22 占い師の依頼
再び心の中を覗きこまれるような感覚(実際に覗かれているのだが)
に襲われた紳士クンは、思わず後ずさりしながら香子に尋ねる。
「な、何ですか?まだ僕の心の中に何か視えますか?」
それに対して香子は、目を輝かせながら紳士クンにこう言った。
「あなた、目の前に困っている女の子が居たら、
手を差し伸べずにはいられない性分よね?」
「え?ええ?いや、どうでしょう?そうなのかな?」
「そうよ。迚摸静香さんも日鳥希里さんも樫増笑美さんも凄木令奈さんも、
皆困っている時にあなたが助けてあげたじゃなの」
「ち、違いますよ!
どれもお姉ちゃんや伴君が協力してくれたからたまたま助けられただけで、
僕一人じゃあどうする事もできなかったですよ・・・・・・」
「だけどあなたが彼女達に手を差し出さなければ、
協力してくれる人も現れなかったでしょ?
つまり彼女達を助けられたのは、やっぱりあなたが居たからなのよ」
「そ、そうかなぁ・・・・・・」
「そうなの!」
香子はそう力強く言い切ると、
立ち上がってグイッと紳士クンに顔を近づけて言った。
「で、そんなあなたにお願いしたいんだけど、
私の妹も、あなたのその包容力で助けてあげてくれない?
そして昔のトラウマを克服させて、
私と一緒に占いの仕事ができるようにして欲しいの」
「えええっ⁉そんな事僕にできる訳ないじゃないですか!
僕は妹さんと会った事もないし、
そもそも僕と孔田野さんだって今日が初対面でしょ!
そんな人間にこんな重大なお願いをしていいんですか⁉」




