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紳士クンの、割と不本意な日々Ⅲ  作者: 椎家 友妻
第五話 紳士クンと足のない乙女
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13 足が、ない

 (んん?)

 自分の目の錯覚だと思った紳士クンは、

目をこすってパチパチ(まばた)きをし、再び天井に目を凝らす。

するとやっぱり、五メートル程高い空中に、

一人の女の子が顔をこちら側に向けて浮いている。

それはまるで、水中を漂う人魚のようであった。

その女の子はエシオニア学園の女子の制服を着ており、

歳も紳士クン達と同じくらい。

澄み切った海のように青みがかった黒髪が腰のあたりまであり、

それが体と同じく水中に漂うようにフワフワ浮いている。

月の光に照らされた肌はゾッとするほど青白く、

それでいて吸い込まれそうな程に透き通り、よどみがない。

目は閉じているが、整った鼻筋、艶やかな唇、

すらっと引き締まった顔の輪郭を見れば、

彼女が美少女である事に異論を挟む余地はどこにもなかった。

 (お、女の子が、浮いてる?)

 紳士クンは自分の目で見ている光景が信じられなかった。

今まで色んな女の子に出会って来たが、

空中をフワフワ漂う女の子を見るのは生まれて初めてだった。

しかも更に驚くべき事に、その女の子には、


 足がなかった。


 そう、なかったのだ。

影になって見えないのではなく、彼女の膝から下はまるで、

闇に吸いこまれて消えてしまったかのようになかった。

そして彼女の頭上には一個の青白い火の玉が、フヨフヨと燃えている。

と、いう事は、まさか、まさか・・・・・・。

 (あの子って、幽霊なの⁉)



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