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5 完全に嫌われている?
が、そんな決意もむなしく、紳士クンは令奈と仲良くなるどころが、
心身ともに距離が離れていく一方であった。
休み時間に話しかけようにも、令太は逃げるように何処かへ行ってしまうし、
何処かへ行く前に捕まえて話しかけても、そっぽを向かれてしまう。
こんな調子なので令太はクラスで完全に孤立し、
紳士クン以外のクラスメイトとも、打ち解ける事はなかった。
しかし、それなら令太は紳士クンの事を完全に無視しているのかというとそうではなく、
授業中には、露骨に紳士クンの事を怖い目で睨みつけ、
その視線を背中にヒシヒシと感じている紳士クンは、
ただただ戸惑うばかりなのであった。
(ぼ、僕、もしかして令太クンに嫌われてる?
何かあの人の気に障るような事を言ったりしたりしたのかな?
ま、まさか、男の身でありながら女子校に通う僕が許せないとか?
で、でも、それは令太クンも同じ事だし。う~ん・・・・・・)
考えれば考えるほど、マイナス思考の沼にはまりこんでいく紳士クンだった。




