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紳士クンの、割と不本意な日々Ⅲ  作者: 椎家 友妻
第二話 紳士クンと令太クン
47/110

20 中身も女の子らしくなっとる

(な、何で、どうしてこんな事になっちゃったんだ!

こんな格好をしているとはいえ、

どうして振舞いまで女の子みたいになっちゃってるんだ!)

 紳士クンは決して、意識して女の子みたいな振舞いをしようとした訳ではない。

むしろ令太とおいしいランチを食べて気持ちも胃袋もすっかり満足し、

(胃袋は腹八分目だが)

完全にリラックスした状態で紳士クンは振舞っていた。

つまり紳士クンの無意識の自然な振舞いが、

完全に女の子ようなそれになっていたのだ!

 (そ、そんな、馬鹿な!)

 驚愕の事実に大きなショックを受けた紳士クンは、

顔からサーッと血の気が引いて行くのを感じた。

そしてどうしてこうなってしまったのか必死に考えた。

ちなみにその理由はこうである。

 紳士クンは男の身でありながら女子校に通う事になってしまった為、

自分が男だとバレないよう、女の子になりきる為のあらゆる努力をした。

髪の毛やお肌の手入れ、服装や仕草や言葉使い。

それに女の子が好きそうな話題など、撫子にも教えてもらいながら、

紳士クンは日々鍛錬と知識を積み重ねて来たのだ。

そしてそれらの努力は着実に実を結び、今の紳士クンを作り上げた。

その女子力はもはや、異性の目を気にしなくてよい女子校の

(極めて無防備な)女子達をはるかにしのぐクオリティーで、

笑美や華子を始めとする周囲の女子達は、

『もっと乙子さんを見習わなくちゃ!』と、

女の子のお手本的な存在として紳士クンの事を見ていた。

 (な、何て事だ。

今まで僕がやって来た事は、僕の志と全く反対の事じゃないか!)

 自分の身を守る為とはいえ、己が志とは全く違う自分に、

しかも無意識で何の屈託もなくそうなってしまっている自分に、

紳士クンは激しい絶望と悲しみに打ちひしがれた。



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