7 この二人はいつもの感じ
「きっと乙子さんに自分勝手な嫉妬でもしているんですよ。
乙子さんは可愛くて女の子らしいし、愛嬌があって女子力も高い。
令奈さんも生徒会長の令お姉さまに劣らぬ器量を持ってはいますが、
全体的な女性の魅力は、乙子さんの方が勝っていると思います」
「う・・・・・・」
華子が言った言葉は紳士クンにとって全くほめ言葉にはならなかったが、
それに頷きながら笑美はこう返す。
「確かに、乙子ちゃんを嫌う理由っていうたら、
それくらいしか考えられへんもんなぁ。
あの子は性格も気難しくて変にプライドも高そうやし、
仲良くなるのは至難の業とちゃう?」
「まったくです。どこかの誰かさんみたいに見栄もプライドもなくて、
何の考えもなしに誰とでも仲良くなってしまうような人とは大違いですね」
「ちょい待ちぃや。それはもしかしてウチの事を言うてんのか?
ウチが考えなしの能天気のアンポンタンやと言いたいんか?」
「そうは言いませんけど、あえて否定はしません」
「否定しぃやっ!あんたこそネクラでオカルト好きで友達が居らんクセに!」
「私は必要以上に友達は作らない主義なんです。
乙子さんがお友達で居てくれればそれで満足です」
「きぃーっ!相変わらず憎たらしい子やな!」
「ご心配なく。憎たらしい態度をとるのは笑美さんに対してだけですから」
「尚の事タチが悪いわ!」
「ま、まあまあ、二人とも落ち着いて・・・・・・」
いつもの言い争いを始めた笑美と華子を、
紳士クンは苦笑いしながらなだめる。
そして一転して真面目な顔になり、スッと立ち上がった。
「ど、どうしたん乙子ちゃん?」
目を丸くして尋ねる笑美に、紳士クンはハッキリした口調で答えた。
「令奈さんの所へ行って来るよ。やっぱりこのままじゃあ良くない気がするから」
そして早足で教室を出て行く紳士クン。
その紳士クンの後姿を眺めながら、笑美はポリポリ頭をかきながらつぶやいた。
「ホンマに乙子ちゃんはええ子というかお人よしというか、人間ができてるなぁ」
それに対して華子。
「そうですねぇ。
私なら自分に敵意を持つ人間は、ワラ人形でも使って呪いをかける所です」
「あんたが言うと冗談になれへんわ・・・・・・」




