16 ぐぅ~・・・・・・
そして会話は途切れ、部屋が沈黙に包まれる。
その沈黙に耐えられなくなった紳士クンが、ためらいがちな口調で尋ねた。
「令太クンは、これからどうするの?
今すぐにでも、エシオニア学園を退学するつもりなの?」
「う~ん・・・・・・」
紳士クンの質問に令太は腕組みをし、目をつむって考え込む。
そしてポツリと呟くように言った。
「わかんねぇ」
「そ、そう・・・・・・」
そう言って黙りこむ紳士クン。
何か気のきいた言葉を続けたかったが、何も頭に思い浮かばなかった。
そしてそうこうしているうちに、
ぐぅ~・・・・・。
紳士クンのお腹が再び切ない叫び声を上げた。
「ご、ゴメン・・・・・・」
(大事な話をしてるのに、何でこんな時にまでお腹が鳴るの!)
紳士クンは状況をわきまえない自分のお腹を心の中で厳しく叱ったが、
そんな事で空腹の胃袋が満たされる訳はなかった。
するとそんな紳士クンを見て、令太は声を上げて笑った。
「ハハハッ、別に謝る事じゃねぇだろ。
俺達はここにメシを食いに来てるんだからよ。
心配しなくても、もうすぐたらふく食えるほど料理が出てくるよ」
「は、はい・・・・・・」
紳士クンはもはや、恥ずかしさで令太の顔をまともに見る事ができなかった。
(でも、令太クンがこんな風に笑うところを見るのは初めてかも)
そう思うと、令太との距離が少し縮まったような気がして、
紳士クンは気持ちが和らいだのだった。




