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紳士クンの、割と不本意な日々Ⅲ  作者: 椎家 友妻
第五話 紳士クンと足のない乙女
109/110

21 最も確実な性別の確認の仕方

 どうやら愁衣は紳士クンの事を完全に女の子だと思っているらしい。

なので紳士クンは相手が幽霊だという事で、ハッキリとこう言い放った。

 「ぼ、僕は、男です!」

 「へ?」

 紳士クンの言葉に目を点にする愁衣。

そしてプッと吹き出し、ケラケラ笑いながら言った。

 「そんな嘘信じる訳ないでしょ。君、どこからどう見ても女の子じゃないの」

 「ぐ・・・・・・」

 愁衣の言葉に紳士クンはたじろいだが、

それでも心の片隅にくすぶる男の魂を精一杯燃え上がらせ、

まっすぐに愁衣を見詰めた。

そのあまりに真剣な眼差(まなざ)しに愁衣は笑うのをやめ、

マジマジと紳士クンを眺めてこう尋ねる。

 「ほ、本当に?」

 それに対し、紳士クンは重々しく頷く。

すると愁衣は紳士クンの頭から足の先までをなめるように眺めた後、

意を決したように

「うりゃっ!」と声を上げ、

紳士クンのオマタを右手で握った。

すると、愁衣の(正確には華子の)右手に、

紳士クンの真の男のシンボルの感触が伝わった。


「わぁあああああっ⁉」


 狂人のような悲鳴を上げる紳士クン。


「ぎゃあああああっ⁉」


 断末魔のような叫び声を上げる愁衣。

 そして愁衣は熱々のヤカンから手を離すように、

紳士クンの男のシンボルから右手を引っ込め、

後ずさりしながら声をしぼりだした。

 「そ、それ、君、ついてる、じゃないの・・・・・・」

 それに対して紳士クンは、

恥ずかしさで失神しそうな意識を何とかつなぎとめながらこう返す。

 「だ、だから、僕は、男、なんです・・・・・・体も、心も!」

 そんな紳士クンの魂の叫びを聞いた愁衣は、

両手で顔をおおい、その場にガクッと膝から崩れ落ちた。

そして華子の背中から愁衣の幽霊の姿がフワッと抜け出し、

闇の中に溶けるように消えていった。



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