10 本来の目的は生徒会の仕事
「実は今日ここに来たのは、個人的に占って欲しい事があったというのもあるんですが、
生徒会副会長の鎌井太刀お姉様から、
この占いの館の活動の実態調査も言いつけられているんです。
あなたはこの部屋を無断で占いの館として使用していますよね?
それにインチキな占いで、やって来た女子生徒達に身も蓋もないアドバイスを浴びせ、
失意のドン底に突き落としているとか。
それが事実で、このまま許可なくこの部屋を使い続けると言うのなら、
生徒会として、それを見過ごす訳にはいきません。
ただちにこの占いの館を閉鎖していただきます」
(そ、そうか、お姉ちゃんがここへ来たのは、
生徒会役員としての仕事でもあったんだ)
傍らで頷く紳士クンをよそに、香子は何ら悪びれる様子もなくこう返す。
「そう、それがあなたの本来の目的という訳ね。
確かに無断でこの部屋を使用していた事は謝るわ。
だってあの副会長、ウサン臭い同好会や愛好会には、
なかなか部屋の使用許可を出してくれないって話じゃない?
だから先に始めてある程度実績を作っちゃえば、
後で申請も通しやすくなるかと思ったのよ」
「だからってやった者勝ちみたいなやり方は許される事じゃありませんよ!」
「分かったわよ。今日の放課後にでもここの使用許可をお願いしに行くわよ。
それでいいでしょう?あと私の占いがインチキかどうかは、
今からあなた達が判断してくれればいいし」
撫子の鋭い視線を軽く受け流すように、香子は机に片肘をつきながら言った。
そしてピンと背筋を正し、一転して真面目な顔つきになって口を開いた。
「さて、それじゃあ占いを始めましょうか」




