8 占い師現る
その人物はエシオニア学園の女子の制服を着ており、
頭に魔女のようなツバが広くて背の高い三角帽子をかぶり、
背中には紺色のマントを羽織っている。
緑がかった黒髪を頭の左側でひとつにまとめて左肩の前にたらし、
背は撫子や紳士クンより少し高く、
整った顔立ちの中に妖しいきらめきを放つ瞳が光っており、
その瞳は人の心の奥底までを見透かすようで、紳士クンは思わず目をそらした。
そんな妖しい雰囲気をかもしだす女子生徒は、
やや不機嫌そうな声色で目の前の二人に言った。
「人の館の前で失礼な言い合いはやめてくれない?
占いをして欲しいならさっさと入ってちょうだい」
「あ、ご、ごめんなさい・・・・・・」
上ずった声で紳士クンが言うと、館の主はため息をつき、扉の中に引っ込んだ。
それを見た撫子は紳士クンの方に向き直り、ギロリと睨みつけて言った。
「いい事?ここでの占いの内容は、ぜっっっっっったいに誰にも言っちゃダメよ?
特に日鳥希里には絶対にね!」
「う、うん、わかったよ・・・・・・」
撫子のとてつもない迫力に気圧された紳士クンがそう言って頷くと、
撫子は「よし」と納得し、占いの館の扉をくぐった。




