1 お姉ちゃんに報告
「で、結局令太とは今一つ仲良くなれなかったの?」
令太とお出かけした夜。
自分の部屋でその日の出来事を紳士クンから聞いた撫子は、
お風呂上がりの髪をタオルで拭きながら言った。
その言葉に頷いた紳士クンは、浮かない顔でこう返す。
「うん、やっぱり、僕みたいになよなよした男とは、
仲良くしたくないんじゃないかな・・・・・・」
「そう?でも色々話もできたんでしょ?
それなら前よりは仲良くなれたって事じゃない?
それにあんただけ女の子の格好で行った事も、
令お姉様の企みだって令太は分かっているんでしょう?」
「うん、そうなんだけど、
僕がこれからも仲良くしてねって握手しようとしたら、
握手はせずに逃げるように帰っちゃったんだ。
これって、やっぱり僕とは仲良くしたくないって事じゃないかなぁ?」
「きっと照れたのよ。
あの子あんまり友達居なさそうだし、改めてそんな事言われて、
素直になりきれなかったんじゃない?」
「そ、そう、かなぁ?」
「ま、あんたが思うほど嫌われてはいないと思うわよ?
そんなに嫌いな相手なら、
そもそも休日一緒にお出かけしようなんて思わないだろうし」
「そ、そう?」
「そうなの!だからウジウジ悩むのはやめなさい!
いきなり仲良くなろうなんて思わないで、コツコツ距離を縮めていけばいいのよ」
「う、うん、そうだね。ありがとうお姉ちゃん。
ところで、静香さんは元気にしてる?しばらく会えてないけど」




