表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紳士クンの、割と不本意な日々Ⅲ  作者: 椎家 友妻
第一話 紳士クンと令奈チャン
20/110

13 孤立無援の令太

 「乙子ちゃんは、令奈に怒ってるんやんな?

訳も分からずずっと睨まれとったもんな?」

 「そうですね。令お姉様の妹とはいえ、ちょっと振舞いが悪すぎますもんね。

心根の優しい乙子さんが怒るのも無理はありません」と華子。

 しかし紳士クンはそのどちらの言葉にも頷く事はできなかった。

 (違うんだ。僕は決して令太クンに怒っている訳じゃないんだ。

ただ彼と、ちゃんと話がしたいだけなんだ)

 が、そんな紳士クンの気持ちとは裏腹に、

クラスの皆の考えも、笑美や華子と同調しているようだった。

 「あの温和な蓋垣さんでさえあんなに怒るのだから、

凄木さんは人として相当問題があるのよ」

 「そうよ、どうしてこの学園に転校していらしたのかしら?

あの方が居ると教室の雰囲気が悪くなってしょうがないですわ」

 そんなささやき声が方々から聞こえる。

今やこのクラス全体が、令太に非難の視線と声を浴びせている。

その渦中に置かれた令太は、

その渦に飲み込まれるようにどんどん委縮していくようであった。

 (このままじゃあ、ダメだ)

 紳士クンの心の中に、そんな一滴の想いが生まれた。

そしてその滴が心の水面(みなも)に落ちた瞬間、

その想いは瞬時に燃え上がり、紳士クンの心の中を一杯に満たした。

今までの疲労感は消え、頭の中でグルグル泳ぎ回っていた言葉は消え去り、

暁の湖のように澄み渡る。

次の瞬間、紳士クンは立ちあがっていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ