10 男同士の友情の深め方
「そんな昔の不良マンガみたいな事できないよ!」
「まああれをそのままやれとは言わないけど、
それくらいの心意気でぶつかっていきなさいって事よ。
相手が訳もわからず睨みつけてくるなら、こっちもにらみ返してやればいいのよ」
「そ、そんな事して相手の気を悪くしちゃわないかなぁ?」
「もう十分悪いわよきっと。
それを打ち破るには、真っ正面から向き合うしかないの。
相手が避けようとするならその腕引っつかんで、
無理矢理にでもこっちを向かせるのよ!」
「お、お姉ちゃん・・・・・・」
男気あふれる撫子の言葉に、紳士クンはただただ感服する他なかった。
(神様は、僕とお姉ちゃんの性別を間違えたんじゃないのかな?)
と紳士クンは疑問に思ったが、それは口には出さない事にした。
そんな紳士クンの肩をガシッと掴んで撫子はこう続けた。
「いい事?明日も令太が睨んできたら、あんたも睨み返してやりなさい。
そして逃げようとするあいつの腕を掴んで、
二人で話ができる所へ引っ張って行くのよ」
「わ、わかったよ。できる限りの事はやってみるよ・・・・・・」
「できる限りじゃなくてちゃんと全部やるの!
こうなったのは誰のせいだと思っているの⁉」
「え~と、半分はお姉ちゃんのせいだと思ってるんだけど・・・・・・」
「この話はこれで終わりよ!明日に備えてもう寝なさい!」
自分の責任を棚に上げる腕前がプロレベルの撫子はそう言って布団にもぐりこみ、
わざとらしい寝息を立てる。
そんな撫子を前に、紳士クンは深いため息しか出てこなかった。
(本当に、お姉ちゃんの言う通りにしてうまくいくのかなぁ?)




