12 凄い能力があるから幸せという訳ではないらしい
「そ、そうなんだ。
お姉さんとはタイプが違うけど、
水落衣さんも凄くたくましい志を持っているんだね」
「そんな大層なものじゃありません。
私は純粋に、誰ともかかわりたくないだけなんです。
人の未来が視える能力なんて、本当にロクなものじゃありませんから。
人には大概気味悪がられるし、
逆に私の力をお金儲けに利用しようと考える人も居るし、
不幸な未来を視ようものなら、
それが私のせいだと怒りだす人すら居るし・・・・・
本当にこんな能力、ない方がいいんです。
むしろ私なんか、最初からこの世に生まれない方がよかったんですよ・・・・・・」
「そ、そうかなぁ?」
「そうです、きっと」
静かに、しかし力強く水落衣は言った。
その言葉に紳士クンは言葉を続ける事が出来ずに黙り込んだ。
そしてしばらくの沈黙の後、紳士クンは呟くように口を開いた。
「水落衣さんのお姉さんは、
水落衣さんと一緒に占いのお仕事をしたいって言ってたよ?
自分が生まれ持った能力を活かして生活していくって、
決して悪い事じゃないと思うけど?」
しかし紳士クンの言葉に水落衣は首を横に振ってこう返す。
「いえ、私は悪い事だと思います。
ただでさえ人を不幸にするこの力をお金儲けの為に使うなんて、
姉様が許しても神様がお許しになるはずがありません」
「う~ん・・・・・・」
(水落衣さんは、自分の力が悪いものでしかないと思い込んでるんだ・・・・・・)




