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19 やっぱり生身がいいらしい
「いや~それにしても、やっぱり生身の体はいいわね~。
ちゃんと生きてるって感じがするもの。
幽霊になってフワフワしてたら、
生きてるんだか死んでるんだかよく分からないもんね~」
「いや、幽霊は完全に死んでますから・・・・・・」
「いっそこのままこの子の体にとりついて生きて行くのもアリよね?」
「なっ⁉それはダメですよ!
その体は華子さんのモノなんですから、ちゃんと返してください!」
「分かってるわよ冗談よ。
それに人に取りつくのって結構体力が要るから、
こうしていられるのはせいぜい十分程度なのよ。
だからそれ以上取りついていようと思っても、
私の魂が勝手にこの子の体から抜け出ちゃうの」
「だ、だったら、早い所華子さんの体から出て行ってください!」
「つれない事言うわねぇ。
せっかく久しぶりに生身の体に取りついたんだから、少しは楽しませてよ」
「た、楽しむって、一体何をするつもりなんですか?」
紳士クンが恐れおののきながら尋ねると、愁衣は
「そうねぇ」
と言って妖しく微笑み、やにわに紳士クンにガバッと抱きついて来た。




