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9 令太の行きつけ
令太につれられてやって来たのは、こじんまりとした、
しかし上品で高級そうな洋風のレストランだった。
誰でも気軽に入れそうな雰囲気のファミレスとは違い、
選ばれたお客しか敷居をまたげないオーラが、
その荘厳な佇まいの木製の扉から漂っている。
こんな雰囲気のお店に来るのが初めての紳士クンは、
傍らに立つ令太に不安げな声で尋ねる。
「ここ、何か高そうじゃない?僕、あんまりお小遣い持ってないよ?」
それに対して令太は、事もなげにこう返す。
「俺が出すから気にしなくていいよ。
それにここは個室の席があるし、学園の女どもが来るような店でもねぇから、
知り合いと会う心配もねぇだろ」
そう言って令太はその扉を開け、ためらう事なく店の中へ入る。
(そんな事まで気遣ってくれてるんだ・・・・・お、男らしい!)
令太の言動に逐一男らしさを感じ、感服する紳士クンであった。
店の中に入ると、
ホテルマンのようにビシッとスーツを着こなした中年の紳士が、
柔らかい笑顔で令太と紳士クンを迎え入れた。




