4 やっと本題
「ええと、このクラスに、
孔田野水落衣さんという人が居ると聞いて来たんですけど、
まだ教室にいらっしゃいますか?」
「孔田野、水落衣さん?そんな方、このクラスに居たかしら?」
尚が小首を傾げてそう言うと、真子は呆れた顔で口を開いた。
「居るでしょうが。
あんたは興味のない人の顔や名前はとんと(、、、)覚えようとしないんだから。
まああの子は元々目立たないし、誰とも仲良くなろうとしないから仕方ないけど」
「僕、その人に会いに来たんです。
もしまだ教室に居れば、呼んでいただけるとありがたいんですけど」
紳士クンは遠慮がちにそう言ったが、真子は首を横に振ってこう返す。
「残念ながらもう教室には居ないわ。いつも逃げるように帰るのよ。
でももしかすると、図書館に居るかもしれないわ。
あの子休み時間の時はいつも本を読んでるし、昼休みにもよく通っているみたいだから」
「そ、そうですか、ありがとうございます」
静香へのお誘いを必ず伝えて欲しいと言う尚と、
それを苦虫をかみつぶしたような顔で眺める真子にお礼を言い、
紳士クンは図書室へと向かった。
(うう、また新しく頼みごとを引き受けちゃった。
どうして僕ってこういう役回りなんだろう?)
それは紳士クンがそういう星の元に生まれているからである。
頑張れ紳士クン!
負けるな紳士クン!




