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紳士クンの、割と不本意な日々Ⅲ  作者: 椎家 友妻
第四話 紳士クンと二人の占い師 後編
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5 出会いの館、再び

 と、いう訳で紳士クンは、エシオニア学園の図書館へとやって来た。

ここは二つに分けへだてられた男子部と女子部の敷地のちょうど中央にあり、

三階建のレンガ造りの建物の中には、所狭しと沢山の本が取りそろえられている。

ちなみにここはエシオニア学園の男子と女子が唯一共同で使える場所で、

別名『出会いの館』とも呼ばれていて、

ここで紳士クンは、紳士クンにゾッコン片思い継続中である、

喧嘩番長でホモの(ばん)(ちょう)太郎(たろう)と運命(?)の再会を果たした場所であり、

迚摸(とても)(しず)()と初めて出会った場所でもある。

なので紳士クンにとってもここは『出会いの館』なのであった。

 (きょ、今日は伴君、ここに来てないよね?)

 そう願いながら紳士クンは図書館の中に足を踏み入れ、

(あな)田野(たの)香子(かこ)の妹である、水落衣を探す事にした。

 (とはいうものの、顔も見た事ない人をどうやって探せばいいのやら・・・・・・)

 そう思いながら本棚の間をキョロキョロしながら歩き回っていると、背後から

 「お、乙子さん、こんにちは」

 と声をかける人物が一人。

その声に紳士クンが振り向くとそこに、

茶色いセミロングの髪を後ろでお団子の形に束ねた迚摸(とても)(しず)()が、

何冊かの本を両手に抱えて立っていた。

彼女は図書委員なので、昼休みと放課後には大体ここで受付をしたり、

蔵書の整理などをしているのだ。

静香は双子のバカ兄貴のせいで極度の女子恐怖症だったが、

紳士クンや撫子の尽力により、

それが若干(本当に若干であるが)改善されてはきている。

しかしまだまだ女子恐怖症は根強く残っていて、

その分男の子である紳士クンには心を許しているのだった。

 そんな静香に紳士クンは親しみを込めた笑みを浮かべて挨拶を返す。

 「こんにちは静香さん。いつも図書委員のお仕事、大変そうですね」

 すると静香も屈託のない微笑みを浮かべてこう返す。

 「ええ、でも私は元々本が大好きなので、

こういう仕事は特に大変だとは思わないんですよ」

 そう言ってまたニッコリほほ笑む静香。

彼女は基本的に人見知りが激しく、

男の紳士クンとも最初はかなり接し方も表情もぎこちなかったが、

最近はすっかり打ち解けて、そのぎこちなさも影を潜めていた。

その静香を前に、紳士クンはさっき尚にお願いされた事を思い出し、

それを静香に伝えるかどうか、少し迷っていた。

 (針須さんは静香さんともっと仲良くなりたいと思っているみたいだけど、

静香さんはどうなんだろう?

僕が勝手にお願いを引き受けちゃったけど、

静香さんにとってそれは迷惑な事かもしれない。う~ん・・・・・)

 「あの、どうしたんですか?」

 目の前で腕組みをして悩み始めた紳士クンに、静香は小首をかしげて尋ねる。

その静香に紳士クンは、覚悟を決めて口を開いた。



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