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2 完璧美少女、紳士クン
かくして紳士クンは撫子の用意した桃色のワンピースに身を包み、
撫子にここ一番の勝負メイクをしてもらい、
(撫子がこのメイクで勝負をした事はまだない)
これ以上ないくらい気合の入った女の子がここに完成した。
「よしっ!」
プロさながらのコーディネートを終え、撫子は達成感に満ちた声を上げる。
そんな撫子の前に立つ紳士クンは、
まるで春の世に生まれ出た花の妖精のような愛らしさだった。
元からつぶらだった瞳は撫子のアイメイクによってより一層つぶらな輝きを増し、
上品にまとめられたショートヘアーは気品と清らかな雰囲気を引き立て、
ワンピースからのびる色白で華奢な手足は、
西洋人形にそのまま命を吹き込んだような欠点のないシルエットを実現させている。
今、この場にたたずむ紳士クンは、
そこらに居る本職の女の子をただの背景にしてしまうほどに、
完璧に完成された女の子に変身していた。
そんな紳士クンを前に撫子は達成感に酔いしれていたが、
それもほんの数秒の事で、
すぐに女の子特有の嫉妬と妬みの気持ちがふつふつと湧きあがってきた。




