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紳士クンの、割と不本意な日々Ⅲ  作者: 椎家 友妻
第三話 紳士クンと二人の占い師 
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14 令に劣らぬ超変態

 そう叫んだのは撫子だった。

顔だけでなく首も耳も、灼熱のマグマのごとく真っ赤になり、

頭からは湯気が立ち上りそうな勢いだ。

撫子は今、他人の前で真っ裸にされたよりも恥ずかしい気持ちで、頭も心も満杯だった。

おそらく香子がこれ以上何か言おうものなら、

そのまま恥ずかしさで風船のごとく破裂してしまいそうだ。

こんな姉の顔を、そして心の中を初めて知った紳士クンは、

何やら知ってはいけない事を知ってしまった気まずさで、

どこに目をやったらいいのか分からなくなっていた。

 (お、お姉ちゃん、そんな事思ってたんだ・・・・・・

な、何か、僕まで恥ずかしい・・・・・・)

 そんな撫子と紳士クンの様子を見て、香子は甘い花の蜜を吸い上げたミツバチのごとく、

満足そうな笑みで微笑んだ。

そして小首を傾げて撫子に尋ねる。

 「どうかしら?これで私の力、少しは信じる気になった?」

 「わ、わかった、分かりました。だからもうそれ以上は言わないで・・・・・・」

 撫子は両手で顔を覆いながら、消え入るような声で言った。

その姿をマジマジと眺めながら、香子は背徳的な興奮に酔いしれていた。

 (フフフ♡

相手の心を丸裸にして、それを隅々までしゃぶりつくし、辱めるこの感覚。

何度味わってもたまらないわぁ♡

それに彼女の魂は他に類を見ない程素敵な魂。

こんな(じょう)(だま)は滅多にお目にかかれないわ♡)

 令は女装した可愛い男の子しか愛せないド変態だが、

香子は可愛い子(性別は問わない)の魂を覗き、

暴き、辱める事に無上の喜びを見出す超変態であった。

そんな超変態の占い師、(あな)田野(たの)香子(かこ)は、

恥ずかしさのせいで溶けていく雪だるまのような撫子にこう続けた。



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