4 フニュ、フニュ、フニュウ・・・・・・
男のたくましい胸板にはない、女性のみが持つ、
やわらかで、ふくよかな果実の感触が、紳士クンの掌に伝わった。
それはかつて、不可抗力で触ってしまった(そして直後に殴られた)
自分の姉の撫子のそれよりも豊かなもので、
紳士クンの掌にほどよくおさまっていた。
「ほ、ほわああああっ⁉」
紳士クンは、自分の喉から出たとは思えないような声で叫んだ。
そしてすぐさま令太の手を振りほどこうとしたが、
令太は紳士クンの右手をしっかり握って離さない。
「どう、だ?お前はこれが、好き、なんだろ?もっと触っても、いい、よ?」
「や、だ、ダメだよ!確かに好きなのは好きだけど、とにかくダメだよ!」
完全にパニックにおちいった紳士クンは、
それでも心の片隅に残ったひと欠片の理性を振りかざして叫んだ。
が、そんな紳士クンの掌に、令太のふくよかな誘惑の果実が襲いかかる。
フニュ、フニュ、フニュウ・・・・・・。
「あわわわわっ!」
もうとにかく取り乱す紳士クン。
目はグルグルまわり、頭はオーバーヒートして、
今にも湯気が立ち上りそうな勢いだ。
そんな紳士クンに、令太は麦わら帽子を取り、ゆっくりと顔を近づける。
「俺、お前の事が、好きなんだ。だから、いいだろ?」
そして紳士クンの唇に、自分の唇を近付ける。
「だ、だ、ダメだよ!僕達、男同士だよ⁉
それなのにこんな事しちゃいけないよ!」
必死に訴える紳士クン。
しかしその言葉を溶かすような甘い声で令太はこう返す。
「だから俺は女になったんだよ。
こうしてお前と、唇を重ねるために・・・・・・・」
「ふわああああっ⁉」
令太の唇がゆっくりと、そして確実に紳士クンの唇に迫って来る。
それを拒む事も逃げる事もできない紳士クンは、
ギュッと目をつむった。
と、その時だった。
「待てぇい!」