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紳士クンの、割と不本意な日々Ⅲ  作者: 椎家 友妻
第二話 紳士クンと令太クン
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14 令太が帰国した経緯

 「令太クンは、昔から無理矢理、

令お姉様に女の子の格好をさせられていたらしいもんね。

でも、せっかくイギリスの学校に留学していたのに、

どうしてまた日本に戻って来たの?

しかも令お姉様と同じ、エシオニア学園の女子部に」

 紳士クンはずっと疑問に思っていた事を思いきって尋ねてみた。

すると令太は深くため息をつき、思い出すのもおぞましいというような表情で言った。

 「ある日、俺が住んでた学生寮に手紙が届いたんだよ。

今すぐ日本に戻って来ないと、

俺が昔女装していた写真をそこらじゅうにバラまくって」

 「そ、それって脅迫じゃないか!」

 「そうだよ。あいつは自分の願望のためなら手段を選ばない、

独裁国家の女王みたいな女なんだ」

 「い、いや、それはいくらなんでも言い過ぎじゃあ・・・・・・」

 と、紳士クンは否定しようとしたが、今までの令の言動を顧みると、

令太の言葉に否定できる点が見当たらなかった。

 「じゃ、じゃあ、令太クンは令お姉様に脅迫されて、

いやいや日本に戻って来たんだね・・・・・・」

 紳士クンの同情を込めた言葉に、令太は声を荒げて言った。

 「そうだよ!

じゃなきゃ誰が好き好んで女装して学校に通う為に日本に戻って来るかよ!

全部あの女のせいだよ!隙あらば毒を盛って暗殺してやりてぇくらいだ!」

 「だ、ダメだよそんな事・・・・・・」

 そう言ってなだめる紳士クンだが、

それほどに令太が令に怒りを感じている事はよく伝わってきた。

それがエシオニア学園に転校してきてからこっちの、

令奈(、、)の振舞いにも現れているのだ。

そう思うと紳士クンは何とかしてあげたいという気持ちが湧きあがってくるが、

これがどうにもできないという事を身をもって思い知らされている紳士クンは、

それ以上言葉を続ける事ができなかった。



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