傷つける為に発明されたんじゃなくて、

建物を解体するために発明されたんだ。

それを間違った使い方をしたから、怖い兵器みたいになっちゃったんだ。

だから水落衣さんの力も同じで、それをどう使うかの、

水落衣さんの心が大切なんだよ」

 「私の、心が・・・・・・」

 「うん。だから神様も、

きっと水落衣さんならその力を正しい事に使ってくれると思って、

水落衣さんにその力を託したんだと思うよ?

水落衣さんならきっと、その力で人の役に立つ事ができると思うな」

 「そう、でしょうか?」

 「うん!」

 水落衣の弱々しい問いかけに、紳士クンは力強く頷く。

すると水落衣は薄い笑みを浮かべ、幾分明るい声色になって言った。

 「私、自分の力をそういう風に言ってもらえたの、初めてです。

だけど・・・・・・」

 と、一転して表情を曇らせ、沈んだ口調でこう続ける。

 「人の目を見ると、自分が自分じゃないみたいになるし、

視たくない未来まで視てしまうし、それを無意識に口走ってしまうから、

これを人の役に立つようにするのは、やっぱり難しいと思います・・・・・・」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ