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紳士クンの、割と不本意な日々Ⅲ  作者: 椎家 友妻
第一話 紳士クンと令奈チャン
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3 ギクシャクするのは姉のせい

 紳士クンと撫子が通う国立エシオニア学園は、

一時間弱かけてバスと電車を乗り継ぎ、

そこからさらに十分ほど歩いた場所にある。

その駅から学校まで歩いて行く途中で、隣を歩く撫子が紳士クンに尋ねた。

 「で、あれから(れい)()とは仲良くなれたの?」

 令太とは、さきほども記したが凄木令の弟で、

紳士クンと同じく、令の勝手な陰謀で、男の身でありながら女の子として、

最近紳士クンと同じクラスに転校してきた。

最初は一旦打ち解けたかに見えた紳士クンと令太だが、

紳士クンが男である事を撫子があっさり令太にバラしてしまい、

それから何だか妙に二人の関係がギクシャクしているのであった。

 なので紳士クンはその事をそのまま撫子に話した。

 「ううん、何か妙に警戒されてるみたいで、

仲良くなるどころか、話しかける事すら難しい雰囲気なんだ」

 すると撫子は深いため息をついてこう返す。

 「ダメねぇ。令太はあんたと同じ境遇なのよ?

その苦労を分かち合えるのはあんただけなんだから、

あんたが力になってあげなくてどうすんのよ?」

 面倒見がよく、困っている人を見ると放っておけない性質(たち)

撫子は(なげ)かわしい口ぶりで言ったが、

紳士クンはそんな姉に抗議の声を上げた。

 「それはお姉ちゃんにも責任があるんだからねっ。

令太クンが男だって、本人にいきなり切り出しちゃうし、

僕が男だっていう事も、令太クンにあっさりバラすし」

 しかし撫子は何ら悪びれる様子もなくこう言った。

 「だって本当の事でしょうが。

そんな事をウジウジ隠しているより、お互いさっさとぶっちゃけた方が、

かえって仲良くなれるもんなのよ」

 「そりゃあお姉ちゃんはそうやって(しず)()さんと仲良くなったのかもしれないけど、

僕はお姉ちゃんと同じようにはできないよ。

僕には僕のペースっていうものがあるんだから」

 「なぁにがペースよ。そんな事いちいち気にしてたらすぐに寿命が終わっちゃうわ。

『善は急げ』

『案ずるより産むが易し』

(さき)んずれば人を制す』よ!」

 「この場合は『()いては事をし損じる』だと思うけど・・・・・・」

 等と言い合っていると、エシオニア学園の校門の所で、一人の女子生徒と出くわした。



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